章末 第3章終了時の登場人物紹介
雨霧阿頼耶
五千年前にアストラルを救った救世主である解放者の母と大英雄の父の間に生まれた少年。黒髪黒眼で身長は170㎝ほどの中肉中背という、平凡な見た目をしている。十七歳の誕生日に【勇者召喚の儀式】に巻き込まれてアストラルに渡ることになった。かつて姫川紗菜の借金問題を解決して救ったことがある。他にも椚優李、岡崎修司の二名も救ったことがあるようだが、詳細は不明。
六年前に“あの子”へ、自身の行動原理である『どうしようもない理不尽を前に泣くことしかできない誰かを救う』という誓いを立てたらしい。
ダンジョン遠征の際に黒龍カルロスの魂と融合し、半人半龍となる。ダンジョンから脱出してからはセツナと合流を果たし、フェアファクス皇国の辺境都市カルダヌスで冒険者活動をしている。
セツナ・アルレット・エル・フェアファクス
フェアファクス皇国の第三皇女。黄金色の髪に奥深く澄んだ青い瞳をした、157㎝の身長の少女で、【最年少の魔導士】という称号を得るほど魔術に関して天賦の才を持っている。年齢は阿頼耶の一つ下の十六歳。また、銃術の腕もかなりのものであり、皇女という立場でありながら手練れの魔術銃士である変わり種。阿頼耶のことを「先輩」と呼び慕い、好意を寄せている模様。
魔術学園で実施された実地研修で悪魔と遭遇して呪いを掛けられるも、阿頼耶の奮闘により呪いから解放される。しかし呪われた経緯については未だ謎が多い。魔術学園で魔術言語を習っていたため、天族が使う言語であるエノク語を読むことができる。
ダンジョンから脱出した阿頼耶と合流を果たし、フェアファクス皇国の辺境都市カルダヌスで冒険者活動をしている。
ミオ
ミディアムヘアほどの長さの胡桃色の髪と目をした、獣人族人猫種の少女。身長は低く小柄で、阿頼耶の胸くらい高さしかない。年齢は十四歳。【獣化】と【雷帝招来】というユニークスキルを二つも獲得している貴重な存在で、双剣で戦う双剣士で、あまり感情を表に出さない性格をしている。
両親が死に、親戚に引き取られていたが、あまり良い扱いを受けることはなく、ユニークスキル持ちであることを妬まれ、虐げられていた。挙句、借金の形に奴隷商人に売られてしまい、運悪く野盗に捕まっていた。危うく貞操を奪われそうになるが、阿頼耶たちの手によって救い出される。強くなるために阿頼耶に弟子入りし、住んでいたルーク村の住人たちを救うために阿頼耶たちの手を借りて救い出すことに成功。それをきっかけにルーク村の住人たちと徐々に関係が修復されていっている。
表情が変わらないため分かりにくいが、実は阿頼耶のことが好き。ルーク村の住人たちを救い出した後は阿頼耶たちの所にいることを望んだ。
クレハ・オルトルート・クセニア・バハムート
素鼠色の髪を一本の三つ編みに束ね、龍族の特徴である獣のそれのように瞳孔が縦長の金眼をした暗殺者の女性。見た目は二十代ほどだが、龍族という長命種であるため、実年齢は二百二十七歳になる。
救世主と呼ばれた聖戦時代の大英雄の一人である黒龍王バハムートの曾孫で、龍国ドラグニアを統べる現黒龍王の娘。姫という立場ではあったものの、龍族全体からすると最弱クラスに分類されるため、弱肉強食が当たり前の龍国では無能扱いされ、父親からも見放された。
その後、龍国にいるのも嫌になって同じ境遇の仲間を連れて旅立つも、魔力不整脈という病に罹り、領主シーザーに仲間を人質に取られる。阿頼耶の奮闘により魔力不整脈を治してもらい、仲間も救ってもらった。その時の彼の姿を見て恋愛感情を抱くようになる。
領主の問題を片付けた後は、自分が頭目を務める暗殺集団【灰色の闇】全員で阿頼耶の仲間になる。
レスティ
冒険者ギルド・アルカディア、フェアファクス皇国カルダヌス支部の受付嬢で、獣人族人兎種の女性。Bランク冒険者パーティ【グリフォンの爪】相手にも臆さない胆力の持ち主だが、その気質が勢い余ってしまい、領主の問題を片付けた今後の話し合いをする場で相手方の騎士と口論を起こしてしまう。
エスト
フェアファクス皇国にある辺境都市カルダヌスに拠点を構える情報屋で、癖のあるセミショートの栗毛と青い瞳が特徴的な少女。セツナとは旧知の仲であり、彼女が呪われていた時にも会っていた模様。加えて、セツナに呪いを解くための魔道具の場所を調べて情報提供して便宜を図っていたらしい。
セツナの母親の代から交流があったらしいが、見た目が阿頼耶たちとそう変わらない年齢であるため、阿頼耶は長命種なのではないかと推測している。
情報収集能力はかなりのもので、皇族でさえも利用しているほど。その信用性を買って、阿頼耶から領主シーザーの不正を皇族へ流すよう依頼を受ける。
ヴァイオレット・バンブーフィールド
商業ギルドでもトップクラスと言われるバンブーフィールド商会の会頭で、ロールした長いキャラメルブラウンの髪と青い瞳をした少女。本名はヴァイオレット・ヴェラ・ヴァレンタインと言い、フェアファクス皇国の建国時から続く三大公爵家の一つであるヴァレンタイン公爵家の令嬢。
