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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

kurokuro 短編小説集

★堕天★

作者: kurokuro

人の心から産まれる、負の産物。それが “魔物”

魔物は “魔力” を駆使して、人を殺し食べる。そんな “魔物” から人々を陰ながら助けるのが “魔法使い” と呼ばれる人だ。

なぜ、陰ながらなのか? 理由は簡単である。まず “普通” の人間は “魔物” を見ることすら、できない。さらに、過去に一度だけ一般人にも公開したが、混乱を招き、さらに責任感などから命を断つ者や、それを理由に人を殺す者が現れた。

以上の理由から、国は “教会” と協力し、この事実と史実を隠蔽した。結果、陰に隠れつつなのだ。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 「さて、行くぞ。ガキンチョ」


 「僕はもう、子どもじゃないんだ。師匠」


僕は今、東京の廃ビルの前に来ている。理由は任務だからである。


 「俺からすれば、お前はガキさ ❰ウィル❱」


 「・・・分かったよ。それで良い」


 「ツンデレだな~ウィルは」


 「僕はツンデレじゃない。それに、そう言うおふざけが命取りになるんだぞ。師匠」


実際に僕は見てきた。仲間が死んでいくのを。


 「心配すんなよ。俺は死なねぇ」


また、確証もなく・・・まぁ僕にとっても死んで欲しくないのは・・・何を考えているんだ僕は。こんなくだらない事を考えてる場合じゃないんだ。


 「フッ」


隣を歩く師匠が、どうしてか笑う。


 「何だよ」


 「この年になると、17のガキにも愛着が沸くもんだ」


そう言いながら、師匠は僕の頭をグリグリと撫でてくる。


 「まだ26だろ」


 「何だ、覚えてんのか?」


 「・・・うるさいな」


より一層、撫でる力が強くなる。正直に言うと、撫でられるのは、悪い感じはしない。だって・・・

なんて、考えていると、広間に出た。


 「居るな、でも、一体だけだ」


一体だけだが、その分大きい。ここら一帯の魔物が集結してるのだろう。が、問題ない。なぜなら、こっちには師匠が居るから。


 「さっ頼んだぜ。ウィル」


そう言って胸ポケットから出した、タバコに火を点けようとするが、直ぐに止まる。師匠は優しい。


 「ん。悪い、いつもの癖で」


僕の前では、極力タバコを吸わない様にしているらしい。理由は 〔ガキに、この味は早すぎる〕 とのこと。


 「良いよ。その代わり、手伝ってよ」


 「ん? ヤだ」


いつものことだ。いつものことなのは、分かってるけど、一応理由を聞く。


 「え~だって、めんどォオ、じゃなくて、お前のためだよ。そう、お前のため。お前の成長を促すためでから、な?」


うん、だろうね。そう思いつつ、今もなお言い訳をする、師匠を脇に、僕は手をかざす。辺りが金色に光る。と言っても三秒程だが。


 「 “光魔法” も “詠唱” なし、 “法陣” もなし、とはさすがは “神の子” だ」


自慢気に話している師匠は、放っといて “魔物” が死んでいることを確認する。


 「良し、あとは報告するだけだな」


そう言って、一足先に廃ビルの出口に向かう・・・ん? 何で付いて来ないんだ? 疑問に思った僕は、振り返った。そこには、タバコに火を点けた師匠が、居た。


 「・・・フ~後ろ向いてたから」


今、鏡を持っていたら、直ぐに見ていただろう。僕がどんな顔をしているか、見るために。


 「ハァ~師匠、先に出て待っとくから、直ぐに来てよ」


 「直ぐには無理だから、ほらよ」


そう言って、僕の手に千円札を乗せてくる。


 「最近暑いからな~アイスでも食って待ってろ。あっ俺の分も残しとけよ。あっ! できればチョコな~!」


僕は、歩きながら手を挙げた。師匠のことだから、分かるだろう。それにしても・・・やっぱり師匠は優しい。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


廃ビルから出た僕は、真っ先にコンビニへ向かった。日曜日の昼だからだろうか、三人組の小学生とすれ違う。思わず、微笑んでしまう。

先ほども言ったが、一般人は “魔物” の存在すら知らない。だが、それで良い。あんなモノ知らない方が、幸せだ。僕たち “魔法使い” が犠牲になる代わりに、彼らの笑顔が守られるなら、それで良い。


