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いつか夢見た泡沫世界  作者: ユウキ
プロローグ
3/11

【番外編】 転生少女の状況整理

説明回なんだ、すまんな。

今後はアイリスがまとめた情報を、こんな風に後書き欄に書いていこうかと思います。それだけです・・・。

 今日は一度によく分からないことが起こり過ぎだ・・・。

一体何から整理したものかなぁ、と小さな机に書くものを用意しながら考える。


(そうだな・・・まずは”今の私”の周辺状況をおさらいしよう)


 とりあえず分かりやすいところからいこう。

お母様に日記用にと買ってもらった分厚い冊子を広げ、インクを付けながらペンを走らせていく。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





【今の私】

 アイリス

ラエビガータ伯爵家の長女で5歳。婚約者ができたが、相手は・・・?

偶然落ちてきた本により、自身が剣と魔法で溢れたファンタジー世界に転生したことを知る。

まだ幼い子供故か、魔術だけでなく世界にすら触れさせてもらえていない生粋の引き篭もり少女。



【家族について】

 お父様

名前はサーシス。確かまだ20代だったかな?

当代のラエビガータ家当主。仕事で各地へ飛んでいることが多い。


 お母様

名前はポロニア。お父様と同い年くらいだったはず。

おっとりとした人で、ついつい甘えてしまう。

お父様とは恋愛結婚だったそうだ。しかし二人の馴れ初めは不明のまま・・・この際聞いてみようか。


 お兄様

名前はベリス。私の2つ上の兄。

お父様によく似た性格の優しい人。兄妹の仲は良い方だと思う。

最近剣を教えてくれる師匠がついた。将来は騎士になるのだろう。



【ラエビガータ家】

 古くから代々王家の騎士として従事している一族。その実力は確かで王家からの信頼も厚いらしい。

この家の人間は、総じて貴族らしく威張ったりしない者が多い。

階級が上の者には礼儀正しくしているが、自分と同等かそれ以下の身分の人間には非常にフレンドリー。

貴族では当たり前になっている親子の上下関係を気にする人間もいない。そのため、伯爵身分でありながら前の世界の家庭と同じような感じだ。



【私の婚約者についての推察】

 お父様が「ロータスのとこの次男坊」だと言っていた。

ロータスさんとは恐らくお父様が昔からよく話してくれる一番の友人のことだろう。

確か、サティウス公爵家の人だったか。中でもロータスさんは騎士団の団長をしているはず。

 公爵とは貴族の中で一番偉い家のことで、ウチの伯爵はその2つ下。結婚相手には悪くないんだろうけど格下なのは変わらない・・・婚約者さん、プライドが高くて威張り散らさないような人だといいなぁ・・・。

 そういえば、サティウス家の長男は姫様と仲がいいって噂だ。いつか結婚するのかな。





 ・・・・・アイリスの記憶は未だ曖昧のままだ。これだけ思い出せただけでも僥倖だろう。

それと書いてて思ったが、お父様たちからは「魔法があるんだよ」とは聞かされているが実際に魔法を使ってみたことも、誰かが魔法を使うところも見たこともない気がする。デスクワークだけじゃなくて、実際に外に出ての調査も必要か。刑事モノじゃ昔から『捜査は足でするものだ』って言うしね!

 でもドラ〇エみたいに『おもいだす』連打して、ちょっとは魔法使えるようになったりしないかなぁ。






【前世の私について】

 17歳でトラックに跳ねられて死んだ女子高校生。名前は細羽竜胆ほそばりんどう

友達がいないため、学校ではいつも一人で本を読んで過ごしていた。

 彼女の世界に魔法は存在しておらず、代わりに科学が発達している。

彼女が住んでいた国(日本)の科学技術は世界でも結構すごい方だった。

 ゲームが好きで休日は一日中やっていた。やっていたのはRPGやアクションものが多い。

魔法に憧れるのもこれのせい。呪文も結構覚えているんだぞ。

 しかし女らしいものには興味がなく、恋愛小説を読んだこともお洒落になろうと努力したこともない。


 なお、アイリスより竜胆の記憶の方がハッキリ覚えている。






科学むかし魔術いまの世界について】

 前世の私と今の私では生活環境について大きな差がある。

いやもう差というレベルではないのだけど・・・言葉が思いつかないので”差”と表現しよう。

 前の世界は、今の世界よりもずっと便利で発達していると思う。

今の世界は前でいう『中世時代』と同じような世界だ。制度も結構似通ってる気がするし。

 この世界では魔法が使えないと何もできないけど、今の世界はみんな生きている気がする。

前はみんな奴隷のように、幽霊のように生きていたけど、こっちの世界は活気に溢れているような・・・。

前ほどの利便性はないけれど、幸福度はこちらの方が上だと思う・・・今のところは。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 ・・・・・と、ここまで書いてペンを置く。

大分疲れた割にはこれといった進展もないような気がする。アイリスの記憶が曖昧なのがつらいよなぁ!

ともあれ、これからはこの世界の調査が最優先だ。調査結果はこのノートに書くようにしていこう。


 なぜ私は転生して、その上記憶が戻ったのか? 私は前の自分を知ってこれからどう生きていくのか?

そういうことは、まずこの世界をよく知ってから考えよう。

なんせまだ5歳なんだ。現状出来ることは限られているが、残り時間を気にする必要もないだろう。


「とりあえず、次の課題は明日の婚約者の顔合わせかなぁ・・・」


 前世で軽いコミュ障だった私には結構つらい任務だ。

でもまぁ少し面白そうでもある。ついでに出来ればここで色んな情報を得たいところだなぁ。



・・・・・・あ。お父様無視した言い訳も考えないとか、面倒くさい・・・。

ちなみに、登場人物の名前は全員花の名前が由来です。モブは思いつきです。


アイリスは杜若かきつばた、サーシスは花蘇芳はなずおう、ポロニアはきり、ベリスは雛菊ひなぎく、ロータスはハス

細羽竜胆はそのままホソバリンドウという名前の花です。


花言葉は特に意識していません。だから変な花言葉の花でも気にしないでください!

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