全員詐欺師
興奮すると耳を貸さない姉に、WEB小説を通して何かを伝えたかった作品です
~~~~ 海辺の姉 ~~~~
なんかようわからんけど、
わたいは今も生きている
それだけはわかっている
テクノロジーズだのニュージーンズだの、いろいろ『ズ』がつきますけどな
そんなもん長~~く生きとったらなんとな~くわかるもんなのよ、、、
とりあえず『ズ』をつけとりゃええの それでええのよ
長く生きてきたからこそ、『時代時代の詐欺』に騙されないコツを教えたる
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
ある日、突然、見知らぬ番号から連絡が来た
『支払いが滞っているから保証人のあんたが支払うことになるよ』って、、、
時は2025年、 あの手この手で詐欺が横行している
新種の税金が生まれるたびに素直に受け入れる時代 , , ,
ニホンビトの性質を突いたうまいやり方だ
すぐピンときたのよぉ~、、、
ついにこの日が来たかぁってねぇ
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
弟は夢見がちな『努力は報われる』を信じているあまちょろはん
いっつもゆってきた
いっつもいっつもゆってきた
あのしょんべんたれはこれだけ口酸っぱくゆってもわかってないようだ
「ころころ転職してたんじゃあ、だめだよ?
ローリングストーンズじゃあないんだから
石の上にも三年 定職につくことが童貞を卒業できる唯一の道なんだよ?」
偉大なる私の教えに生意気に反発する弟
「アメーリカでは実力主義だし、転職を繰り返すたびに給料が上がるんだよ!
知らないの!?」
いっつもカラオケで英語にかぶれた歌を自慢げに歌いやがるこいつ
確かにこいつは250点だ
こいつは100点を超える才能を武器にのたまう
「 僕はTOEIC 250点だ! TOEIC 250点なんだよ!!
時代はアメーリカさ! アメーリカで転職を繰り返してっ
僕は『ビッグ』になる!! 僕を諭したいなら100点を超えてみろよ! 」
ちっ 女心も日本の年功序列もわからぬ底辺め、、、
たしかに英語の才能はあるようだけれどな
座学で高得点を取っても、『社会』をわかっていない
クズでも弟は弟。。。
あぁ、かわいい
死ぬほどいじめてきたが、長い付き合いもある。。。
ーーー 優しく諭してやる
「 定職につきなさい 」
「ぐ、、、カスが! そういう精神が世を悪化させてるのに!!」
世を悪化させている『カス』が吠える
ふふっ
「定職に就かなければ、誰一人としてあなたには振り向かないわ」
i like ONI ~ GIRIっ !!
ここぞとばかりに畳み掛ける
小3の頃、 習いたての英語を自慢した過去を想い出す
「 おいっ 」 愚弟の髪を引っ張って自転車から引きずり倒す
初めて「 外来語 」を学んだこの感動を、 自慢を伝えるためだ
突然のことに鳴く暇すらない愚弟に習いたての英語で組み伏せる
i likeっ ONI ~ GIRIっ!! ぎゅっ ばったんばったん
i likeっ ONI ~ GIRIっ!! ぎゅっ ばったんばったん
初めての外来語に興奮し、愚弟の髪を引っ張り回す
幼少期は興奮しやすい 感動多感症なのだ
1日1日見るものすべて、学ぶすべてに感動する
力加減を知らない幼子は、
一般人とはかけ離れた膂力で、愚弟の髪を引っ張り倒す
「 な、 なに?? 」
引きちぎられる髪 突然の暴挙に困惑するこいつの『つら』
覚えたての自転車から、頭頂部を引っ張り回されて転げ落ちるそのつらに対し、
優しく教えてやる
教えてもらったことを『誰かに教える』ことで血肉となるのだ
愚かな奴に『教え』を授けられる自分に酔う
「 い~ぃ? i like ONI ~ GIRIの意味はね、
鬼をぎりぎり半殺しにして、
生かしてあげるニホンビトならではの優しい昔話なの?
わかる? i like ONI ~ GIRI 」 耳元で囁く
「 ほぇ ? 」なつらを再度地面にねじ込む 埋める!
年長者の利権、 学年差からくる知識差を武器に
埋める!! 埋める!!!
