転生少女と超展開
ごめんなさい!
今回話がうまく纏まらなくて分かりにくいです! サブタイトルが全てです。
色々やってはみたけど自分でも分からなくなってきて・・・今後気を付けるから許してください・・・
皆様ご機嫌麗しゅう。
お初にお目にかかります。私、アイリス・ラエビガータと申します。5歳です。
我がラエビガータ家は伯爵という結構偉い立場の家柄なのでございます。古くから代々腕の立つ騎士や魔導士を排出している、名誉だけでなく実力も兼ね揃えたすごいお家なのですよ。
・・・あら、お前突然何言ってるんだって? 頭がイかれたのかって?
いえ、そのぉ・・・・・実は私もよく分かんないんですけどね?
どうやら私、生まれ変わってたみたいです。
それも最近流行りの異世界に!
えぇーっと、改めましてこんにちは。
前世では普通の女子高生をやってました、アイリスと申します。
腰まであろうかと言う長く深い青色の髪が特徴の、比較的大人しいお嬢様です。
そんな私は現在、好奇心旺盛でいたずら好きな面もございまして。
実はさっき、お父様から以前『書斎は大事な部屋だから入っちゃだめだぞ』とお父様から言われていたのを思い出し、ちょっとどんなものかと見に来た次第でございました。
うん、まぁ、それでその・・・・・それでちょっと本を漁ってやろうと・・・ね? ちょっと無理して背伸びしながら本を取り出そうとしていたら真上から分厚い本が落ちてきてしまい、直撃。その衝撃でいわゆる前世の記憶を取り戻した・・・というわけです、多分。
まだ混乱して色々訳わかんないけど、とりあえず!
まずダメだって言われてた書斎に勝手に入ったことがバレるとまずいよね。
入る前は『ふふん、お父様なんかには絶対に見つかりっこないですわ』となぜか自信満々に思っていたけれど、記憶を取り戻して心が急速に成長したせいかどうしても罪悪感が沸いてきてしまう。
まずは落ちてきた本を戻して・・・・・って、あぁ圧倒的なまでに身長が足りない! 近くに踏み台になりそうなものも・・・ないか、ならしょうがない。勝手に落ちてきたんです、という風に床に置いておこう。正直バレそうな気がしないでもないけど、そもそも入っちゃいけない部屋なんだから、ここで見つかりさえしなければ言い訳は後でどうとでも出来るだろう。
よし、これで後は見つかる前に出ていけば問題ないな。
腕をギリギリまで伸ばしてなんとかドアノブを回し、やっとの思いで扉に開けて廊下に出る。すると
「ん? アイリス?」
「っお、お父様!?」
書斎から出ようとしているまさにその時、たまたま通りかかってきたお父様とご対面してしまった。
うっわぁ事件がまさに今現場で起きちゃったよ!? これじゃ流石に言い訳聞かないよね!?
見つかったら終わりだって思った途端にこれだよ!
冷や汗をダラダラ流しながら必死に言い訳を考える。
が、色々と混乱しているせいか上手い言葉が出てこない! あぁもうどうしたら・・・!
しかし幸か不幸かそんな私に気付いていないらしいお父様は、私を見つけた途端とても嬉しそうに私を抱きしめてきた。
「アイリス~! 探したんだぞ~?」
「ぐぇっ!? お、お父様・・・?」
く、苦しい・・・! 力が強すぎて潰れてしまいそうだ・・・・・ッ!
お父様は何がそんなに嬉しいのか、私を抱きしめたままずっと頬擦りをし続けている。必死でギブギブギブと腕をバシバシ叩くとようやく苦しんでいる事に気付いたようで、慌ててお父様は腕を離してくれた。
「っと、すまない! 苦しかったか??」
「い、いえ大丈夫です・・・・・どっ、どうぞお気になさらず」
いや結構大丈夫ではなかったけど、まぁ今は許してやろう。
さてこれからどうするか・・・・私は息を整えるフリをして考える。お父様は心配そうに背中を擦ってくれていた。
お父様のその申し訳なさに付け込めば、今は何も言わずに逃げても誤魔化せるような気がするけど・・・後で追及されたらもっと酷いことになりそうな予感。これはもう余計な事言わずに素直に謝るのが最善かなぁ。
うん、さっさと罪を認めて謝ってしまおう。まだ外見は5歳の子供なんだから許してくれるさ。
そんなことを期待して、私はお父様に向き直って深々と頭を下げた。
「私、その、お、お父様の書斎に入ってしまってごめんなさい!」
「んん? ・・・まさかアイリスは中を勝手に漁ったりしたのかな?」
「いえ! そのようなことは、決して! ただ、その、本当にごめんなさいっ!」
「あはは、それなら全然問題ないよ~! 大丈夫大丈夫、怒ってないよ」
「ほ、本当ですか・・・?」
「あぁ、本当さ!」
お父様はニコッと笑いながら頭を撫でてくれた。
よ、よかった。まだセーフだった・・・! 本当は漁るつもりだったのだけど、そこまでやる前に記憶取り戻してよかった。中を漁ったのか聞いてきたときのお父様の表情的に、もしも本当に漁っていたら相当怒られていた・・・いや、怒られるじゃ済まなかったな。本当に危なかった・・・!
私はほっと胸を撫で降ろす。一先ずこれで問題は一つクリアだね。
それにしても、今日のお父様は随分ご機嫌だなぁ。いくら普段お父様からほんわかしたオーラがでているとはいえ、今日はさらに花でも舞ってそうな雰囲気だ。なにかいい事でもあったのかな?
