10話 『魔力操作大全』
朝6時。
ユウネにもらったCDをラジカセにセット。
再生。
『魔力操作体操〜う! 第一!
まずは、ボールの魔法から〜ハイッ!
火! 風! 水! 土!
火! 風! 水! 土!
』
俺はCDを切った。
何じゃこりゃ。
もっと、魔法の使い方とか、こう、講座的なものを期待していたのだが。
「クータ様、魔力操作は基礎にして王道です。
これを怠っては大怪我します」
「いや、魔法の理論的なものを教えてほしいんだが」
「ありません」
「嘘つけぇ!?」
無い訳ないだろ!?
「理論っぽいものを提唱する者は数多く居ますが、結局それらは魔法の可能性を限定的にして狭めてしまうものだと証明されています」
「いや、理論っぽいものでいいから、教えてくれよ……」
「はぁ〜……」
ユウネはため息をつき、本を1冊俺に渡す。
「ヤバンデス帝国宙隊の隊長、ブレイド氏が書いた著書『魔力操作大全』です」
「そうそう、こういうのが欲しかった」
「良いですか? 本はあくまで参考ですよ? これを全て身につけたところでブレイド氏の劣化コピーですからね」
劣化コピーでもいいよ、別に。
「何度も言うが、安全に魔法を運用するのが最優先だ」
「夢が無いですねぇ」
パラパラ。本をめくる。
たった50ページしかない。
あと、何語で書いてあるのか分からん。
「魔力操作で魔力を本に通してください、そうしたらその本の文字が理解できる文字にかわります」
「その魔力操作を習いたいんだが」
「こう、体に流れるエネルギーを、そいっと流す感じです」
さては説明下手か。
むー、……そい。
本とにらめっこして1時間経過。
出来ない。魔力操作ができない。
だがまぁ、仕方ない。
そろそろ出勤しないと。
「クータ様、朝食を食べないと仕事に支障をきたしますよ」
そう言われ渡されたスナック菓子。
これは1本で満足するやつだな。
ボリボリ。
「実はそれ手作りです」
「すげーな」
お菓子作りも出来るのか。
「ごちそうさま。んじゃ、行ってくる」
◇ ◇ ◇ ◇
今日は来季に販売する商品の勉強会。
開発者が説明しに来てくれて、ひたすら話を聞くのだ。
試食会もある。
ユウネが弁当を持たせなかったのも、そのため。
しかしまぁ、聞くだけってのは眠くなるな。
今回の新商品に至っては、前回と95%おんなじときたもんだ、ほとんど新しい情報がない。
つまり猛烈に眠い。
コーヒーでも飲もうかな。
トイレ休憩まで、あと10分。
『クータ様、クータ様』
テレパシーでユウネが話しかけてくる。
『眠気覚ましですが、辛いのと痛いのと苦いのと冷たいの、どれにしましょうか?』
待て待て。コーヒーにするってば。
余計なことはするなよ?




