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孤高の魔法少女ちゃんはぐーたらオタク生活のために英雄になる(予定)  作者: のこじ
第一章 孤高の魔法少女ちゃんは平凡にぐーたらしたい(無理)
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第1話 魔法少女アインネちゃんの表の顔と裏の顔

新作です

「グルオオオオォォォォ!!!!!!」


 強大で禍々しい瘴気を放つどことなくクマに似た生物が咆哮を上げる。

 相対するは美しい黒のドレスを着こなす煌めく白銀の髪をもつ大人の美しさを持ち始め、それでいて子供としての可愛らしさを残す少女。


「ガアアアァァァァアァ!!!!」


 クマには少女がエサに見えたらしい。少女を捕食するために絶命させようとその鋭い爪を振り上げる。

 だが、その爪は少女に振り下ろされることはなかった。


「グルァ?」


 クマは困惑した。

 確かに腕を振り下ろしたはずだ、と。

 しかし、その腕を見ようとした時にはクマの体はバラバラになっていた。

 まるで、サイコロステーキのように。


「断」


 少女はそう小さく呟くと己のもつ刀を鞘に納めた。


 クマは声を上げることすら出来ずに、また己がすでに死んでいることにも気づかずに死んでいった。






「今回の任務も完了。あとはよろしく」

『わ、わかりました、アインネさん』


 魔法少女としての任務が終わった私はマネージャーに電話をかけ、帰宅の準備をする。


 私が来る前にクマっぽいものが暴れていたであろう場所はすでにいくらか更地になっている。

 よく人から()との戦闘はその場所の復興をしろ、と上から目線のような言い方で言われたりするが、それは私の仕事ではない。私の仕事はあくまで()を駆逐すること。

 そういった復興は政府の仕事。私達魔法少女は実質的に政府の管理下にあるとはいえ、そこまでの手は回らない。

 そんなことをするのは一部の聖人だけ。

 魔法少()だから聖女?

 いや、同じか。


 家に帰る前に妖精界に寄る。

 妖精界とは、魔法少女と妖精だけが入れる空間で、主に休憩や会議などを行う場所である。勿論、妖精界内に住むことも可能で、衣食住すべてを整えることができ、娯楽やレジャー施設なども完備されてある。言うならば地球がもう一つあるようなもの。

 そこまでの大きさはないけれど。

 魔法少女を管理する政府の部署もそこにある。


 私がそこに寄った理由は一つ。

 今晩のおかずを買うため。正確にはおかずの材料。

 妖精スーパーと呼ばれる妖精界にあるスーパーに寄ると、少しばかり能力を使う。まあ、単に認識を阻害しただけであるけど。

 今晩は唐揚げにする予定だから鶏肉を多めに買わないと、と妖精スーパーのカゴに鳥モモ肉を入れる。美味しい鶏肉見分け方は知らないから適当に一つとる。

 会計は一瞬で、専用のスマホを出入り口のセンサーにかざすだけ。

 ピロンという音で会計が終わる。


 ………いや高。


 スマホの画面に200pt消費しましたと、表示が出てきた。

 ptとはポイントの略で、魔法少女が任務を完了した時に支払われる。所謂、妖精界内での共通通貨のようなものである。

 1pt=10円ほどほどなので、2000円も鶏肉にかかったことになる。


 ………500gの鶏肉にしては高すぎ。


 私自身、ptに余裕はかなりあるから問題はないが。


 買い物が終わったところで収納の魔法を使って、鶏肉を空間内に収納させる。この魔法については後々に語ろう。


 妖精界と現実世界は物理的には繋がっていない。そのため、魔法少女の姿の時のみ魔法少女は妖精界と現実世界間の転移をできるよう、妖精達からアシストされている。


「今日も頼みます」

「へーい。わかりました」


 軽い雰囲気で妖精が私に答えた。

 そのアシストを使って妖精界から現実世界へと戻る。勿論、現実世界から妖精界へ向かうときもこの転移を使っていた。


 妖精界と現実世界は転移ポイントと呼ばれる場所のみで移動することができる。

 最寄りの転移ポイントは家から3kmほどでそこそこ遠い。

 だが、そこは私の能力を使って家までの道のりの空間を圧縮して、一歩で目的地までたどり着かせる。やっていることは事実上の転移とほとんど同じだと思う。

 目的地である家前にたどり着くときには私は変身を解除した。


 すると、たちまち私が着込んでいたドレスが消え、いつもの学校ジャージにもどり、髪色も白銀から黒に戻る。




 変身前につけていた眼鏡も戻ってきた。

 よかったよかった。これがないと何も見えないんだよね。


 ん?口調が変わってる?