 「いらっしゃいませ~お会計は・・・」


 「現金で」


 「袋は・・・」


 「お願いします」


 「合計で、六百二十一円になります。千円お預かりして、お釣りの三百七十九円になります」


何てことを考えながら、僕は黙々と二人分のアイスをレジに通していた。僕はカップアイス。師匠はソフトクリームで良いだろう。


 「ありがとうございました~次の方どう・・・ぞ?」


コンビニから出た僕は、廃ビルの前に向かった。勿論、アイスを食べながら・・・それにしても、遅いな。直ぐに来るって・・・


「ん?」


スマホのバイブが鳴っていることに、気づいた。直ぐに、スマホを取り出してみると、電話だった。相手は勿論、師匠だ。


 「何やってるんだ? 師匠」


雑音が入っており、何を言っているのかがいまいち分からない。

 「電波が悪いぞ、師匠」


 「・・・悪い、ウィル。俺の分のアイスは食っといてくれ」


 「・・・分かった。でも何で?」


 「あ? あ~任務が入ったんだ。急な任務が、な」


任務、なら仕方ないか。 “魔法使い” にとっての、任務はどんな事よりも優先される。


 「がんばって」


 「お前に言われんでも、分かっとる」


そう言って、電話が切られる。こうやって、僕たち魔法使いの非日常を楽しむ前に、日常がやってくることは、頻繁にある。それこそ、僕なら断然・・・待てよ。どうして師匠なんだ? この手の物は僕に回って来るはずじゃ・・・いや、それは自惚れ過ぎか。それに、確かに僕は他とは違うけど、僕を止めてくれたのは師匠なんだ。きっと、そんな師匠でしか達成できない事があるのだろう。さて、じゃあどうするかな。この、アイスとお釣り。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


二年前、当時十四歳。

毎日毎日寝る間もなく “神の子” として、一般人から産まれる “魔物” を殺し続ける。大抵の “魔法使い” には、復讐やら大義やら正義等があるが、僕には無かった。気付いたら “神の子” と呼ばれ “魔法使い” に称賛され “魔物” と戦っていた。そんな、僕に “魔法使い” を続ける理由が無かった。それでも辞めなかったのは “教会” から “魔法使い” から “人類の希望(ほし)” だなんて呼ばれていたからだ。一般人とは、違う。特別だから、責任があると思っていた。

けど、思春期と言った心の成長により僕は、疑問に思った。


 「何故?」


と。僕は僕の為に戦っているのではない。戦うのが僕の為でもない。なのに、どうして僕は続けているのかと。僕は、疑問に思ってしまった━━━


そこからは直ぐだった。街を破壊し、手に入れた力を存分に払い。僕に対して恐怖したことから、産まれる “魔物” を殺し、今まで積み上げてきた物、全てを蹴り崩していくのは、とても楽しかった。アレだ。あの感覚。蟻の巣の中に水を流し込んで、その辺に落ちてる小石で塞ぐ、あの感覚。強者として、逃げ道を塞ぎ、何もできず知らない内に死んでいく、ソレに似ている感覚が楽しかった。

僕は、花が咲いている道と、咲いていない道があれば、迷わず咲いている道を歩く。それも、わざと踏むように。気付いていないフリをして。


そんな最高の時間は長くは続かない。 “教会” が黙って見ているハズが無かった。次々と “魔法使い” を投下する。僕はいとも簡単に、重傷を負わせ、帰還させる。何度も何度も繰り返す。そんなことをしていたら、一人。僕の前に現れた。師匠だった。海外で任務を終えた師匠が、僕の前に現れた。一目見たときは、他の “魔法使い” と同じだと思った。


 「お前、いくつ?」


訳が分からなかった。いきなり、年齢を聞かれるとは思わなかったからだ。


 「十四」


 「ん。そうか。なら、全力で来い。出し惜しみは無しだ。本気で俺を殺しに来い・・・んぁ~んだその顔。あ~ね。心配すんな、お前程度のヤツに殺される程、俺は雑魚じゃねぇ。むしろ、徹底的に潰して泣かしてやるよ。ほれ、来いよ。ガキンチョ」


飄々とタバコを吹かせながら、煽る。当時十四歳。僕の心に火が灯る。 “魔法使い” 同士の戦いでは、いかにして相手より速く魔法を放つかで、勝敗は決まる。だからこそ、魔法を扱うのに必須である三つの手順の内、二つを省略する。僕は手をかざし、 “電撃の魔法” を放つ。

