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異界渡りの英雄  作者: 暁凛太郎
閑章 追慕:姫川紗菜~初恋を捧ぐ~編
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第18話 秘匿回線による交信記録

 



  ◇◆◇




サンドリヨン>Hey、阿頼耶。依頼リストにあった連中は全部片付いたわよ。


阿頼耶>そうか。ありがとう、サンドリヨン。助かった。


サンドリヨン>全員を捕まえるのに一週間、か。思ったより時間がかかったわね。


阿頼耶>依頼リストの人数が人数だったからな。そこから全員を捕まえるために確実な証拠を集める必要もあったし。手間をかけたな。


サンドリヨン>Not at all、気にしないで。


阿頼耶>紗菜の方は?


サンドリヨン>No problem、安心して。指示通り、キミが稼いだ三〇〇〇万は拓凪さんの口座に振り込んで、行方を晦ませていた拓凪さんのお友達の居場所もリークしたから。お金に関してはいろいろと誤魔化しているから税務調査が入ることもないわ。……でも、良かったの?


阿頼耶>?


サンドリヨン>借金を作って逃げた友達の居場所なんて教えたら、拓凪さんは乗り込んでボッコボコにするんじゃない?


阿頼耶>借金を押し付けて何も言わず逃げたせいで拓凪さんの一家は危険な目に遭ったわけだしな。恨まれて当然だろ。自業自得だろ。……まぁ、拓凪さんは優しいから、許すだろうけど。


サンドリヨン>だから居場所を教えたの?


阿頼耶>どうするかを決めるのは俺たちじゃなくて拓凪さんたちだからな。許すも許さないもあの人たち次第。ただでさえ借金問題に首を突っ込んだんだ。これ以上は過干渉だよ。


サンドリヨン>この救済バカ。


阿頼耶>いやそんなに褒められても。


サンドリヨン>褒めてないしそんな嬉しそうにしないで。あまりふざけたこと言っているとキミのスマホの検索履歴を登録しているアドレスに一斉送信するよ?


阿頼耶>土下座で謝るから社会的に殺すのは止めて。


サンドリヨン>ともあれ、この件はこれで終了ね。今すぐ動かないといけない案件はないんだよね? だったら、しばらくは公安の方の仕事に集中しようかな。


阿頼耶>悪いな。俺の私情に付き合わせて。


サンドリヨン>あーあー、良いって。公安に入れたのはキミのおかげだし。それにキミの傍で悪党どもがどんどん自分のしたことで痛い目に遭っていく姿を見るのは痛快だからね。……けどさぁ。


阿頼耶>何だよ?


サンドリヨン>今回の一件を含めて幼馴染み二人を救ったわけだけど。キミ、まだあのことを言うつもりはないの?


阿頼耶>あのこと?


サンドリヨン>石板事件(・・・・)。キミが救済の道を歩むようになった、あの事件を。


阿頼耶>……。


サンドリヨン>私は調書や報告書を読んだだけだから、それ以上の内容は知らない。その事件の時にキミが何をどう思ったのかは、知ることができない。それにこれはキミ自身の事だから強くは言わない。でも分かっているんでしょ、あの二人が『どうしてキミがそこまで人を助けることに拘っているのか』って疑問に思っていることくらい。


阿頼耶>……言っても、二人を困らせるだけだよ。


サンドリヨン>Is that so? あの二人なら、喜んで聞くと思うけど。


阿頼耶>あの事件を話して何になる。わざわざ『自分は過去にこんな経験をしましたよ』なんて言ったって不幸自慢にしかならないだろ。


サンドリヨン>何でそういう極端な考えになるかなぁ。……まぁ、言いづらいことだっていうのは分かるけど。でも、いつまでも救済に囚われていると、自分の幸せを逃しちゃうわよ?


阿頼耶>………………。


サンドリヨン>ほらほら、否定したいからってそんな仏頂面しない。大丈夫だって。これだけいろんな人を助けているんだもの。いつか否応なしでも、キミがその呪縛から解放される日が来る。私は、そう信じているよ。














閑章 追慕:姫川紗菜~初恋を捧ぐ~編 完

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