転生者であり、五歳の時に木から落ちたことで前世の記憶を思い出した。十六歳の時に地球で通り魔に刺されて死亡した後にアストラルに転生したが、【郷里記憶欠落症】により、それから五年ほどすると地球でのエピソード記憶は全て消えてしまった。
ただし、地球での知識は消えていないため、それを利用して商会を立ち上げ、国内有数の巨大商会へと育て上げた。ちなみに地球での名前は竹畑菫である。
阿頼耶に依頼され、領主シーザーによって捕まっていた違法奴隷被害者たちを保護している。
マリー
ヴァイオレット令嬢に仕える、くすんだ金髪に青い瞳をした妙齢の女性。ピンと伸びた背筋に芯の通った声音が特徴的な女性。ヴァイオレット令嬢が小さい頃から一緒にいる従者であり、彼女が一番信用している女性であるため、阿頼耶たちを除けば、ヴァイオレット令嬢が転生者だと知る唯一の人物。
ラ・ピュセル
冒険者ギルド・アルカディア、フェアファクス皇国カルダヌス支部の支部長で、アストラルに五人しか存在しない【最高位に至る者】の一人でもあるS-3級冒険者。別段特筆すべき点が見当たらないほどに平凡な見た目をしており、セミショートの金髪に青い瞳をしている。阿頼耶いわく「冒険者ギルドなどという荒くれ者たちが集う所の支部長というよりも、どこか田舎の村娘と言われた方が納得できるような人」だとか。見た目は十九歳くらいだが、実年齢はそれ以上らしい。
彼女の名前に阿頼耶は何か引っ掛かりを覚えているようだが、現状は勘違いだろうと結論を出している。
クレイグ・ユアン・フィッツジェラルド
フェアファクス皇国護国騎士団第八部隊の隊長を務めている壮年の男性。フレネル辺境伯領で起きていた行方不明事件の調査に乗り出していたが、中々証拠が掴めずに難航していたところを阿頼耶の手によって解決される。しかし、そのことについて別段文句はなさそうで、今後は今まで売られた違法奴隷たちを保護するために動くことになる。
キース
フェアファクス皇国護国騎士団第八部隊に所属する男性騎士で、冒険者を毛嫌いしている。阿頼耶が違法奴隷たちの問題を解決したことが気に入らず、横から手柄を奪われたと思っている。不躾にも話し合いの場にて口を挟み、レスティを口論になる。
忌憚ない阿頼耶の言葉に腹を立てたが、部隊長に諫められて口を噤んだ。しかし、納得はしていないようである。
ブライアン・クリフ・カーライル
フェアファクス皇国フレネル辺境伯領の前領主。息子であるシーザーと彼に協力していたイゴールによって領主館の地下二階にある牢屋に閉じ込められていたが、そこをクレハたち【灰色の闇】が発見し、救出された。
バジル・マレク・カーライル
フェアファクス皇国フレネル辺境伯領の前領主であるブライアンの息子で、シーザーの兄。父ブライアンと共にシーザーと彼に協力していたイゴールによって領主館の地下二階にある牢屋に閉じ込められていたが、そこをクレハたち【灰色の闇】が発見し、救出された。
今後はバジルが領主を勤めることになり、今までシーザーが行ってきた不祥事の尻拭いをすることになる。
シーザー・マレク・カーライル
フェアファクス皇国フレネル辺境伯領の領主を一年ほど勤めていた男性。自分以外の他人を下に見ており、優秀な人材も「使える駒」としか思っていない。領主になる前からイゴールと手を組み、様々な悪行を行っていたが、阿頼耶によってその悪事を暴かれる。
イゴールに助けを乞うも、全てはイゴールの手のひらの上で踊らされていたことを知り、彼の手によって毒殺される。しかし現場の状況から他殺は否定され、周囲には自殺したと思われている。
バッカス
冒険者ギルド・アルカディアに所属するBランク冒険者。Bランク冒険者パーティ【グリフォンの爪】を組んでおり、実力は確かなもの。しかし周りに対する態度が尊大で、多くの問題を起こしていた。そのせいでカルダヌスの住民たちからの評価は散々で嫌われ者である。
仲間を侮辱したことで阿頼耶の逆鱗に触れてしまい、四人がかりで戦ったにもかかわらず阿頼耶一人に手も足も出なかった。彼に倒された後は身ぐるみ全部剥がされ、晒し者にされた。
シーザーお抱えの冒険者でもあり、彼が行っていた違法奴隷売買にも加担し、領内各地で人攫いをしていた。領主館に乗り込んできた阿頼耶と遭遇して迎撃に出たが、仲間三人を殺され、自身も情け容赦なく首を刎ねられて死亡した。
シュナイゼル
オクタンティス王国に仕える宮廷魔導士で、長い黒髪に泥沼のような濁った眼をした、豪華なローブに身を包んだ男性。召喚された勇者たちの魔術指導を行っている。ダンジョン遠征で阿頼耶を殺すための魔晶石の準備や、それを使うための内通者を仕立て上げたりしていた。
宮廷魔導士という地位にいるがその実、邪神教の司教であり、今代の異界勇者たちと接触するために何年も前からオクタンティス王国に潜伏していたらしい。
イゴール
短く切った茶髪に青を基調とした軽装鎧を纏っている男性。憎たらしい笑みを浮かべるのが特徴。長らくシーザーに手を貸していたが、それは負の感情を集めるためであり、シーザーに何の感情も感傷も持ち合わせてはいなかった。
シーザーは死ぬ直前まで知らなかったが、邪神教の司祭であり、何らかの方法でシーザーに毒を盛り、口封じに殺害した。




