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ふと見上げれば

作者: kuga

 ゆっくりと渦巻いていく煙を見つめ、行く末を目で追っていく。

 

 ゆらりゆらりと揺れている白煙が目指すのは、遠くに光るあの星々なのだろうか。

 

 それともただ漠然と、風に揺られているのだろうか。

 

 そんなことを考えているうちに煙は、薄くなって消えてしまった。

 

 私は大きく息を吸いこんで、もう一度だけタバコを吹かしてみる。

 

 やはりゆっくりと渦巻いていた煙であったが、人知れず吹いた風にさらわれていってしまう。

 

 私の目に映るのは、煌々としているあの星々だけ。


 思わず目を細めたくなるほど眩しいのだけれど、どういうわけか食い入るようにして見つめてしまう。

 

 恐らくそれが、光りというものなのだ。

 

 何だか白けたような気分になってきて、咥えていたタバコを吐き捨てる。

 

 地に落ちて、少しだけ転がり、やがて死んだように動かなくなった。

 

 けれど往生際の悪いことに、吸殻は静かに燃えている。

 

 まるで、まだ生きているとでも言いたげに燃えているのだ。

 

 ……いや、分かっている。

 

 タバコなんぞは生き物ではなく、ただ消費されるだけのモノなのだ。

 

 そうだというのに私は、どこか切ない気持ちを抱えて吸殻を見つめてしまう。

 

 朧げな、いまにも消えてしまいそうなこの光。

 

 もはや光と呼ぶのさえ憚れるような、汚くて小さな輝きである。

 

 それでもこれは、光なのだ。

 

 たとえ燻っている吸殻から放たれるものであっても、やはり光であることに違いはない。

 

 なんともなしに私は、捨てたばかりの吸殻を拾ってみる。

 

 そして意味もなく頭上に掲げて、闇夜に浮かぶ星々に並べてやった。

 

 遠くで煌めくあの星と、私の手元で輝くこの吸殻。

 

 光の強さも、光を放つ場所も違うというのに、こうして並べてみれば同じようなものに思えてくる。

 

 ……不思議なものだ。

 

 そしてまた、どちらも捨てたものではない。

 

 独りでに私はニヤリと笑みをこぼすと、燻っている吸殻を口に咥えなおす。

 

 大きく息を吸いこんで、再び吹かしてみる。

 

 少しだけ砂っぽい味のするこのタバコは、とてもじゃないが美味いとは言えない。

 

 けれど不味いとも言えないのだから、不思議なものだ。

 

 またしてもニヤリと笑みをこぼすと、私はゆっくりと歩いていく。

 

 その拍子にちらりと目についた看板を確認してみれば、ポイ捨て禁止と書かれてあった。

 

「そうだな……捨てるのは、よくない」


 誰もいない公園で、一人呟く。

 

 そしてそのまま私は、ふらふらとどこかへ歩いていくのだった。

下らないと鼻で笑う人もいれば、「ん?」と首を傾げる人もいる。


そういう内容になっているかと思います。


もしかすれば、「何が面白くて、こんなものを投稿したんだ?」と思う人もいることでしょう。


けれどこうして、最後まで読んでしまったということは、それだけ何か気になることがあったのかもしれませんね。


いや、そんなことはないのかもしれませんが、もうそういうことにしておきましょう。


……というわけで、久々の投稿でした。

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