第二章 第二幕 真の友情は
あのあたたかな春から一か月。桜の花びらは、もうすべて枯れ落ち、緑々しい葉が力強く茂っていた。私たちは昼食の時間を共に過ごすようになった。よくお互いの好きな歌手や推し、ドラマの話などをしながら食べているため、あっという間に次の授業になってしまう。
ある日の昼。私たちは恋バナをしていた。私は金子に問いかけた。
「みのりんは誰か好きな人いるの?」
みのりんとは私が『金子実』につけたあだ名だ。我ながらいいセンスをしていると思う。
「うーん。同じクラスの佐藤君かな......」
「え⁉︎ どうして好きなの? 驚きなんだけど」
「優しいところかな......」
私は佐藤の幼馴染だ。佐藤が優しい性格は私も知っているし、私も佐藤が女子と付き合いたい願望を持ちながらも、なかなか口に出せない性格は知っている。だから私は彼女を応援しようと決めた。
「ねえ、次の土曜日、私とさってぃーとみのりんで遊びに行かない?」
「え⁉︎ いや大丈夫だよ、私なんかが行ったって......」
「大丈夫だよ。絶対楽しいって」
みのりんは、私の言葉に戸惑いながらも、どこか嬉しそうに俯いた。
「……ほんとに、行ってもいいのかな」
「もちろん。だって友達でしょ」
そう言うと、みのりんは小さく笑った。その笑顔が、春の光みたいに柔らかくて、私は胸が温かくなるのを感じた。
放課後、私は佐藤に声をかけた。
「ねえ、今度の土曜日、みのりんと三人で遊びに行かない?」
「え、三人で?」
佐藤は少し驚いたように目を丸くしたが、すぐに照れくさそうに笑った。
「……うん、いいよ。楽しそうだし」
その返事を聞いた瞬間、私は思わずガッツポーズをした。
みのりんの恋を応援できることが嬉しかったし、幼馴染の佐藤が誰かに好かれていることも、なんだか誇らしかった。
まだ私はこの時知らなかった。私のこの判断は間違いだったことに。




