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嵐山にて選ぶは、妖か恋か。  作者: 辻谷戒斗
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第一話 京都に

短編小説です。

四話での完結を予定しております。文字数は合計一万字以内になります。

それでは、よろしくお願いします。


「んーーーー!京都!到っ着!」


「あー……新幹線長かったー……」


「はいはい。静かにして。写真撮るからこの階段の前に並びなさい」


「「「「はーい」」」」


 クラスメイトの皆が先生の指示に従って、ぞろぞろと大階段の前に並び始める。私もそんなクラスメイトと一緒に、他のクラスメイトよりは仲の良い友達たちと固まって並んだ。


「ごめん明ちゃーん!もっと左に寄ってー!」


「う、うん。分かった」


 そう言って左に寄っていくと、左肩が隣の人にぶつかってしまった。すぐに左肩を離しぶつかってしまった人に謝るために顔を左に向ける。


「ごめんなさ……って、は、晴人君!?」


 ぶつかってしまったのは私が密かに思いを寄せている、一条晴人君だった。自分の顔が少しずつ、紅くなっていくのが分かる。私は自分のそんな顔を晴人君に見られないように俯かせた。


「お、おおう。倉橋か」


「う、うん……ごめんね……」


「いや、大丈夫だけど……」


 そう言って彼も、私とは逆の方向に顔をそらした。照れてくれているのだろうか。もしそうだったのならとても嬉しく思う。

 そんなことを思っていると、右肩を誰かに押された感触があった。思わず顔を右に向けると、右隣の友達が私を左側に寄せようと迫ってきていた。


「はいはい明ちゃん。寄って寄ってー」


「ちょ、ちょっと!また晴人君に当たっちゃうでしょ!」


 ぐいぐいと押されて、また晴人君との距離が近くなる。これ以上近づくとまた晴人君の肩に触れてしまいそうだ。


「よいではないか〜よいではないか〜」


「よくない!晴人君に迷惑でしょ!」


「いや、別に俺は大丈夫だが……」


「ほらほらー!一条君もこう言ってるしー!」


「うぅ……分かったよ……」


 そう言って私は少しずつ左に寄って行き、晴人君の肩に当たるか当たらないかのギリギリのところまで行く。また、私の顔が熱くなる。


「はーい。じゃあ取りますよー!」


 カメラマンさんがそう言ってカメラを構える。皆その言葉を合図に、次々とポーズをとったり、肩を組んだりし始めた。私も右手でピースをつくる。


「はいチーズ!」


 カメラマンさんがそう言っている間に、私の右隣の友達が左肩で私の右肩を少し押してきた。そのせいで、私の左肩が晴人君の右肩に当たる。その瞬間、シャッター音が辺りに鳴り響いた。

 ……ああ。私はなんて幸せ者なのだろうか。

 願わくば、この幸せがずっと続きますように。

 そして――


 どうか私の周りの人たちが、不幸になりませんように。


読んでくださりありがとうございました!

残り三話、お付き合いしていただければ嬉しいです。

ここまでのお相手は、辻谷戒斗でした!

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