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第12話 人類は、幼女に諭された




「ハハハ、狭い、狭い…ハハハ、狭い…」

 だめです。川田総理が壊れました。

「壊れたか。まあ、良う耐えた方かの」

 秘書さんでしょうか、総理を支えています。

「ほれ、斉田よ、次じゃ」

「でででは、記者の皆様、一問一答でお願いします」

 記者さん達出番です。

「先にゆうておくがの、神についてはこれ以上語らんのじゃ」

「では…」

「NHKの辻本です。大中小のダンジョンのサイズはどの位でしょうか。また、更地の面積はどうでしょうか。また得られる資源について差はあるのでしょうか」

「川田が一番で聞いてくるかと思うたやつじゃの。大で幅50メートル、中で18メートル、小で5メートルじゃ。敷地面積は様々じゃが、大きい方が広いのじゃ。資源量は評価が難しいの。こればかりは、現場を当たれ、としかゆえんのじゃ」

「では…」

「BBCのアレックス・ベッカムです。資源区画の選定はどうなのでしょうか。一国を支えられるそうですが、小国であれば、一階層でかなりの掛け持ちが必要でしょう。いくらかの国で分けて、貿易をした方が効率が良いのでは。また、うまく機能しない時には、資源の入れ替え、等は発生するのでしょうか」

「近隣国のある、本当の小国についてはそうなっとるのじゃ。カリブ海とか小国が多すぎるのじゃ。じゃが、絶海の小国や孤島とてあるゆえ、そこは何とかできるようにはしてあるのじゃ。ああ、小国で思い出したのじゃ。バチカンにはダンジョンはできんのじゃ。あそこは文化財が多すぎての、諦めたのじゃ。他の、都市国家マイナスみたいな小国は、何とか小ダンジョンは出現するのじゃ。資源の差し替えは起こりうるの。ケース・バイ・ケースじゃが、神はよく人間を見ておるのじゃ」

「では…」

「アルジャジーラのサラームです。ダンジョンルールの適用基準は一定でしょうか。またその基準は公表されるのでしょうか。具体的に反人倫的行為とは何でしょうか」

 先ほどブチギレてた記者さんですが、冷静です。川田総理に爪の垢を煎じて飲ませた方が良いのでは? まあ、背負っているモノが根源的に違いますが。

「ふむ、基準を決めた後は、自動化するそうじゃ。基準は、まだ細部を詰めとるそうじゃ。運用開始後も、不具合があれば対応するようじゃな。まあ、微調整のレベルらしいのじゃ。ダンジョン出現後、一週間もあれば、基準は完全に安定させられるようじゃの。基準公開はないのじゃ。もう一度ゆうが、ダンジョンへの攻撃は止めるのじゃな。さて、反人倫的行為じゃが、ありとあらゆる神は説こう。『殺すな。姦すな。奪うな。脅すな。盗むな。嘘をつくな』。妾は説かんが、其方の神は別な事を説くのか。さにはあるまい。では、そうゆう事じゃ」

「では…」

「foxNEWSのドワイト・カードです。文明の保護が今回のダンジョン出現だそうですが、もっと穏便な方法はなかったのですか。各国の温暖化対策も軌道に乗りつつあります。こんな、秩序を根底から覆すような方法でなくてもよかったではないですか」

「フン!お主等の放送局は、温暖化自体認めておらんかったと思うたがの。お主等は、いつ温暖化対策を認め、評価したのじゃ。妾に聞かせてたもれ」

「えっ、いやあの」

「超大国の丸出しのエゴ、お主等はその象徴じゃの。不都合があれば他人の責任にして、自らは一切その責任を負わん。真実と事実、そして現実は全て別物じゃ。それを都合良く解釈して、自らの正当性を主張する。それで、お主等が覆されたくなかった秩序とは何じゃ。キリスト教による道徳的支配か、ドルによる貿易支配か、白人による世界支配か。何を持って秩序を覆したとゆうのか。それを聞かせてもらわねば妾としても答えようがないの。所詮、パクス・アメリカーノ、その終焉を認められんだけであろう。答えよ!」