「お父様? 随分ご機嫌がよろしいようですが、なにかあったのですか?」
「あっ、そうだった! アイリス~、今日はお前に良い知らせがあるんだよ~」
「あらまぁ! 一体なんですの?」
「あのねアイリス、ついにお前にも婚約者が出来たんだよ~!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・What's? はい? 婚約者? 私に?
いやちょっと何言ってるのか分からないですね・・・だって私まだ5歳だよ? 子供だよ??
「お父様、今まさか私に婚約者様が出来た、と申されました?」
「そうだよ! はぁ~、いやー本当に長かったぁ・・・随分待ったよなぁ」
おぉっとぉ!?
嘘だろ本当に婚約者が出来たって言ってたの!? 本当に!?
あっそういえば確かお父様っていつも仕事でどっか行ってたっけ? じゃあまさか私の年齢勘違いしてる!?
「いやあのお父様? 私まだ5歳ですよ!?」
「貴族なんだからそれくらいで婚約者が出来てもおかしくないよ~。今すぐ結婚するわけじゃないし~」
「ひ、人違いってことは?」
「僕が自分の娘を間違えるわけないじゃないか! アイリスったら照れてるのー?」
いやそんなことはないです。ちょっと理解が追いついていないってだけで。
いやぁ5歳で婚約者が出来るとかすごいな貴族社会。これなら少子化問題もなさそうで尊敬しちゃう・・・じゃなくて! えっマジで私に婚約者!? えええぇぇぇぇぇぇ!!?
・・・・・・いや、いつまでも驚いてても仕方ないか。
まずは目を閉じてゆっくりと深呼吸をしよう。すぅ・・・はぁ・・・・・うん、ちょっと落ち着いてきた。
今すぐに全部理解することはできないが、とりあえず受け入れ態勢は整った。
よし、ならばその婚約者とやらの情報を聞いてやろうではないか。
「なるほど私に婚約者が出来た事はわかりましたわ。それでお相手は誰なんです?」
「うん。相手はロータスのとこの次男坊・・・あー、名前なんだっけ?」
「なんだっけ!?」
「あはは~、ごめんごめん忘れちゃった☆」
てへっ☆ と舌を出しながら謝ってくるお父様。
おいおいマジかよ・・・大事な娘の婚約者の名前が分からないってどうなってるんだ。
・・・今更ながら前世ショックのせいなのか、アイリスの記憶が飛び飛びになってるっぽいなぁ・・・。
貴族的な言葉遣いとか作法とかがよく分からなくなってる・・・・・家族についての記憶すら曖昧だ。
それでさっきから割と貴族らしくない言動してるけど、お父様は何も言ってこないね。それはこの人の性格だったのか・・・うぅ、これは一度頭の中を整理した方がよさそうだ。
でもその前にもう少しだけ婚約者様の情報を聞きたい。
「でしたらその方の年齢は?」
「歳はアイリスの一つ上だから、今6歳?」
それじゃお互いまだ幼稚園児くらいの年齢じゃないか。本当にすごいな貴族社会。
そんな歳で婚約なんて可哀想に。まだまだこの先、誰か他の人と恋することだってあるだろうになぁ。
でも、もし別の人を愛して結婚を願っても、婚約者との婚約破棄なんて簡単にできないんだろうなぁ。だからこそ身分差恋愛とかは大体悲しい結末になるものなんだろうし。
・・・ふむ、お父様から聞いても合ってそうな情報はこれくらいかな。
これ以上の情報は実際に彼と会って話してみないと分からないだろう。好きな物とか、性格とかなんて本人ですらどうとでも言えちゃうもんね。
しかし問題クリアしたと思った途端にまた問題が増えたな・・・。
そろそろ話を切り上げて撤退したいんだけど・・・まだまだお父様は楽しそうに話を続けている。
「それで早速明日、アイリスには”彼”と会ってもらうことになったから~!」
「えぇっ!? ちょっと急すぎませんか!?」
「あはは、ウチで簡単な顔合わせしようってだけだから気負わなくていいよ~」
なんか話がポンポン急速に進みすぎな気がする! 本当なんなの!? なんでこんなハイテンポなの!?
あっ・・・いやでもこれはチャンスだ。今なら明日の準備をしますからとか言ってさっさと撤退出来るッ!
「お父様。それなら私、もうお部屋に戻って準備してきてもよろしいでしょうか?」
「おっ、いいよいいよ~! アイリス、明日頑張ろうね~!」
「はい!」
よっしゃ成功!
しかし何故かその後もお父様は歩きながらどうでもいい日常会話を振ってくる。この人こんなにお喋り好きだっけ? 疑問に思いながらも私は適当に相槌を打ちながら足早に自室に向かい続けた。
それを見た廊下を掃除しているメイドたちには若干不思議そうな顔をされたが、まぁ大丈夫だと思いたい。もしも後で聞かれることがあったら『お父様に突然婚約のことを話されて動揺していた』とでも言えば納得してくれるはずだ、多分。
お父様のどうでもいい話は留まるところを知らず、ついには無視して全力疾走を決めた私は、そのままの勢いで自室のドアを開けて乱暴に鍵を閉める。
そして流れるように華麗にベットにダイブし、私はようやく息をついた。
「なんなんだ今日・・・・・」
とまぁこんな風にして私の苦悩の日々が始まったのだった。