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異界渡りの英雄  作者: 暁凛太郎
閑章 追慕:椚優李~色褪せぬ想い~編
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第6話 少女に伸びる魔の手

 帰り道に誰かにストーキングされていること。通学に使っている電車で痴漢に遭っていること。SNSを通じて私の行動を監視しているようなメッセージやポルノ写真が送られること。私の私物がいつの間にかなくなっていること。それが約一ヶ月前から起こっていること。


 口にする度に心に暗い影が落ちそうになって苦しくなるけど、どうにか堪えて私はその全てを一通り話した。



「そうかそうか。なるほど。そういうことだったのか」



 全てを聞き終えて、腕組みをする彼は納得するように何度も頷くと、



「クソッタレがぁ! どこの誰だか知らないが一体何の権利で俺の友達に危害を加えてやがる!!」


『Ahahaha! 阿頼耶がキレたー』


「何でそんなに楽しそうなの!? 笑い事じゃないでしょ! アンタもいきなりキレるな、情緒不安定か! 良いから落ち着きなさい!」



 興奮する阿頼耶をどうにか宥めると、私は重く息を吐く。



「ったく。でもまぁ、分かったでしょ? こんな面倒なことに関わっても碌なことにならないわ。手を引くなら今の内よ」


「まだそんなこと言うか、この頑固者。首を突っ込むと決めたら最後まで面倒を見る。事情を知ったらやっぱやーめたなんて、そんな無責任で不義理な真似ができるか」


「あうっ」



 ビシッとデコピンされた。額を摩る私を見ながら彼は言葉を続ける。



「手を差し伸べた以上は振り解いたりはしないから安心して俺に任せれば良いんだよ」


「何よ。こんな時だけ女の子扱いするわけ?」


「こんな時も何もお前はれっきとした女の子だろ。それも綺麗系のな」


「うぐっ」



 いつもは揶揄ったりするくせに、褒める時はストレートなんだから。不意打ちなんてズルいわ。



『Hey、お二人さん。イチャイチャするのは結構だけど、今はこれからどうするのかを考えるべきじゃないの?』


「い、イチャイチャなんてしてないわよっ!!」



 そんなこんなで本題に戻る。とりあえずポルノ写真は見せなくていいから問題になっているSNSのメッセージを見せてほしいと言われたので、アプリを立ち上げて彼に見せる。私のスマホを受け取った彼がサンドリヨンさんにも見えるようにして、しばらくSNSを操作していると「なるほどな」と零した。



「何か分かったの?」


「ひとまず、どうして優李の行動が相手にバレているのかは見当が付いた」



 言って、彼は私のスマホの画面を見せる。そこに写っているのは私がSNSに投稿した画像や文章の数々だった。自撮りだったり、立ち寄ったカフェで注文したスイーツの画像だったり、あるいは○○線が遅延したといった投稿内容と様々で、これまでの私の投稿がズラリと並んでいる。



「これが何だって言うの?」



 見た限り、どこにでもあるごく普通の投稿だと思うけど。



「マンホール、民家の特徴、ビルの看板、店の商品。それらの情報から行動範囲が特定されている」


「はぁ!?」



 あまりにも突拍子もない発言に私は大声を上げた。



「ちょっと待ってよ! 映画やドラマじゃないのよ? こんな、画像の隅っこにちょっとだけしか写っていないような情報で特定できるっていうの!?」


「技術が進歩した弊害だな。スマホやタブレットのカメラ機能はかなり優れているから、高解像度で撮れる。そのせいで拡大しても潰れることなく周りの風景が分かってしまう場合も少なくないんだ」


「でも、だからってそんな……」



 信じられなくて言葉を詰まらせているとサンドリヨンさんも阿頼耶の意見に同意した。



『彼の言うことは間違いないわよ。やろうと思えば特殊な機材なんか使わなくたって瞳に映った風景から場所を特定することだってできるんだから』



 かなりの執念がないとできないけどね、というサンドリヨンさんの言葉の後に阿頼耶は言う。



「モザイクアプローチ。SNSに投稿された断片的な文章や画像から個人情報を特定する方法だ」


「そん、な……じゃあ、私が安易にSNSへ投稿なんてしたから、こんなことになったの?」



 衝撃的な事実に唖然としたけど、でも阿頼耶は首を横に振った。



「ストーカーなんてSNSが生まれる前の時代からいたんだ。方法が変わったってだけで、SNSそのものに善悪なんてない。悪用するヤツが悪いだけなんだから、優李が気に病むことなんてない」


『Yeah。それに悪いことばかりじゃないしね。瞳に映った風景から場所を特定できるなら、誘拐犯から送られてきた写真から特定するなんてこともできるもの』



 具体例を出されて、私はなるほどと納得することができた。要は使い方次第。悪用すれば人を陥れるけど、使い方さえ間違わなければ人の生活を豊かにするツールであることに変わりはない。



「でもそれじゃあ犯人は特定できないってことじゃない。私の投稿を見ている人なんて、一体何人いることか。閲覧数のカウントと取っていない以上はその正確な数字を導き出すこともできないでしょ」


「犯人はこの学校にいる」



 あまりにもあっさりと断言するものだから、私は反応が遅れた。代わりにサンドリヨンさんが彼に問う。



『Oh、それはまたどうして?』


「理由はいろいろあるけど、決定打は優李に対する痴漢行為だな」



 痴漢行為? それがどうして決定打になるの?