 いや、これは魔法少女時は魔法少女時のキャラを、通常時は通常時のキャラ作りをしてるだけね。

 それは勿論身バレ防止の為だけど。


「ただいま〜」


 玄関のドアを開け、家に入る。家に親がいるから鍵はかかっていない。

 靴を脱いで持っていた手荷物を自分の部屋に置きに行く。

 自分の部屋に入るところで、お母さんが出迎えてくれた。


「おかえり、雫。頼んでいたおつかいのものは買ってきてくれた?」

「うん。高かったけど」


 渡す前に手荷物を部屋に投げ入れる。

 乱暴とは思わないで欲しい。だって手荷物(空)だからね。


 お母さんと一緒にキッチンに向かい、収納の魔法に収納した鶏肉を取り出す。

 あれ?魔法を見せても大丈夫なのかと考える人もいるかも知れない。だけど、安心して欲しい。お母さんは私が魔法少女だということを知ってるからね。見せても何も問題ないのです!!

 どの魔法少女か、とまでは教えていない。流石に恥ずかしい。

 ちなみに、今のところお父さんには教える予定はないよ。

 そもそも魔法少女活動はお母さんも過去に行っていたこともあってお母さんにはすぐにバレてしまった。元々は両親共にバラす予定などなかったけれど。それに、お父さんに教えたくない理由が大きなもので一つある。

 それは………。


「ただいま」


 っと、噂をすれば御本人の登場だね。


「おかえりなさい。海広さん私にする?私にする?それともわ・た・し?」


 ちょ、お母さん!?


「そうだなぁ、魔法少女のときの雪にするよ」

「ほんと?じゃあ、寝室に向かいましょう?」


 え!?!?!?


「おかーさん?ちょっと、盛り上がるのは良いけどせめて夜になってからにしてくれない?娘の前でそんなことをして恥ずかしいと思わないの?ねぇ。ちょっとお父さんも雰囲気に飲まれすぎでしょ。いくらなんでもお母さんがかつて魅了の魔法少女と言われていた時代でもお父さんはとんでもない魅了耐性あったでしょ?それとも私がおかしいの?私が変な勘違いをしているだけなの?それだったらほんとごめんなさい」


 つまりこういうことだってばよ。

 破廉恥です!!!!

 多分今の私の顔は真っ赤。


 恥ずかし。




 結局、あの後仲直りをしてお父さんも含めて家族3人で仲良く一緒に唐揚げを作った。


「それでな、今日も魔法少女アインネは可愛かったんだ!!」

「それはよかったね」


 唐揚げを食べながらお父さんが私達に向かって話す。

 なぜそんなふうに熱く語るかというと、お父さんは何を隠そう魔法少女管理局の日本支部に属しているからね。

 一応、実質的に私自身のことを褒められているから少しむず痒いがそこはいい。


 問題はここからなんだよ。


「はぁあああああ、あのアインネちゃんをナデナデしたい。スーハースーハーして多分甘いであろう香りを堪能したい、抱きしめてあげたい、あーーーーーー」


 うん。わかるよね。お父さんに魔法少女活動をバレたくない理由がコレね。

 バレた瞬間、魔法少女への愛ゆえに何をされるかわからない。


「あらやだ海広さん。ナデナデもスーハースーハーも抱きしめるのも私だけにして欲しいわ」


 はい。うちの親、両親共におかしい説が出てきた。

 魔法少女大好き人間とある意味ちょいヤンデレから生まれたこの私、天間雫です!!


 ご飯を食べた後はお風呂に入り、お風呂から上がった後は自分の部屋に引き籠もる。

 そこでは私の魔法少女とは別の顔が姿を見せる。


 パソコンの電源を入れ、配信画面を開き、ヘッドホンマイクを接続させる。その他準備をすませ、配信開始を押す。

 口を開き、挨拶を行う。


「こんにちわ~アンです。今日もだらだらと魔法少女オタ活やっていきまーす」


 そう、私は魔法少女でありながら、魔法少女オタク系配信者でもあるのだ!!!

カクヨムにも投稿。

週一以上投稿を目指します。


ちょっとした登場人物紹介

・天間 雫 ………本作の主人公

・天間 雪 ………主人公の母親

・天間 海広………主人公の父親

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