Ep.1 鐘はどこまでも響く
例えば
5人vs5人の対人戦。
この試合に貴方が挑戦するとして。
貴方はどう戦う…?
・強い仲間を集める。
非常にいい作戦だ。
たとえ自分がどれだけの研鑽を重ねて、比類なき力を得たとしても仲間が弱く。一瞬でやられてしまえば敗北は濃厚だろう。
仲間が強ければ、貴方の足を引っ張るどころか手厚いサポートまでも、してくれることがあるかもしれない。
・性能が高い武器を使って戦う。
これもまたいい考えだ。
武器には優劣があり、石も切れない刀もあるが、龍をも貫くナイフだってある。いい武器を使えば勝利の確率も格段に上がるだろう。
…ん?
いきなり質問なんかしやがって。
お前はどうなんだって?
そうだな。俺がもし同じ質問をうけたとしたら
こう答えるだろう
「敵が気づかないほどの超・遠距離から一方的に攻撃したい」…と。
Ep.1 鐘はどこまでも響く
更歴2999年12月31日
風領ポフール 緩風と春色の村「イージス」
柔らかい雪がイージスの街に降り積もる。
まだ十つにも満たない子どもたちが、夜の街を走り回っていた。大人達も今夜はそれを咎めることはない。
ある者は朗らかな表情でワインを喉に流し込み。
ある者は腕を組み、見知らぬ人と踊っていた。
ある者は感慨深そうに空を見上げ、感傷に浸っているようで。
2999年度、最後の1日。
落ち着いていた街の風景は、異常とも言えるほどに盛り上がりを見せていた。
「まぁ、それもそうだろう」
俺はカーテンを締めて、椅子から立ち上る。
分厚いコートで身を包み、家の扉を開けた。
外には大勢の人々が時計塔の前に集まり大声で数字を
叫んでいる最中だった。
≪街の人々≫
「10!…9!…8!…」
妖美な女性
「アンタも出るのかい?お隣さん」
隣の家に住んでいる美しい女性が珍しく声をかけてきた。
≪街の人々≫
「7!…6!…5!…」
「っはは。一生に一度の祭り…か」
女性の綺麗な横顔に俺は照れ、髪を触りながら。
≪街の人々≫
「4!…3!…2!……1!」
「…っどうしよっかなあ」
と、何ともパッとしない思いを呟いた。
街の人々
「………0!!!!!」
時計の針が一番上で重なった瞬間、世界全土に届く鐘の音がこのイージスの街中にも響き渡った。空を埋め尽くすほどの花吹雪やクラッカーが街の全てを染め上げていく。
1000年に1度行われる、世界一のギルドを決める大祭り。
「「ギルドフェスタ」」が始まった。