英語を知らない愚弟を黙らせ、感動せしめた昔を改めて想い出す
「 ぱ、 ぱーふぇくと 」
一応私だって今もちょっとぐらいは外来語ができる
だが残念なことに、今のあいつはS級の『100点越え』だ
あいつには『外来語の特性』が私より『あった』ってことだ
だが、少しぐらい喋れるからっていきがる愚弟に
姉の威厳を充分に織り交ぜてぶつける
「ぐぐぐ、、、」
気味の悪い遠吠えをあげ、沈黙する負け犬、、、
『実力があっても、語学力があってもお金を稼げなきゃ意味がない』
そう思っていた
だが、少しだけ、
そう、少しだけ『あのカスが言うことも一理ある』を知ったストーリー
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
話は戻る
突如『全保連』を名乗る野郎から家賃滞納の電話が来た
「 だっからよ~ぉ? おめー、 おめーだよ おめーが家賃が払え 」
まず最初に思ったのは、
こいつの個情を特定したい!
拡散したい!!
意識高い系の正義感溢れるネト民を刺客として送り込みたい!!!
ーーー そして
あのなんちゃってインテリ転職野郎!! ついに落ちるところまで落ちたか!!
いまいましい! すぐに呼びつけて殴りつけてやりたい!
この3つとか4つだ いらついて数える暇もない
まずはこのなめた口をきく全保連の若造
カスハラの波に乗って威丈高に振る舞うこいつ
火曜日の燃えるゴミの日の朝に、偶然を装い、出会い頭に電柱に突き飛ばしたい
「 ほへ? もしかしてちゃんとゴミの分別ができてなかったんだろうか、、、
だから、 怒られてる、、、?
、、、ほえ? 」
突き飛ばされた理由を勝手に自己解釈し、納得しようとするそいつのまぬけづらは
きっと良い肴のつまみになるだろう 想像するだけで飯ウマだ
そしてあいつ! あの滞納野郎だ! 殴りつけるなんて生温い、
今すぐにでも自動車で轢きに行こうか、、、
昨今はまだまだ道交法が甘いらしいし、、、
あぁ、だめだ
こんな電話があった後にやつがひき逃げ事故に遭ったらすぐに足がつく
ひき逃げきるにもタイミングは重要なのだ
荒れ馬の感情をどうにか鎮める
数舜で自身にかぶる損益を考え最適解を探す、、、 これだ!!
「毎日頑張っているのね、おほほ でも滞納はだめよ? これ食べな?」
優しく諭し、その際に漂白剤で洗ったおにぎりを差し入れる
いけるか?
ーーーいや、だめだ あいつは耐性が強い、、、
雪見だいふくを1個落としてしまっても
それを一連の所作のように食べるのがやつだ
誤って酵素系漂白剤を沸騰させたお湯で煮込んだ玄米茶を飲ませた際、
「 , , , う~ん、 今日はほんのりアルカリータ 」といってのけた舌だ
雑菌や薬剤への耐性が強い 酵素系のラベルはメーカーの嘘か!!?
成分や性能を推し量る技量がない国民をだまくらかしている!
第3者委員会やグローバルスタンダードがまるで機能していない証左だ!!
いまいましい
とにかく、 この腹痛系から支払わせる系への連携作戦はまず無理だな
どうやってあのクズインテリに対し、効果的に家賃を払わせられるか、、、
!! そう! 、、、これだ!!
「家賃を払え」だ!
いたってシンプル
私は思いつくまま『家賃を払え』とメールを送信した
それだけでいい それだけでいいのだ
だがあいつはインテリぶってたくさんスマホを持っている
あぁ、忙しい! あのくそインテリ気取った野郎!
