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Ep.8 ポーラーシティ

肌寒い風が道草を揺らす。

暖かな日差しが降り注ぐいい天気だってのに、どこか寂し気な草原は。

果たして、ただの気のせいなのだろうか。





EP.…8  a/…ポーラー$シ/ティ?--∞---





ギィ

「…着いたようだ。俺たちはどこに飛ばされたかわかるか?ヒメ」


ヒメ

「ちょっと待っててくださいまし。今Menuで調べてみますわ」


ヒメはマップ機能を使って、今いる土地を調べてくれた。

ヒメが言うには、どうやらここは≪ポーラーシティ≫という場所らしい。

生息するモンスターの危険度は低いマップのようだから、一先ずは安心だ。

しかし、拠点となる国や街が少ない広けた地形をしているため、ほとんどの人が訪れず。

”不人気マップ”とされているらしい。


ヒメ

「はぁ…まさか1回目から不人気マップに移動することになるなんて…。ここはギルドポイントの獲得量も少ないって話ですし…」


ギィ

「近くに国や街があるって感じでもないようだ」


俺たちの会話の他に話し声は聞こえない。

あんまりにも静かなもんで、声がよく通りモンスターに見つかってしまいそうだ。


ヒメ

「はぁ~!!!!!やっちまいましたわ…。こんなことなら大人しくファミリエにしとくんだった…」


ヒメはがっくりと項垂れてしまった。


ギィ

「まぁいいじゃないか。人気が無いってことは”まだ誰も獲得していないお宝やメリット”があるかもしれない。ここが”外れマップ”と決まったわけじゃないさ」


ヒメは俺の言葉に半分ほど納得したようだ。


ヒメ

「…そうですわね。では、そろそろ行きましょうか」


ギィ

「あぁ、行こう」


ポーラーシティは2人の来訪者を歓迎することはない。そして拒絶することもなかった。

永遠に止まることのない”時間”のように2人の来訪者を受け入れた。






ギルド<プリティープリンセス>世界移動機能<ワープ>実行後から約2時間。


俺たちはポーラーシティのマップ内を歩き回っている。

その間、俺はポーラーシティの景観に何と説明すればいいのかわからない不思議な感情を抱いていた。

地面を覆いつくす多種の草花。

”何か”が崩れた後のように不自然な大岩。

フィールドに多く点在する遮蔽物には、スライムなどの弱いモンスターが生活できる”隠れ家”のような役割を果たしていた。


だがこのフィールドには強敵、宝箱、イベントそういった類のものが何もなかった。

いや、無いというよりも、かつてあったものを失くしてしまったかのような。そんな感じだと思った。


ヒメ

「ギータ!これはなにかしら?」


ヒメが草むらから飛び出して花弁が鈴のように見える草を振り回して走ってきた。

ヒメは探索を始めると元気を取り戻し、俺が追い付けない速度で草原を走り回っていた。

走り回って見つけた不思議なものを見つけてはこうやって見せにくるのだ。


ギィ

「これは…たぶん”送り草”だな。昔見た本に乗っていたよ。確か効果は…眠気覚ましみたいなものだった気がする」


ヒメ

「へぇ~!この植物にはそのような効果があるのですね!」



ヒメは目をキラキラさせながら送り草を見つめ、自分のバッグにしまっていた。

その後も≪冷魂≫≪涙の木涙の木(ティアーズツリー)の実≫等、たくさんのものを拾ってきた。

ヒメには探索の才能があるようで、モンスターからの視線をササッとかわしながら、どんどん進みどんどん拾ってくる。冷魂なんかは弾薬等にすると氷結属性の特殊弾にすることができる。

ヒメがいれば物資に困ることはなさそうだ。

そういったことを考えていると、またも興奮した様子のヒメが帰ってきた。


ギィ

「こんどはなにをみ…」


ヒメ

「早く!」



よほど珍しいものでも見つけたのだろうか、強引に腕を引っ張られる。


ギィ

「な、何か見つけたのか?」


ヒメ

「いいから!」


ヒメはかなり焦っている様子だ。

低木をお構いなしに踏み倒して小枝を折りながら走っている。

しばらくすると木が一段と密集した”森”のような地帯になっている場所に辿り着いた。

森を数分かけて進み、森の切れ目が見えてきた。


ヒメ

「さっきここを走り回ってた時に見つけましたの。この光景をギータにも早く見せたくって」


ヒメは立ち止まり、息を切らしながら前方を指さした。

目の前に広がる光景に、俺は思わず


ギィ

「あぁ…こいつは凄ぇ…」


と声を漏らしてしまう。


小さな森の中心には開けた空間があった。

まるで何かから隠されていたようなその土地には巨大な湖畔が静かに波を揺らしていて。

湖上には、ポーラーシティ全体を見渡すように、大きな城が鎮座していた。


ヒメ

「ギータ。ワタクシ今からあのお城に入ろうと思っているのですけど?」


ヒメは愛武器「プリンセスブレイド」を手に取ってそう言った。


ギィ

「そうか。じゃあ俺も付いていこう。」


俺たちは、ポーラーシティの隠れ湖で発見した”不思議な古城”に向かうことにした。


<Menu>

特殊フィールド<ポーラー王国跡地>を解放しました。₊300Gp


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