が、同じく “電撃の魔法” で相殺される。しかし、僕とは徹底的に違う所があった。それは━━━


 「何もしていない?」


魔法を扱うのには魔力が必要である。つまり、魔力が無くなれば “魔法使い” にとっては死も同義である。だからこそ、魔力を抑えるために、魔法の軌道を指定するために、そもそも魔法自体を扱うためにも、三つの手順が必須である。それが・・・


 「ああ。そうだ。俺は “詠唱” も “法陣” も “掌印” さえも省略して魔法を扱える。手の内見せないっつ~点に置いては、良いけど。魔力がどっさり持ってかれるからな~お前は止めとけ」


そうだ。底無しの、神から供給を承け実質、無限の魔力を持つ僕でさえも、ソレをすれば後に影響が出る程だ。だが、ソレを可能にする、圧倒的な魔力量。元からの魔力の多さは向こうの方が、別格とも言えるほど、多い。


 「ん? もう終わりか?」


気圧されるな。どうせここで敗けたら、僕は死刑になる。だったら、僕の未来を! 全て捨て去った僕の未来を賭ける!


 「我、神降りて。我が肉体宿る神よ。その全てを我に渡し、邪を払え」


 “詠唱” 唱える事で力を底上げし、確実に魔法を発動させる。さらに、僕の体中に “法陣” が描かれ、空にまで広がる。両手を前につきだし “掌印” により、軌道を定める・・・


僕の全てだ。


 「 “光魔法” 《楽園(エデン)》 」


大地が震え、辺り一面に広がる瓦礫は、粉と化す。天にまで届く光の柱が、僕らを包んでいた。


 「ん。まだまだ、だな」


吸っていたタバコを弾き飛ばし、言ってくる。


 「そろそろ良いか? 一発で沈むなよ?」


僕の前から、消える。否。鼻の先まで来ていた。そして、一撃。僕の腹に、一撃入れる。魔法も魔力も使っていない、素の一撃で僕は膝から崩れた。このまま、首か心臓を打たれ死ぬのだろう。そう覚悟した。が・・・


 「お前は子どもなんだよ。十四のガキンチョに、重てぇモン背負わせて、戦わせて、恥ずかしいよな? “教会” もそれに従う “魔法使い” も呆れるぜ・・・まぁ俺もその内の一人だけどな。その、なんだ。アレだ、その。全部とは言わねぇ。全部とは言わねぇけど、半分くらいは俺も背負ってやる。あ~心配すんな。俺はお前より強い。だから死なねぇ。俺を信じろ、ガキンチョ」


━━━━━━僕は


 「僕は━━━」


 「安心しろ、お前は死刑とかにはなんねぇよ。つか “教会” がぜ~たっいに! させねぇだろうな。絶対!」


━━━━━━


 「俺は俺の為に戦ってるぜ。人とは違う特別な力を持ってるとか、漫画みたいでカッコいいだろ? 戦う理由なんて、そんなんで良いんだよ。それに、俺にとっちゃあコレが一番大きな理由だ・・・お前には無いのか? 例えば、金が欲しいとか? パソコンが買いたいからとか? 後は・・・」


 「なんとなく。なんとなく、戦ってる」


僕には理由なんて無い。


 「じゃあそれが、戦ってる理由だな。なんとなくがお前の理由だ。そんじゃあ、なんとなく生きようぜ? なんとなく生きて、なんとな~く毎日を過ごす。深く考えなくて良いんだよ」


 「いいの?」


 「良いんだよ、それで」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 “転移魔法” を使い僕は “教会” の門前に飛んだ。報告もあるけれど、買ってきたアイスが溶けないように、自室の冷蔵庫に入れるためだ。そうそう、僕は “教会” の寮に住んでいる。 “魔法使い” であれば家賃やその他諸々を “教会” 側が負担してくれるので、住む以外の選択肢がほぼ無いのである。まぁ一つ面倒な所は、自室に直接 “転移魔法” で移動できない事だ。 “教会” には “結界” が施されており、 “魔物” や “魔人” だけが入れないようになっている。その結果、条件やら構築維持の為、厳重になっており “転移魔法” は “教会” の門前までとなっている。そこさえ、目をつむれば後は優良物件となっている。

さて、早くしないとアイスが溶けるな。そう思いながら寮の廊下を歩いていた時だ。


 「やっと会えましたね。 “神の子” いや “人類の希望(ほし)” と呼んだ方が良いですか?」


背後から声がかけられる。


 「どちらでも構わないよ」


振り返って見る。見ない顔だった。歳は、僕と同じくらいか?