「優李、痴漢被害から逃れるために何度か電車の路線や車両を変えて帰宅しているんだよな?」


「え? えぇ、そうよ。時間帯もズラしたんだけど変わらず学校から自宅の最寄り駅までずっと痴漢されたから効果はなかったし、その後にポルノ写真を送られて脅迫されたから女性専用車両を使うこともできなかったけど」


「ネット越しで情報を得てから行動に移すにも限度がある。それなのに路線も時間帯も車両も変えたのに即応するだって? そんなの、実際にその場で優李が電車に乗り込む瞬間を見ていないと無理だろ」


『I see! 学校関係者なら優李ちゃんが学校を出たタイミングで追跡することで、どの路線のどの時間帯にどの車両に乗るかも分かるってことね!』



 そっか。これがもし会社員だったら、犯人自身が電車に乗るまで私が乗っているかどうかなんて分からない。電車を変えられたらそれ以降犯行を続けることは難しくなる。でも学校関係者ならずっと私をストーキングすることで電車を変えられても痴漢をやり続けることができるってわけね。


 となると一体誰なのかしら? やっぱり生徒? 私は剣道部の活動があるから基本的に帰りは遅い。だとしたら時間を合わせやすい同じ剣道部か待ち伏せしやすい行動の自由がある帰宅部?


 けれど阿頼耶は私とは考えが違っていた。



「犯人は……生徒、教師、警備員、用務員のいずれかだな」


「生徒は分かるけど、教師や警備員、用務員まで容疑者なの? だって、模範となるべき教師や安全を守らないといけない警備員よ? そんな大人が犯罪なんて……」


「だったら世の中の犯罪者は子供ばかりってことになるな」



 バッサリと言われ、私は押し黙るしかなかった。



「大人であることは罪を犯さない理由にはならない。職業でそいつの人柄は決まらない。むしろその立場を利用してあれこれしようって考える輩だっている。だから教師や警察官でも犯罪を起こすことがあるんだ」



 大人だろうが子供だろうが関係ない。そんなので判断しない。いっそ冷徹なくらいシビアな言葉だった。



「サンドリヨン。優李に送られたメッセージなんかのデータから送信元を割り出してくれ。メッセージを送った際のIPアドレスから辿れるだろ?」


『Sure。ついでにスマホかパソコンか分からないけど、そいつの端末に侵入して証拠を押さえてやるわ。任せてちょーだい。ムフフ! 正義のホワイトハッカー、サンドリヨンの腕の見せ所ね! 滾ってきたー!』


知能犯(ハッカー)の時点で正義もくそもないだろうに」


『細かいことは気にしない気にしない。……それで? 犯人は特定してあげるけど、私が情報を解析している間、そっちはどうするの?』



 ふむ、と顎に手を当てて考える素振りをしてから彼は言う。



「IPアドレスから送信元を特定したとしても、ネットカフェなんかの共有パソコンを使われていたら犯人は分からない。優李を脅すのに使ったポルノ写真も、USBやクラウドに保存しているならどこからでも引き出せる」


『つまり?』


「本人を誘き出す必要があるな。……ちょっと釣りをしてみるか」








 サンドリヨンさんに解析を任せて、とりあえず結果が出るまでは手隙の状態になるということもあって私たちは犯人を誘き出すために行動することになった。とはいえ、やることはそれほど難しいものじゃない。



「釣り、なんて言うから何をするかと思ったら一緒に文化祭を周るだけなんてね」



 阿頼耶と二人で文化祭を楽しむ。これだけだった。



「優李にご執心な犯人からすれば、自分以外の男が優李と親しくしているのを見れば嫉妬して何かしら行動を起こすだろうからな」


「それで本当に行動を起こしたらどうするのよ。アンタが危険な目に遭うじゃない」


「承知の上だよ」


「……もう」



 何てことない風に言う彼に私は目を細める。



「全部が終わったら、アンタのご両親に頭を下げないといけないわね」


「あぁ、それなら問題ない」


「?」


「『感情的じゃなく論理的に考えた上で勝算があるなら尊重する。無謀は許さないけど、無茶も無理もして良い。ただし、半端は駄目だ。やるなら最後まできっちりやりなさい』って父さんが言ってくれたんだ。母さんも納得しているってさ」