とにかく遮二無二手当たり次第に『家賃払え』メールを送った
~~~~ エピソード俺 ~~~~
仕事が終わって家につく
防犯カメラ代わりにしている、
家置きの副回線スマホにSMSが届いていることに気づく
主回線、副回線、安い月額料金だしYouTube見放題になるから契約しているやつ、防犯カメラ用、などなど、複数台のスマホを使いまわしている
音声通話SIM、データSIMのみ、いくつか契約しているのだ
そんな中の、
防犯カメラ用として利用している端末にメッセージが届いていたのに気づく
姉からだ
「家賃払え」
3秒ほど画面を注視し、メガネをくいっとあげる
支払い忘れの督促電話が不動産会社から来ていたのに、
さらに支払い忘れてしまっていたことを思い出す
昨今は連帯保証人がいないと
そういったサービスに余分にお金を払わないといけない
だから姉に連帯保証人をお願いしていたのだ
ーーー 迷惑をかけてしまったな
急いで詫びのメッセージを送って、
既に入金済みであることを伝えるメッセージを送らないといけない
ただ、 ほんとに払うかどうかは気分次第だ
ーーー だってそうだろう ちょっと考えてみてほしい
誰かが自由な大地に勝手に掘っ立て小屋をおったてて、
住んだら住んだで家賃という名の金銭を要求してくる、、、
ーーー 狂っている
だがしかし、その掘っ立て小屋に住まないと
仕事を斡旋してもらうことも、家庭を築くことすらも困難になるのだ
一体いつからこうなったのだ 掘っ立て小屋をおったてたもん勝ちじゃないか
ーーー 自由な大地を返せ
この小さな民意が大きなうねりになることを期待する
掘っ立て小屋の利益を享受しながら悪態をつきつつ、
IHコンロをスパークさせお湯を沸かす
1分、、、
2分、、、
3分、、、
、、、
7分
お湯が沸騰した
数秒ほど鉄製のお湯沸かし専用のお鍋を見つめる
残念なことにアルミ製のお鍋ではIHコンロは反応しないのだ
だから鉄製のお鍋を愛用している
沸騰してきたお湯を見つめ、IHコンロをOFFにする
好みの玄米茶の葉を、鉄製のあの網に入れる
あれ、 あれだよ
葉っぱを入れるあの鉄の網、 なんて名称なんだろう
わからないことは調べないとなんとなく気持ち悪いのだ
ほっておくと、また同じような状況に陥った時、
『あぁ、、、あれなんて名称だったっけ。調べておけばよかったなぁ』
って、定期的に悩むことが嫌なのだ
何年も何年もそのたびにに
『あぁ、、、あれなんて名称だったっけ 調べておけばよかったなぁ』
なんて悩みたくない 時間の無駄なのだ すっきりして前に進みたいのである
だから面倒だけどググって調べるようにしている
『お茶の鉄網』
『茶鉄』
『レイジングストームっぽいやつ お茶 名称』
『ドフラミンゴ 糸 お茶 名称』
『MMAケージとお茶 名称』
『茶道 お茶 鉄 網 団体戦』
『穴の開いた鉄 俺の好きな出汁が流れる not Ero』
数分ググってみるけどなかなかHITしない
ばかめ 、、、ポス
まともな検索はおろか、正規表現すら理解できないG検索
天日干ししていたお布団をそそくさと寝室に取り込み、
その上に改めて ボスン と投げつける
世を席巻する検索エンジンなくせにまともなレスポンスすら返せていない
双子AI野郎に同僚AI野郎、開放的なAI 、、、じらすな
さっさと意図を組んで回答をよこせ
茶葉がお湯に浸かり、すっかり色合いも鮮やかな頃になって、ふと気づく
これは形態素解析の手法に対する新たなビジネスチャンスか?
まだまだ、検索エンジンやAIは『意図を組む』ことに慣れていないようだ
悪態をつきながら新時代の幕開けに活躍する自分を想像し、感動しつつお茶を飲む
まずは迷惑をかけた姉に急いでメッセージを返信しなくてはな
改めてメッセージを読んでみる
ーーー 昨日の15時
「この野郎! 全保連に番号教えれ! おめえ一体いくつスマホ持ってんだよ!
違う番号かけたし! 手当たり次第にメールで家賃払えって送ってやった! 笑
絶対詐欺師と思われた!」
ーーー 昨日の11時4分
「入金が確認できないって! 全保連に電話しろ! この野郎! 殺すぞ!」
ーーー 昨日の11時4分
「忙しい! 殺すぞ!」
ーーー 昨日の15時18分
「〇〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇〇」
ーーー 昨日の15時18分
「ここにかけろ! この野郎! 次の輪廻に選択権はねぇからな! 殺すぞ!」
ーーー 昨日の15時18分
「今日までにやらんと請求がこっちにくる! この野郎!
明日から安心して街を出歩けると思うなよ! こっちは忙しいんだよ!」
急須から立ち昇る湯気と、玄米茶の香りがダイニングに溢れる
『すぅーーーーー、、、』
丹田に気を溜めるように深く深呼吸をする
こわ、、、
メガネをくいっとあげ、返信する
「 ごめんにゃん、この携帯は普段家に置きっぱなしだから気付かなかったけど、
お昼休みに既に支払ったよ すっかり忘れてたずら 」
こわいので、少しの嘘と溢れる愛想をメッセージに込める
「おい! この野郎! 今すぐ全保連に電話しろ!
『払ったずらー』ってな! 殺すぞ!」
秒で返信がきた こわぁ、、、
こいつ、 猫嫌いだったっけか、、、
一応、支払ったふりをして、指定の電話に急いで電話をかけてみる
コンビニ決済した場合、時間差があるのだ
その差を利用してすっとぼける心構えをした
『おかけになった電話番号は現在使われておりません。XXX、、、〇〇〇、、、』
!!????
