♥ 城内 4 / 勇者召喚の間 2 / 皇女の願い 2
何とか溢れそうな涙を拭いてくれたヴィネパラ皇女に気になる事を質問してみる事にした。
鼓綴里惠美
「 ねぇ、ヴィネちゃん。
何で私が勇者なのかな?
私は女の子なんだよね。
普通はさ、勇者って言えば男の子が定番じゃないのかな?
女の子の勇者で大丈夫なの? 」
ヴィネパラ皇女
「 そんな事はありませんわ。
勇者様には男性が多いのは確かです。
ですが…、男性程ではありませんが、女性の勇者様も確かに居ます。
安心してください、エーミン様 」
鼓綴里惠美
「 そうなんだ?
居るんだ、女の子の勇者… 」
ヴィネパラ皇女
「 はい♪
≪ ルッグルクリ王国 ≫では、男女共に “ 勇者様 ” と呼ばせていただいています。
国によっては “ 勇者様 ” ではなく、 “ 救世主様 ” と呼ばれたり、 “ 聖女様 ” と呼ばれたりしますわ 」
鼓綴里惠美
「 そうなんだ?
国によって召喚者の呼び方が違うんだ…。
──あっ、そうだ!
あのね、ヴィネちゃん。
と〜〜〜っても大事な事だから、正直に答えてほしいんだけど、いいかな? 」
ヴィネパラ皇女
「 は、はい。
どのような事をお聞きしたいのですか、エーミン様 」
鼓綴里惠美
「 私ね、此処に来る前に友達と居たの。
床が急に眩しく光だしてから、床から沢山の白い手が伸びて来たの!
身体中を白い手に掴まれて、光る床へ引き摺り込まれちゃったの!
気が付いたら此処に居た訳だけど──、此処には私しか居ないんだよね……。
私と一緒に引き摺り込まれた筈の友達は何処に居るのかな?? 」
ヴィネパラ皇女
「 エーミン様……。
≪ タココミエット大陸 ≫の法則によって、勇者召喚は1ヵ国に1名しか出来ない事になっていますわ。
≪ ルッグルクリ王国 ≫に召喚された “ 勇者様 ” 1人だけ。
エーミン様だけなのです。
ですから、エーミン様と共に此方の世界へ召喚されたお友達は、他国に召喚されている可能性が高いと思いますわ 」
鼓綴里惠美
「 他国も勇者召喚をしてるって事? 」
ヴィネパラ皇女
「 はい。
各国で一斉に勇者召喚の儀式が執行されましたわ。
ですから、エーミン様のお友達が何処の国へ召喚されたのか、私共には知る由もありません。
エーミン様のお友達を捜す事の出来ない私達を御許しください… 」
鼓綴里惠美
「 ヴィネちゃん…。
ヴィネちゃんは悪くないよ!
教えてくれて有り難ね。
一寸安心したよ。
ゆりりんが私みたいに他国に召喚されてるかも知れないなら、浮き島にある魔王城で再会出来るかも!
他国の目的も魔王討伐なら、魔王城へ向かう旅の途中で会えるかも知れない!
ヴィネちゃん達の期待に答えられるか分からないし、約束は出来ないけど……勇者、やってみようかなぁ 」
ヴィネパラ皇女
「 エーミン様……。
有り難う御座います!! 」
鼓綴里惠美
「 御礼を言われてもね……。
だって見てよ。
私、丸腰だよ。
抑さ、丸腰の勇者なんて居るの??
此じゃあ、戦えないよ 」
ヴィネパラ皇女
「 大丈夫ですわ!
お父様──いえ、ルッグルクリ国王がエーミン様の為に資金を用意してくださっています。
資金があれば、武器屋,防具屋,道具屋で旅に必要な必需品を買い揃える事が出来ますわ。
エーミン様には宿屋,飲食店を格安で利用出来て、他国間を自由に往来の出来る手形も用意させていただきます 」
◎ 装備品や旅に必要な道具類ぐらいさぁ、「 前以てテメーらが準備しとけや!! 」って思いませんか?