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「ゴール」という町
その白亜の豪華ホテルは「ゴール」という町にありました。ゴールはインド洋にのぞむ世界遺産の港、かつてヨーロッパ人が建設し支配した砦の町でもあります。そこをかわきりにワンヤン君と私はスリランカの旅を始めたのでした。
インド南部にあるタミルナドゥ州から、二人してスリランカのコロンボ国際空港へ飛び ─ この時もキングフィッシャー航空でした ─ コロンボで二泊するあいだ、ワンヤン君はどこからか赤いトゥクトゥクを一台調達してきました。原動機付きの、折りたたみ式屋根をとりつけた三輪車のことを「トゥクトゥク」といって、スリランカでもインドでも自家用車がわりに使います。ワンヤン君と私はトゥクトゥクに乗ってセイロン島を一周するべく、スリランカに渡りました。
コロンボからゴールまで、ワンヤン君が運転するその赤ペンキに黒フッドの三輪車で移動しました。コロンボでも高級リゾートホテルに泊まっていたので、おもちゃみたいな乗り物をしばしばボーイさんに車庫入れしてもらうことになりましたけれど、向こうは手慣れた動作でチップをポケットにおさめていました。