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第7話 ダンジョンができました




 国立競技場の周辺はえらい事になっています。

 警察がいる。自衛隊がいる。消防隊がいる。記者がいる。他にもいっぱいいる。

 警察はの一部は暴動鎮圧装備です。

 装輪戦闘車に戦車みたいに見える歩兵戦闘車がいます。一部は小銃を持てばフル装備ですね。

 一方、野外炊飯車も来ていて、記者さん達もオヨバレしています。

 『アンビルドの女王』の描いた道路一体型の競技場です。道路部分の下は厳重に規制されています。


 さて時間です。

 黒い車から降り立ったのは、我らがアマテラス様と総理大臣と天皇陛下です。

 天皇陛下は、玲子様が心配で付い来てしまいました。本来は、アマテラス様降臨なら皇居で待機の予定だったのですが、付いて来てしまいました。陛下初のわがままですが父親としては譲れぬ所。

「さて、やるのじゃ」

 いきなりです。

 段取りも準備もへったくれもありません。

 アマテラス様が地面に手を付きます。すると地面を光が走って行きます。それは、黄色とも紫ともつかない光です。記者達や自衛隊の人々もいる場所もありますが大丈夫でしょうか。

 ちなみに、アマテラス様がここに降り立ってから10秒も経っていません。黒い車すら動いていません。

 今の所、誰もこの事態について来れていません。陛下も総理もポカンです。

 ポカーン

「特大ダンジョンには少々狭いゆえ、あっちとあっちの区間にまで広げておいたのじゃ」

 アマテラス様が指さす先は、東京体育館と聖徳記念絵画館があります。確かに光っています。神宮外苑と神宮球場はまぬがれたようです。

「聞いませんよー!」

 総理の絶叫です。

「今ゆうたのじゃ」

 一部規制外ですね。問題です。

 ゴゴゴゴゴ

 地鳴りです。地震の時とは違いますが、それは確かに地鳴りです。

 そして建物などが沈み始めました。

 そして時折、ピョイと何かが飛び出してきます。それは人だったり絵だったり何かカバンだったりしています。

 一体道路は根元からきれいに切れています。

 ゴゴゴゴゴ

 10分も経ったでしょうか。そこには鳥居がありました。と言うか、

 鳥居しかありません!

 朱塗りの鳥居ですね。内宮源鳥居と言いましたか、一番シンプルな、それでいて8角形の柱に台形の島木の鳥居です。大きさは幅100メートルほど、高さは120メートルほど。大きいです。道を跨いだなどと、ナンボの物でしょう。

 神額には『国立競技場跡』とあります。

 ペカッ

 フラッシュです。アマテラス様フラッシュですが、割と優しい光でした。

「これ!いつまで呆けておる。案内するゆえ付いて来るのじゃ」

 いや、呆けると思いますよ。どちらかと言うと、呆けない方がどうかしているのでは。

「ダンジョンは駅に寄せておいたのじゃ。川田よ」

「はっ」

 いや君、今やっとハッとしたでしょう。お見通しですよ。

「申しておいた物を出すのじゃ」

 そう言い置いてアマテラス様ダンジョンゲート前に移動です。

 総理は何やらやり取りをして追い掛けます。

 すると車が1台出てきます。主に屋外が専門の電気通信設備事業者のダブルキャビントラックです。

 直ぐに作業員が降りてアンテナ設備を下ろしていきます。新旧雑多で、アナログアンテナから果ては5Gまであります。

 それをアマテラス様がヒョヒョイヒョヒョイとダンジョンに投げ入れます。かなり重い物もあったのですが、まるで発泡スチロールか何かのようです。

「うむ。これで良い。これで全世界ありとあらゆるダンジョンで通信が出来るのじゃ」

「こんないい加減なやり方で良いのですか」

「良いのじゃ。進化の過程を含めた物資投入が必要じゃが、5Gまで対応したと英雄神どもが申しておるのじゃ。サーバーはこちらに依存するがの、そちらもダンジョンを通して大幅に増強したのじゃ。それより説明するのじゃ。これがダンジョンの入り口じゃな。この宇宙空間に見える方からしか入れんのじゃ。大きさはこれが特大サイズじゃな。大中小極小と今の所全5サイズじゃ。入り口の形は」

 そこでアマテラス様が、ギギギギッと油を差したくなる動きで、記者さんやら政府関係者やらを見回します。

「鳥居じゃ! 世界中どこも鳥居じゃ! 鳥居になったのじゃ!」

 神様達やっちゃた様子。何億人もが見ていれば具現固定化しますよね。凱旋門凱旋門言ってた英雄神様、ご愁傷様です。

「さて、ダンジョンに入る前に言うておかねばならん事があるのじゃ。まあダンジョンのルールとゆうやつじゃな。そう多くはないのじゃ。

 一つ、ダンジョンに対する攻撃の禁止。

 まあ簡単じゃが、資源輸送のトラックを高速突入させれば攻撃なのじゃ。スペースがあるからと、飛行機何ぞを飛行侵入させんようにの。

 二つ、ダンジョン利用の妨害行為の禁止。

 国境を跨いでの運用はについては例外とするが、誰もが自由に利用侵入させるのじゃ。まあ、囚人やら犯罪者に付いては例外を認めるのじゃ。仕事しろ学校にゆけ、は人倫行為ゆえセーフじゃ。

 三つ、ダンジョン中での非人倫行為の禁止。

 神が用意したダンジョンなのじゃ。これは当然なのじゃ。

 四つ、モンスター区画で得た物は倒した者等の物。

 資源区画は企業が開発せねばならんからの、区分けじゃ。

 たったこれだけじゃ。簡単であろう」

 疑問はいっぱいありますが、アマテラス様の圧倒的存在感が声を出す事を妨げます。ここ大事な所ですよ、皆さん頑張って。

「アマテラス様、ダンジョン侵入の妨害とはどこまでを指すのでしょう。ダンジョンに危険が伴うのであれば、年齢制限くらいは設けたいと思うのですが」

「ふむ、大抵の物語では年齢制限を作るの。じゃが、妾達が作るダンジョンではそれも禁止なのじゃ。親や年長者が、例えばもう遅いので引き止めるのは問題ないのじゃ。そのあたりは英雄神どもがうまくやるのじゃ」

「それはいくら何でも危険ではないですか」

「そうじゃった、先これを説明してしておけば良かったのじゃ」

 そう言うとアマテラス様は片手をダンジョンに突っ込んで何かを引き出します。それは小さな鳥居です。茶室の躙り口より一回り大きな感じです。

「これが極小ダンジョンなのじゃ。これを紛争地域にばらまくのじゃ。どのダンジョンでも上の5階層は赤ん坊でも大丈夫じゃ。ネズミくらい東京にもいるのじゃ。まあ一度入った方がわかり安いのじゃ」

 ペイと極小ダンジョンをダンジョンに放り投げると、記者さん達に向きます。

「ダンジョン中からでも生中継出来るのじゃ」

 そう言うと、陛下と総理の腕を取りダンジョンへといざないます。

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