表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤高の魔法少女ちゃんはぐーたらオタク生活のために英雄になる(予定)  作者: のこじ
第一章 孤高の魔法少女ちゃんは平凡にぐーたらしたい(無理)
3/8

第3話 危険度《レベル》5の魔物 前編

リアルなんて知らん。

 危険度(レベル)5の魔物と急に言われてもわからないだろうから少し説明をしよう。


 妖精曰く、魔物とは別世界からの侵略者である。

 彼らの目的はシンプルにたった一つ。


 ”生存”


 野生の生物達に備え付けられている本能の一つである。

 彼らは”生存”するために、肉を喰らい、”生存”するのにふさわしい住処を作る。

 そんな彼らにとって人間の家というものは住処を作るのに邪魔であり、なおかつ人間をエサにもできる為、よく人間を襲う。人間だけでなく、他の生物も襲うこともあるが。

 魔物は体表が魔力で覆われており、魔力を使った攻撃でないと、ダメージを与えることが出来ないようになっている。勿論、彼らは別世界の過酷な環境に耐えているだけあって、魔力のこもった攻撃のちょっとやそっとでは傷すらつけることができない。また、過酷な環境の毒素によって、基本的に状態異常なども効きにくくなる。


 そんな魔物には危険度(レベル)というものがその強さによって妖精に定められている。


 基本的には危険度(レベル)は1〜5まで、と定められているが、例外的にそれ以上のレベルとして定められたものもある。例外は省くとして、危険度(レベル)1〜5はそれぞれ、


