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浅ましくも期待するようになっていました
はじめてされた時は気が動転して金縛りにあったかのような覚えがありますけれど、口づけするのに、彼はわたしの上唇を舌先でつつくようにし、それから吸い付き、執拗にねぶる癖がありました。それは何度目かに口づけした際から始まった行為でした。二人でセイロン島巡りの旅についた矢先、その日泊まろうとチェックインした「アマンガラ」なる白亜のホテルのプールサイドでの出来事でした。
わたしが最もきわどく感じている部位をいきなりそうされるとは想像だにしていなかったのは勿論のこと、でも慣れるに従い、浅ましくも期待するようになっていました。わたしは無我夢中になりました。彼のほうでもそれが私に及ぼしつつある効果を知るべく、必ず指先で確かめては満足しているかのようでした。