 「初めまして、一週間前にここに来た ❰リル❱ です」


 「ああ、初めまして。ウィルだ」


気さくな少年だな。それが、僕の第一印象だった。


 「では、私はこれで。任務がありますので」


 「では、また」


まだ来て一週間だと言うのに、任務とは。相当の実力があるのだろうな・・・それに比べて。


 「 ❰マレル❱ 盗み聞きとは、趣味が悪いじゃないか」


寮の一室から、一人の少女が気に食わなそうに出てくる。


 「なぁんで、バレたんです?」


 「 “魔力感知” に引っ掛かるからだ」


 「溢れてませんよ!」


 「前も言っただろ? 僕は、本の少しでも溢れていたら分かるんだよ」


 “魔力” は全ての人間が持っている力だ。例え一般人であっても。そして “魔力” は “器” の中に入っている。が、誰であっても溢れ、体の外に出てしまう。ソレを逆手に取って、相手の場所や動作を特定するのが “魔力感知” だ。大体の “魔法使い” の “魔力感知” の範囲は目に見えていている、範囲が限界である。が “神の加護” を承けている僕は “教会” の敷地内が範囲である。


 「ウィル君は扉越しまで、分かるんだから、隠し事はできないね」


 「何か知られたら不味い物でもあるのか?」


 「そりゃあね、女の子だからね」


 「 “魔力” が込もってないなら “魔力感知” には引っ掛からない」


そう。あくまでも “魔力感知” は “魔力” に反応する。だから “魔力” の無い物には反応できない。


 「 “魔力” は込もってないけど、ウィル君ならできそうじゃん?」


 「できないよ」


 「え~でもウィル君、 “魔力感知” に引っ掛からないし、色々と規格外じゃん」


君も大概だとは、思うが言ったら調子に乗るから止めておこう。


 「引っ掛かるよ。溢れているのが、皮膚にくっついているだけで。それに “魔力” の抑えに関しては、師匠の方が規格外だ。アレは限りなくゼロに近い。何をしても “魔力” が微動だにしない」


そのせいで、何度驚かされたことか。


 「・・・師匠、師匠って、本当ウィル君てあの人に一途だよね」


 「恩人だからね」


 「はぁコレが一方通行なのか」


 「どう言う意味だ?」


 「ウィル君のことが好きだよって意味だよ~」


・・・ん?


 「それ、どっちだ?」


 「おっそのステージまで来たか!」


僕も世間一般的に見れば、高校生の年齢なんだ。僕も成長してるんだ。


 「アイスが溶ける! じゃ」


 「ああ~照れ隠し逃げだな~」


僕はマレルを無視して自室へと向かう。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


夢を観た。否。夢ではなく、六歳のときの記憶。


ある日、施設の先生と共に、病院に連れてかれて、検査をしたあと “教会” に行き、一面真っ白の部屋に入れられる。


 「少し、待ってくれたまえ。その間は、そうだな。クレヨンで絵を描くか、絵本でも読んでくれたまえ」


言われるがままに、クレヨンで絵を描く。部屋の外から、話し声が聞こえるが、自衛の為か。聞かないようにする。怖かった。両親に捨てられたから。また、捨てられないかと━━━


