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愛・そして恋のシリーズ

愛だったのか分からない

作者: リィズ・ブランディシュカ



「あんたなんて育てたくなかったのに!」


 ぶたれた頬が痛くて、涙を流した。


 私は追い立てられるようにして家を出ていく。


 外は雨が降っていて、寒かった。


 母の機嫌がなおるまで、どれだけ外にいなければならないのだろう。


 離婚した夫に似た娘なんて、愛せるわけがなかったのだ。






 私は母に嫌われていた。


 だから幼い頃から、よく折檻された。


 家から出されたり、食事を抜かれたりする事は頻繁にあった。


 私は、そんな境遇にずっといた。


 でも、そんな私を助けてくれる幼馴染の男の子がいた。


 家から追い出されたら、一緒にそばにいてくれたり、ご飯をぬかれたら、自分のおやつをくれた。


 だから私は自然とその男の子の事が好きになった。


 小学生になって、他の子供と遊ぶようになった時は、嫉妬したけど。


 私はその子にふさわしくないんだと思って、何も言わなかった。


 男の子は明るくて、優しくて、思いやりがあって、元気で、良い所しか見つからなかったから。


 多くの人と仲良くなれて当然だと思った。


 中学生になった時は、我慢するのが大変だった。


 ずっと彼の事を見ていたくなったし、かまってほしくなった。


 必死で我慢して、ただの幼馴染のままでいようと努力した。


 高校生になった時、男の子に彼女ができた時は頭がおかしくなりそうになった。


 おもいつめて、頭の中にあった事を実際に行動にうつそうと思った事もあった。


 でも、しなかった。


 偶然の事故が、男の子とその彼女を奪い去ったからだ。


 同じ時期に、母親も病で死んで、私は色々なものから解放された。


 けれど、同じだけ空虚になった。






 あれは愛だったのか分からない。


 ただの執着だったかもしれない。


 でも、男の子が困っていたら、私は何でもしてあげたいと思っていたし、辛い事もあったけど、男の子の事を考えている時は幸せだった。


 男の子に命の危機が訪れたら、身を挺して助けてあげたいとも思っていた。


 あれは愛だったのだろうか。


 それとも、唯一の心のよりどころに見せる、ただの執着だったのだろうか。



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