Ep.6 あだ名をつけるんですわ!
ヒンガナ・イメタボ
「それで、ここを押してくださいまし。あぁっ!!そこじゃないですわ!」
ギィ
「ここを押すのか?案外難しいな…」
今俺はギルド「プリティー・プリンセス」への加入手続きをしている。
本来ならギルド酒場等の施設で登録申請する必要があるらしいのだが、ヒンガナ・イメタボの持つ電子端末≪Menu≫ならばオンラインで申請可能だそうだ。
いやぁ~便利な時代になったものだ。
ヒンガナ・イメタボ
「おし、これでOKですわ!今よりあなたは正式にワタクシのギルド「プリティープリンセス」のメンバーとなりましたのよ!」
ギィ
「おぉ!よく分かってないがそうなのか!?」
ヒンガナ・イメタボ
「えぇ」
ヒンガナ・イメタボはMenuから手を放して俺を見つめた。
ヒンガナ・イメタボ
「いらっしゃいまし。ギルドにようこそ」
ギィ
「改めてよろしくな!」
少し照れ臭いので、2人ではにかむように笑った。
それから俺とヒンガナ・イメタボはMenuを使って色々な情報を見てみることにした。
ギルドメンバー一覧というボタンを押すと、自分のギルドメンバーの情報を見ることが出来るようだ。
試しにヒンガナ・イメタボの名前を押してみる。
Name ヒンガナ・イメタボ
Class ウォリアー
Guild プリティープリンセス
Memo ギルドメンバー絶賛募集中ですわ!誰でも歓迎いたしておりますので気軽にメッセージを送ってくださいですわ!p.sまだ新設ギルドなので今なら古参メンバーになれますわ!
ヒンガナ・イメタボ
「勝手に見んなですわ~!」
ヒンガナ・イメタボは「貴方のも見てやりますわ!」と言って今度は俺の名前を押した。
Name ギィ・タイトルズ
Class ガンナー
Guild プリティープリンセス
Memo
ヒンガナ・イメタボ
「普通すぎて詰まんないですわ」
ギィ・タイトルズ
「何も触ってないからなぁ。それにしても…」
このMenuという機械。想像以上に便利そうだ。
今はギルドについての情報を見ているがこのほかにも≪ランキング≫や≪イベント情報≫に≪冒険者の掲示板≫なんてものまである。ぜひうまく使っていきたいものだ。
ギィ・タイトルズ
「便利そうな機械だ。高かったんじゃないのか。ヒ…ヒンガナさんって呼べばいいかな?」
ヒンガナ・イメタボ
「うーん。それでもいいのですけど…その…」
ギィ・タイトルズ
「その…?」
ヒンガナ・イメタボ
「あだ名がほしいですわ…何か考えてくれません?ギータ」
ギィ・タイトルズ
「ぎ、ギータ?」
ヒンガナ・イメタボ
「えぇ、貴方の名前を知った時からこう呼ぼうと思っていましたわ。言い呼び方でしょう?」
ギィ・タイトルズ
「ギータか、まんまだな」
ヒンガナ・イメタボ
「き、気に入りませんか?」
ギィ
「…いや、悪くない。今日から俺はギータで通すことにする」
ヒンガナ・イメタボ
「よ、よかったですわ!!!」
ヒンガナは嬉しそうにジャンプした。
あだ名か。普段考えることがないからけっこう難しいな。
ヒンガナはギルドのネーミング、来ている服からして可愛いものが好きなんだろう。
可愛い名前…それに実名と同じ文字も入れるとしたら…
ギィ
「苗字と名前から1文字ずつとって・ヒメ…なんて…」
ヒンガナ・イメタボ
「っ!!??」
ヒンガナ・イメタボは雷に打たれたような表情を浮かべた。そして
ヒンガナ・イメタボ
「ヒメ…?ヒメ…!ヒメ!!ヒメ!!!」
ヒメ
「気に入りましたわ~!今日から私は!私の名前はヒメですわ~~~!!!!」
ヒンガナは「オーッホッホ」と高笑いし笑いすぎて「ゲホッ!!!」とむせていた。
ひとしきりむせた後、ヒメは俺のそばまでかけより手を引っ張った。
ヒメ
「今日からは私はヒメ!そしてあなたはギータですわ!!!」
ギータ
「あ、あぁ!喜んでもらえたなら良かった。ヒメさん」
ヒメ
「~~~~!!!!」
ヒメ
「さんづけは不要ですわギータ!オーーーホッホッホッホ!」
2人して同じ場所をぐるぐると小回り。
年相応じゃないとも思ったが、まだ俺が少年だった時を思い出すかのような賑やかで、ちょっとうるさいくらいの昼下がりも、偶には悪くないと思った。