第2話 その日、全人類は夢を見た
その日、全人類は夢を見た。
2022年3月29日。
初日。
ダンジョンができる。うまく使え。
その位は伝わっているらしく、SNSで多少の発信がありますが、まだ、『そんな不合理な』的なニュアンスで、広がりがありません。まっ初日だしね、こんなものでしょう。
2022年3月30日。
二日目、
「どうも夢見が悪くてさ、ダンジョンって何だよダンジョンて」
「お前もか。俺も何だ」
日本では少しSNSが沸いた程度、まっ二日目ですからしょうがないね。でも、ヨーロッパ諸国が動き出した頃から盛り上り始めました。昨今のウクライナ情勢でネットに貼り付けの人も多いのもあるかな。
「お前もか。俺もだ」
「おい、日本も何だか夢を見ているみたいだぞ」
「何だとう、ううむ、インドもだ」
「中国は規制してやがるな。ダンジョン周りの言葉は弾いてやがる。何が引っかかるんだ? 理解不能だ」
「アメリカが起きてくるな。どれ」
「アメリカも見ているな」
「ブラジルもだ」
「どうなってやがる。全世界が同じ夢を見ているって事だぞ」
大騒動です。神様達やりました。しっかし、SNSと言うのは速いですね。
2022年3月31日。
三日目、
「ニュージーランド、ソロモンと来ているわね」
「おいおい、オーストラリアは二日目と三日目で割れているぞ。どう言う事だ?」
それは神様達が経線状に力を使っているからですね。神様達も省エネでしょうか。
「日本は全て三日目ね。情報量の事だけど、やはりインド・アフリカ諸国と同じ傾向出ているわ。インカ・マヤ・アステカ・当然ネイティブ達、古い風習や信仰を残している人達で情報量が多いですね」
「と言うよりも、一神教の信者が情報量が少ない。ほぼダンジョンが出来る。これだけだ」
「本当に神様がやっているのかしら」
「おい、めったな事を言うな」
「でもそれ位しか説明が出来ないじゃない」
どこかの情報部のようですね。優秀です。
「でもそうなると、日本に注目ですね」
「ジャパニーズ・エンペラー、テンノーか。ならローマ教皇ではダメなのか? 一神教信者は合理的に考え過ぎて情報を切り捨ててしまっていて、余程敬虔な信者以外は情報を受け取っていないとか」
「それだと敬虔な程、一神教信者は情報を切り捨てている可能性もあるわ。取りあえず、神父様、牧師様のSNSを当たってみます」
宗教差別は根強いです。多神教やシャーマニズム・アニミズムは不合理と、ナチュラルに貶めていて気付いてもいません。宗教差別反対!
「おう。おお、一つ判ったぞ。夜寝ていない人間は夢を見ていない」
おおう、それは『全人類は夢を見た』ではありません。神様達ポカです。そしてまだ気付いていません。失態であります。御注進~
「っお、日本に動き有りだ。首相が皇居に入った」
「まだ判らないわよ。まず、当たりでしょうけど。牧師で一人喚いてるのがいるわ。要約すると、ダンジョンを開発して地球の開発を止めろとは、主は人間に地球を与えたもうたのでは無かったのか。て所ね」
「それだと、敬虔なら情報は受け取れると言う事になるな」
「あ、日本政府の発表です。天皇陛下による緊急記者会見を明日午前10時から開くと。明日って何が緊急なのかしら」
「いや、天皇家が絡んで今日の明日なら本当に緊急だな。普段なら半月後でも速い方だ」
「主権も私信発信の自由も無い王家は大変ね」
「テンノー陛下自身の願いで開く。内容はダンジョンについてだとう!」
「大当たりですね」
「報告書上げたら早いめに寝ろよ。シフトなんかクソ喰らえだ!」
「フフ、そうします」
何かが動き出そうとしています。
しかしまだ夢を見ていない人間もいますね。
神様~早くみんなに夢を見せたげて~、何たってこのサブタイトルは『その日、全人類は夢を見た』なんですから~