 「出ておいで。付いてきなさい」


一時間程度、経ち外から大人が来る。そして、僕の手を引っ張る。


 「先生は?」


 「これから長くなるからね。一度帰ったよ」


直ぐに分かった。また、捨てられたのだと。


 「僕は、必要ないのか」


ボソっと声に出すと、大人は喜びを隠せず、笑顔で答えた。


 「いやいや。必要だよ、なんせ選ばれたからね。 “神” に」


 「選ばれた?」


 「ああ、そうだ。選ばれた。 “神” にも “運命” にも、そして “希望(ほし)” にもね」


僕が居た施設も十二分も怪しかったが、ソレ以上に怪しかった。訳が分からなかった。それでも、僕は足を止めなかった。


それが、最大の過ちだった。


今から、数千年前。人類は力を “神” に求めた。自分達を創りあげた “神” に。 “神” は悩んだ末、自身が持つ力の劣化を与えた。それが “魔力” であり “魔法” だ。与えられた当初は、暮らしや技術の発展に勤しんだ。が、一年も経たない内に、力の使い方は変わった。他を襲い、苦しませ、己のために使い始めたのだ。結果、襲われ、苦しんだ者たちの心から、負の産物。 “魔物” が産まれた。 “魔物” は人類を殲滅しようとした。それに対し、自身の責任だと、負い目を感じた “神” は人類の味方と成り “魔物” と戦った。


激化する戦い、その中で傷ついた “神” は自身を存続できなくなった。そして、 “神” は “堕天” した。人間に生まれ変わった。しかし、人間如きでは “神” の力、全てを承ける事は出来ず。肉体も長くは持たなかった。


故に “神” は力に耐え得る人間を創った。完璧な人間を。何年、何十年、何百年、何千年と創り続けた。自身の責任を果たすために。戦いを終わらせるために。



それが僕に廻ってきたのだ。 “神” に耐え得る資質を持ちながら、自我の形成もされていない僕に。


足を止めなかった僕が連れてこられたのは、先程とは正反対の真っ黒の部屋だった。否。部屋の中央だけは光っていた。 “神の棺” が有ったからだ。僕は気づけば近づいていた。そして━━━



無限の苦痛。無限に流れ込む、記憶。肉体に刻まれる、数千年の悲鳴と憎悪。自身の中に何かが来る、恐怖。


しかし、ソレに耐え得る、肉体と精神。


僕は選ばれたのだ、創りだされたのだ “神” に。



だが “神” も予期せぬことが起きた。僕は “完璧” 過ぎた。 “完璧” 過ぎるが故に “神” は僕を乗っ取れなかった。力を “神” を僕は承け入れた。


僕は一矢報いたのだ。



━━━それが、最大の過ちだった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



目が覚める。吐き気を催す。が、師匠の言葉を思い出す。


 ☆良いんだよ、それで☆


良いんだ。僕は、コレで。そう考えると、心が落ち着く。安定する・・・そんな僕に対して、部屋の扉を叩く者が居た。何かと思いながら、扉を開けると・・・


 「リル、どうした?」


昨日任務に行っていた、リルが居た。


 「任務です。私と一緒に」


 「分かった。少し、待ってくれ」


そう伝えて、扉を閉める。僕は “魔法” を使い服を瞬時に着替える。そして、再度扉を開ける。


 「待ったか?」


 「流石はウィル様」


心の底から感激している様だ。


 「場所は?」


 「先日、ウィル様が任務で行った廃ビルです。どうやら残党、いえ新しく住み始めたみたいですよ」


 「なるほど」


確かにあの手の場所は “教会” いや国も管理できていない。故に “魔法使い” も来ることがないので “魔物” にとっては最高の場所だろう・・・それで昨日、師匠が気にしていたのか。


 「 “転移魔法” は扱えるか?」


 「私はウィル様のように、複数の魔法を扱う事はできません。 “炎魔法” しか」


 「なら、外にでたら僕に近づいてくれ。僕の “転移魔法” で共に行く」


 「分かりました」


 「今じゃない」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 “教会” の敷地内から出た僕たちは “転移魔法” により、廃ビルの前に移動した。


 「僕から、離れるなよ」


 「分かりました」


彼の実力がどれ程かは、知らないが侮っている訳では無い。 “魔物” 戦に置いて、一人になれば死が待っているだけなのだ。だからこそ、任務では必ず二人一組になる。昨日の僕と師匠のように。


 「僕が前に出る」


そう言って、廃ビルの中に入る。太陽が出ているはずなのに、相変わらず中は暗い。 “魔力感知” を張り巡らせたながら、奥へと進む。が、何も起きない。 “魔物” がアクションを起こさないのだ。昨日の様な好戦的なモノでは無いと言うわけか。


 「昨日 “魔物” が居た場所だ」


昨日、戦った広場。しかし、何もない。さらに、奥か・・・そこで気付く。


 「リル?」


 “魔力感知” にリルが引っ掛からない。ヤられた。既に “魔物” のテリトリーに入っていたんだ・・・ん、だがそれはおかしいぞ。何かしたなら、僕の “魔力感知” に引っ掛かるはずだ。どうして・・・


