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春花の唇が一番好きな
ワンヤン君には感謝するのみでした。彼と過ごした時間は、わたしが持たされて産まれた毒を中和してくれました。人に顔を見せる恐怖心から解き放ってくれました。マスク依存を治してくれたのがクリスなら、恐怖そのものを除いてくれたのがワンヤン君でした。彼のお陰で、上唇がひとつの魔法になるのだと理解しました ─ 世の全ての男性が魔法の力を感じえないでも、特定の志向をもった男性なら感ずるのでした。ワンヤン君は面と向かって言ったものです、春花の唇が一番好きな部分だ、その唇でなかったら春花は今の50%になると。つまり、奇形の効能は女の魅力を増幅させることにあったのです。
コモリン岬で初めて言葉をかわした時、私はマスクをしていませんでした。インドでは完全マスクレス生活をしました。コモリン岬でワンヤン君に声を掛けられた時、驚いたのは私でした。ワンヤン君は自然体だった ─ 自然体だったことは、クリスと同じでした。
『インド/パキスタン編』でつづけます
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