 危険度(レベル)1、市街小規模被害級

 危険度(レベル)2、市街壊滅級

 危険度(レベル)3、環境変化級

 危険度(レベル)4、災害級

 危険度(レベル)5、国家滅亡級


 となっている。やたらと物騒な文字があるが、実際に魔法少女がいなかった場合は1日のうちにこれら事が起こり得るらしい。

 そんな危険度(レベル)で言うところの国家が滅亡する強さである、危険度(レベル)5の魔物と戦う。


 現場についた時には既にビルの倒壊やかなりの被害が出ており、死体らしきものもあった。

 これ以上被害は広がらないでほしいところではあるが、暴れるなと魔物に言ったところで通じない。


 私も初めて見る危険度(レベル)5の魔物はイノシシのような見た目をしていた。………大きさがまるで違うが。おそらく20メートルはある。

 それに、目が8つと足が6本あり、背中からは触手のような漆黒のウネウネも4本生えている。

 うーん異形。


「うわぁぁぁあああ!!」


 魔物によって人が襲われている。というか食われかけている。それも生きたまま。


空間圧縮(コンプレッション)&重力方向変更ディレクションチャンジ


 生きている人を見捨てるのもよろしくないから私の後ろへと重力方向を変え、空間圧縮で一気に引っ張った。たったこれだけでも非力な私の筋力でも人を引っ張ることができる。


「た、助かりました………」

「早く逃げなさい」


 私は彼を逃がしつつも刀を振って地面を少し割り、魔物に牽制を行う。


 私の到着で魔物が私を警戒対象にしたのか、暴れるのを一旦やめ、様子を伺い始めた。

 この魔物は相手の強さをある程度わかるらしい。


『あー、あー。聞こえるかい?』

「聞こえてる」


 モチーフであるアクセサリーから私の専属妖精の声が聞こえてきた。


『今からそちらへ向かうよ』

「理解」


 すると、1秒もしないうちにリンゴ型の妖精がアクセサリーから飛び出てきた。

 勿論、私の専属妖精である。名前はアンチニュートン。なんか物理に真っ向から反対していそうな名前だが、何も関係ない。………多分。


「色々と言いたいことはあるけど、君の任務は一つ。魔法少女ランキング3位が来るまでの時間稼ぎだよ。君が適任だと上が判断したんだ」

「了解」


 時間稼ぎ……。

 まあ、確実に倒せるならいい。


 私が油断していると思ったのか、魔物が突進してくる。


「速っ」


 突進という、言っていることはアホらしい。……が、実際は恐ろしい速さである。ソニックブームが発生している。

 あの巨体でどうやったらあんな速さを出せるんだ………??とも思ってしまう。


 先程と同じように空間を圧縮させて、横に回避する。遠くでガラガラとビルが崩れる音がした。

 当たらなかったことに怒ったのか、今度は触手を伸ばして私を攻撃してきた。


「っと」


 同じ要領で空間を圧縮させて後ろへ大きく跳ぶ。


 うまく触手の射程範囲外まで逃げ切ることができたようだ。なお、1kmほど射程はある模様。


 先程から重力方向変更ディレクションチェンジを使っていないのは魔力の消費を抑えるため。

 私は魔法少女の中では魔力が多い方であると自覚しているが、それでも私の魔法、『時空間魔法』は消費魔力量が多いのだ。


 魔力の消費を考えて、アンチニュートンに質問をする。


「何分時間を稼げばいい?」


 その間にも触手が伸び、また突進も行われる。それに合わせて、地面を大きく抉り、住宅街が瓦礫に変わる。おそらく人死が追加された。申し訳なく感じる。


「うー。あと20分といったところらしい」


 えぇ……。


 時間を稼ぐだけならば1時間ほどは稼げると思う。ただ、それは行動パターンが一定だからであって、行動パターンが変わってしまったり、私の行動を学習されてしまったらおじゃんになってしまう。


 ビュンッッッッ!!


 触手が今までにない速さで私を貫こうとする。


「っ!!」


 勿論、避ける。だが、そこから触手がもう1段階伸びた。

 空中にいるため、すぐには避けれない。


「空間付与、『断』!!」


 刀に空間属性を付与し、空間ごと触手を切る。

 切り落とした触手は少しの間うねうねと動いていると、爆発した。


 ほら、言わんこっちゃない。

 行動パターンを読まれ始めて行動も変わり始めた。

 しかも、なんだコレというレベルで。


「ねえ、アインネ、『断』を使えばあのイノシシ的なやつにもダメージを与えることができるんじゃないかな?」


 そう思うかもしれない。だが……


「無理。切ったそばから再生される」


 もう既に切ったはずの触手は再生されており、そもそも本体は体が大きすぎて切ったところで何も怒らないだろう。


 触手が3()()それぞれバラバラのタイミングで私を追跡する。


「太さが変わってる!?」


 統一して1mぐらいだったはずの触手の太さが10mほどに太くなっている。


 躱し、躱し、躱し続けるが、反撃のチャンスは伺えない。

 それどころか、追い込まれている予感がする。


「ッッ!!!」


 気づいたときにはそれらの触手によって逃げ道が1方向のみになっていた。


「不味いね……アインネ」


 その方向にしか逃げ道がないから逃げる………となると、魔物の思う壺だ。


「『断』『断』『断』『断』『断』ッッ!!!」 


『断』を5回行い、無理やり触手を切断し、逃げる。


 だが、触手は地面に潜ったり、空を横切ったりして、私の逃げ道を塞ぐ。

 どうしても私を始末したいようだ。


 シュルルルルルルル―――。


 3()()の触手が更に加速したかと思うと、私を包み込むかのように動く。


 3本?4本だったはずでは………。

 そう思ったときには遅かった。


 残り1本の鋭い触手が更に加速した速さで私をめがけて伸びる。


 これは………貫かれる!!

 速すぎて『断』では対処できない!!


 仕方がない。


「『空間転移』」


 うぅぅぅぅっっっッッ!!


 魔力が大きく減った感覚とともに一瞬で触手包囲網から抜け出す。


 だが、そこで触手は止まらなかった。更に追撃が飛んでくる!!


 ………と思った時、触手が魔物のところまで引っ込んだ。


「あ、危なかったね………。でも、これはチャンスなんじゃない、アインネ?」

「いや、」


 急に触手が100m以上の大きさに膨れ上がったかと思うと大きく伸び、それを振り下ろし始めた。

 ……先程までは触手の射程は1kmであった。だが、今は10km程まで射程が伸びてしまっているようだ。


「ちょっとそれはアインネでも不味くないかい?」

「これは………無理かな」


 アンチニュートンもこれにビビっているのか、声が震えている。

 勿論、私も恐ろしく感じる。


 だが、引けない。

 都市圏な為、半径10km圏内には多くの人がいる。おそらく50万人はいるだろう。

 流石にこれほどの大規模の人死は不味い。


 私だけならば生き残ることは可能だが………!!








 触手が振り下ろされ、人々が死ぬ………。








 その瞬間であった。ピタリ、と触手が空中で止まった。

 それと同時に夜空に煌々と()()()()が差して、触手を浄化し、あれだけ巨大だった触手が蒸発したかのように消え去る。


「ふぅ、あ、危なかったです。アインネさん、無事でしょうか?」


 我らが聖女様の登場である。

次回も一週間以内に投稿。

〜ちょっとしたヒント〜

主人公は魔法少女ランキング4位。

3位から上と4位から下では大きな差がある。

それは――――――――――――である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