 「ガキンチョじゃねぇか。何してんだ? あ、あ~もしかして寂しくなって、迎えに来たのか?」


 「・・・師匠」


 「いや、冗談言ってられねぇな。端的に言うぞ。昨日殺した “魔物” だが、アレは罠だ。本丸は “魔人” だ」


 “魔人” ・・・ “魔物” が負であれば “魔人” は負と良をから産まれた、産物。人の良き部分と負の部分から、産まれた “魔物” それが “魔人”


 “魔人” の最大の特徴は人の姿をしていること。


一目視ただけなら、人として思えてしまうほどに、人の姿をしている。


ただ、一つ見分ける方法がある。それが、頭部だ。 “魔人” の頭部は特徴的である。


が、それは通常の時だけ。


 “魔人” は人の死体を乗っ取ることができる。


乗っ取れば、外見はただの人になり、見分けることはできない。


 「根拠は何だ? 師匠」


 「俺たちに回る程の任務なんだ。俺たちの前にも何人かは来ているはずだ “魔法使い” がな。それで一応聞いてみたんだ。死者は居るのかってな。そしたら、居たんだよ、一人だけ」


 “魔物” は人を殺したあと、食う。自身の糧にするために。だが、あの時の “魔物” から人間の残物は出なかった。


 「俺たちに回る程で、死体が無いとすれば “魔人” が関わってる可能性が大きい。アイツら、人間と変わらない知能を持っているからな」


 「名前は何だ?」


亡くなった “魔法使い” を乗っ取っているならば、その “魔法使い” の名を使っている可能性はある。


 「 “リル” ってヤツだ。知ってるか?」


━━━━━━え?


瞬時に理解する。思考を張り巡らせ、想定されるパターンに対する、最高の対策を練る。


だが、一つ疑問が生じる。


何故、リルは道中消えたのか。理解できる、僕たちを相手するのは、極めて困難だ。


違う。


何が?


何故、リルは僕の “魔力感知” に引っ掛からなかった。


何故、初めて会ったあの時、気付けなかった。


僕が “魔力感知” で捉えれ無いのは “師匠” 


それから、同等の


 “僕” じゃないか。



刹那、 “師匠” が右手で僕の肉体を、心臓ごと貫通させる。


例えばの話だ。僕がそうであるように、師匠もまた “魔力感知” でリル、いや “魔人” を僕だと勘違いしたら? 師匠は優しいから、何の警戒もせずに、きっと近付いてくる。


例えばの話だ。その際に “殺されていたら”


例えばの話だ。リルは消えたのではなく、リルの中に居た “魔人” がリルから “師匠” に移っていたら?


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



目が、視界がだんだんと狭くなるなか、片手で顔を捕まれる。


 「しっかりと、観ておいてください」


そう言って師匠の中に居る “魔人” 師匠の首を切る。それと同時に、まるで脱皮をした蛇の様に中から “魔人” が出てくる。


姿は、黒に統一されたスーツ。肝心の特徴的な頭部は、鮮やかな紫色の炎の様なモノだった。


どこかで観た事がある。どこでだっけ? まぁいいや。もう、楽に・・・


 「まだ、駄目ですよ」


そう言いながら、ヤツが頭を近付ける。そして・・・


 「ウガッ」


思いっきり、僕の頭をヤツの鮮やかな紫色の炎の様な頭部に入れる。


薄れて行く意識の中、夢を観る。


真っ白の部屋。一面真っ白の部屋で、誰かが絵を描いている。クレヨンを握って必死になって、描いている。


黒で統一されたスーツ。鮮やかな紫色の炎の様な頭部。


━━━この絵は。あれ、この絵を描いているのは





━━━━━━僕だ━━━━━━


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 「やっと、抱き締めることができた」


 “魔人” に抱き締められる。


 「お父さん、お母さん」


ああ、そうだ。僕が産んだんだ。 “神” に選ばれた子供 “神の子” である僕が。


 「これから、たくさん思い出を創ろうね」












         ★

         堕

         天

         ★











呪術廻戦のメロンパンの

「キッショ」

のシーンで思い付いた。


 “魔人” の姿は、ブルアカのアニメOPに映ってた、頭黒い人から妄想した。


あと、ショタを虐めたかったから、作った。



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