頭が真っ白になった
真っ白になった頭 震える唇 目の焦点が合わない ま、まさか、、、
「 、、、詐欺か 」
まさか騙されるとは、、、 絶対に騙されないと思っていた
一応、おいおい支払うつもりだっただけにショックが大きい
こんなのに騙されるのはOldiesだけだと思っていたのに、、、
メガネを外し、目頭を抑える
もみもみもみもみ 、、、もみもみもみもみ
1分ほど遠くを眺める 昨今のスマホ過剰利用世代に効果的な
次世代ストレッチだ
まずは落ち着こう ほんとに騙されたのか見つめ直す時間だ
まずはあれ、あのメガネの脂を拭くあの布
メガネ用のあの布、あれだよ、あの布 あの布で拭くと手油が落ちる布
あの布を使ってメガネを拭いて落ち着きを取り戻したい気持ちになった
あれはどこにやったっけ
あのメガネのこ汚い汚れをきれいに拭き取るあの布ってそもそもなんて呼ぶんだよ
こんな時ですら、気になってしまう
気になると調べずにはいられない
『メガネ 布』で検索する
、、『メガネ拭き』か
ーーー ようやくいい仕事をしてくれたな エンジン
気持ちを取り直し、曇りなきメガネをかけ、姉に嫌々電話する
もしかすると、姉を語る詐欺師かもしれないし、姉も騙されている可能性もある
ここは毅然とした強い気持ちで伝えるべきだ
「 は? このしょうじょう野郎!
その番号に電話してみたけどつながらないのですが!!?
自宅に送られてきた請求書とか、この電話こそが詐欺ではないのでしょうか!?
真面目に家賃を払ってきたモロの一族と知っての無礼か!?」
姉は諭すように、口汚く罵る
「この野郎!とにかく払え!
こっちには全保連から電話が来てるんだからな! この野郎!
あ! また電話だ! ちょっと待っとれ!
『もしもし!? この野郎! この口座に振り込みやがれ! この滞納やろう! 殺すぞ! 全保連から電話が来てるんだよ!
〇〇〇!!! △△△!! ■■■■!』
おい! 待たせたな! とにかくおめーへの鬼電で忙しいんだよ!
さっさと払え! 殺すぞ! この野郎!」
姉は興奮すると一直線である
一体何人の『私』に連絡しているだろう、、、
「 お、落ち着きたまわれ! 森の賢者よ!
既に支払っているのになぜそのように荒ぶる!」
『何!? ちゃんと支払った!? 嘘つけこの野郎!
こっちは全保連から連絡きてんだよ! 連帯保証人解約すんぞこの野郎!』
荒ぶる神に対し、用意していた加工済みの画像を提示する
支払い済みのコンビニのスタンプが押された用紙を加工したのだ
昨今は電脳戦に疎いやつこそが カモ なのだ
『ひらがな』『カタカナ』『漢字』『法制度』を熟知した店員なんて存在しない
ましてや『AI』がその『綻び』を埋めるのだ
現行法律下ならあと10年は底辺をだまくらかせる自信がある
「 ほらっ! 見てよ! 僕は既に納付済みだっ!! 」
保留電話から復帰し、姉は優しく言う
「ほんとに払ったんけ? なぁら大丈~だぁ
きっと後で確認の電話がくるからよ イモトからな」
グレーから黒に変わった瞬間だった
相手の正体が『怖い姉』から『詐欺師』だとわかった瞬間だった
ーーー 誰だよ イモトって
メールで手当たり次第に『家賃払え』と送る姉
そもそも家賃を支払う気がない俺
謎のイモト
謎が謎を呼ぶ新感覚ミステリーホラー小説
『全員詐欺師』
あとがき ~~~~~~~~~~
ことの発端は、昨今、いくつかのコンテンツで、セキュリティのために利用されている
『下記の認証番号に『120秒以内に電話してください』という仕組みを知らない姉』と
インテリぶった俺の物語
これは、良かれと思ってセキュリティを高めるのはいいけど、それに追いつけない情弱、その点を突いた手法に対し、問題提起したWEB小説なのである
その後、 全保連の『イモト』さんから連絡があり、
督促状発行料金3000円と、
滞納していた家賃を支払うことで幕は閉じた
後日談 ~~~~~~~~~~
昨今の『IT』の仕組みをゆったけど
唇の右上をかきかきしながら、
「 知らん 」って言われた
どうやらあまり興味はないようだ
そして過去の経験とかどうでもいいみたい
つよっ