 アマテラス様が迫力を醸します。

「……」

「沈黙は肯定と理解するのじゃ。パクス・アメリカーノの終焉、それはそれを求める者が多いゆえに実現するじゃろう。ダンジョンは夢じゃ。人間の欲望の具現じゃ。無限に資源を求める人間。自らは文明を享受しながら他者にはそれを認めない人間。ただただ豊かになりたいと願う人間。ただただ死にたくない生きたいと願う人間。それを人造神どもが拾い上げてダンジョンを造った。妾には迷惑でしかないの。所で、妾は何ゆえ秩序の破壊者と責められねばならんのじゃ? 仕方なく手伝って見れば、こんなちんちくりんになる呪いまで受けてしもうた。ダンジョンはお主等人間の歪んだ欲望の具現じゃ。妾はなぜ責められるのじゃ? 人間の欲望を案内したゆえかの。ダンジョンは人間の欲望の総和じゃ。ダンジョン出現によってパクス・アメリカーノが終焉するなら、人間自らがそれを求めたのじゃ。平和に生きたいとゆう欲望。それがダンジョンじゃ。妾はなぜ責められるのかの? 人間の欲望を具象化して見せたからかの。『アメリカ合衆国は偉大なり』その陰でどれだけの不要な戦争を仕掛けてきたのじゃ? 『民主主義は偉大なり』そのわりと民主的に選ばれた政権をいくつ破壊したのじゃ? 『全てはアメリカ合衆国のために!』富を収奪するシステムを作るためじゃ」

「それの何が悪い! 我々は自由を世界に広めてきた。富のいくばくかを我々の物とする事の何が悪い!」

「何も悪くないの。結局はそれを人間が望むか否かじゃ。ダンジョン出現によってパクス・アメリカーノが終わるのならば、それは人間の求めた結果じゃ。ダンジョン出現後もパクス・アメリカーノが続くならば、それはやはり人間の求めた結果じゃ。ダンジョン出現後もパクス・アメリカーノが続くと良いの? 所で、妾はなぜ責められるのじゃ? 次じゃ!」

 政府関係者を始め記者さん達も難しい顔をしています。ダンジョン出現によって、世界秩序が根底から覆りかねない事を直視していなかったのかもしれませんね。

「…でででは…」

「afp通信のアンリ・ジョミニです。アマテラス様はダンジョンを開発しろとおっしゃいます。その先には何があるのでしょう」

「妾達は文明が滅ばんように手当てした。その先を見出すのは人間じゃ。お主等フランス人は神を風刺する事こそ自由と呼ぶ。妾達におもねる必要はないのじゃ。ふむ、そろそろ玲子の体が限界を迎えつつあるの。質問は簡潔にじゃ」

「では…」

「チャンネル・ニュー・アジアのシャーロット・リンです。スマホにあった特許申請についてお聞かせください。後、ダンジョンスマホは、外で使えるのですか」

「スマホアプリを開けば説明してあるが、広報は必要かの。まず、ダンジョンスマホはショップアプリやらダンジョン中でしか機能せん物もあるが、外でも使えるのじゃ。ただし、従来の携帯端末と一体化させる必要があるのじゃ。引っ付けと思ってくっ付ければ一体化するの。分離しろと思えば分離するのじゃ。これで、ダンジョンスマホが外でも使えるようになるのじゃ。まあ、ダンジョンスマホを呼び出して着信やら時間やらメモを確認したりはできるのじゃがの。従来の携帯端末と融合させた時の機能は、従来の携帯端末に依存するのじゃ。特許申請やら重たい物を使うなら、今の最高性能スマホでも特許申請は重いのじゃ。そのつもりで使え。ダンジョン攻略方法の確立については、完全な自動承認じゃ。英雄神どもが認めれば勝手に映像公開して、見習った者より上がりのダンジョンポイント1%相当を、自動で徴収するのじゃ。期間は3年じゃ。技術特許は外でやる方法もあろうが、スマホからやれば、全世界に一律登録じゃし自動徴収じゃ。先願主義じゃが、修正を加えるなら一からじゃ。許諾は英雄神が行うのじゃ。詳しくは説明アプリを開け。質問アプリは必ずしも全回答ではないのじゃ。次じゃ」

「では…」

「新華社通信の荀英習です。ダンジョン内での通信は、ダンジョンスマホと従来の物でもできるのですか。それについて規制の有無は」

「従来の物同士であれば、規制は従来通りじゃ。ダンジョンスマホを介するなら、規制は一切適用されんのじゃ。国境も無意味じゃな」

 アマテラス様が陛下の方に向かいます。

「限界じゃの。もちと応えてやりたかったのじゃ」

 アマテラス様が光りました。

 光りが収まると、玲子様を姫だっこする陛下がいらっしゃいました。

 陛下が少し光ります。

「肝心要の事をゆうとらなんだ。ダンジョンは、日本時間の明日、午前6時に、全世界で一斉に出現するのじゃ。以上じゃ」

 陛下の口から驚くべき事が語られました!

 それ、もっと早く言ってよ!!!

 アマテラス様はきっとこう答えるでしょう。

「聞かれんかったのじゃ」

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