泰貴(やすたか)さんが、そんなことを?」



 意外ね。あのいつもニコニコ笑っている泰貴さんが、そんな厳しいことを言うなんて。それに美波(みなみ)さんまで納得しているなんて思わなかった。あの人こそ引き留めそうなものなのに。



「まぁ、ウチは基本的に放任主義だからな」


「放任主義で片付けて良いことなのかしら――きゃっ」


「おっと」



 文化祭で人が多いことと慣れないメイド服が災いした。通行人とぶつかってしまってバランスを崩す。危うく転びそうになったところを、けれど阿頼耶が素早く反応して抱き止めた。


 そのおかげで私は怪我をすることはなかったんだ、けど……あれ? この状態って、ちょっとマズくない?


 彼の左手は私の右手を握っていて、腰に右手を回して抱き寄せることで支えているから、まるでダンスでも踊っているように見えなくもない!? ぐ、偶然なのにこんな仕組んだみたいな状況になるものなの!?


 カーッと顔が赤くなるのを自覚しつつ視線を動かせば、急な接近でさすがの彼も驚いたみたいで顔を赤くする。



「優李」


「な、なによ」


「胸が薄いせいで心臓の鼓動が滅茶苦茶伝わってくぎゃああああ!!」



 言い切る前に彼の腕を捻り上げた。



「恥ずかしさを誤魔化すにしても他に方法があったでしょ! 余計なこと口走ってんじゃないわよ! 黙って流せ!」


「待って待って待って! ストップ! そっちは曲がらない! 人体の構造的に曲がっちゃいけない方向だからっ!!」



 何度も腕をタップする阿頼耶をしばらく捻り上げてから私は手を離した。彼はグルグル回して腕の調子を確かめながら、



「何も腕を捻って拘束しなくても。顔を赤くして恥じらう姿も可愛かったけど?」


「うっさい! あまりふざけたこと言っていると次はしばき倒すからね!」


「……毒舌メイドっていうのも、これはこれでアリか?」


「ナシに決まってんでしょーが!」



 気を取り直して『釣り』を再開して各クラスやクラブが出している出店を見て周る。食べ物系が多いけど、中には雑貨店みたいにいろんな物が売られているお店もある。


 ここもその一つ。手芸部が出しているお店で、ここでは手芸部員が作った作品を売りに出している。折り紙や切り絵のような紙工芸、花工芸のドライフラワーの他、フェルト、パッチワーク、刺繍などかなり種類が豊富ね。



「何て言うか、女の子って感じの空間だな」



 さすがに男である彼からしたら居心地が悪いみたいね。ファンシーな空間に圧倒されているわ。



「それで、どうしてここに? 男なんだからこういった場所には苦手意識があるでしょうに」


「え? だって優李、こういう可愛い物が好きなんだろ? 部屋にぬいぐるみが沢山あったし。このホッキョクグマのぬいぐるみとか良さそう……」


「わあぁぁああああ!?」



 さらっと往来でとんでもない失言をしやがったので急いで口を塞いだ。


 こいつ! 何で私の部屋にぬいぐるみがあることを知って――ってそうよ! 昨日私の看病に来たじゃない! その時にばっちり見られたのね!!



「ぷはっ。もしかして、隠していたのか? 大人でも好きな人はいるんだし、別に隠すようなことじゃないだろ。本当に好きな物なら胸を張れば良いのに」


「そ、それでも恥ずかしいものは恥ずかしいのよ。そうやって割り切れるなら苦労しないわ」



 結局、なんやかんやで阿頼耶にホッキョクグマのぬいぐるみを買ってもらった。


 両手で抱えるほどの大きさがある真っ白なクマをぎゅむぎゅむしながら彼の横顔を見ると、それに気付いて「ん?」と優しげな笑みを向けてくるものだから、私は逃げるように視線を逸らしてホッキョクグマのぬいぐるみに顔を半分だけ埋めた。



「……」



 サンドリヨンさんの言葉から、阿頼耶は二年前に何かあって、それが理由で道場を辞めて、この二年間ずっと誰かを救ってきたのは分かった。けど、具体的に何があったんだろう?


 聞きたかったけど、私は言葉を呑み込んだ。


 今の私は彼に寄り掛かっている側。彼の心の奥になるものを聞くだけの資格は、きっとない。そう思っているのは私だけで、見当違いなことを思っているのかもしれないけど、でも聞くには、彼に寄り掛かってもらえるくらいの人間にならないと駄目だって、そう思うのよ。昨日、あれだけ醜態を晒した私じゃ、まだまだ足りないわ。


 聞けないことを少し残念に思っていると、彼は怪訝な表情をした。



「……何で気落ちしているんだ?」


「いや、なんか……情けないなぁって。昨日、あんなにピーピー泣いて、いろいろと恨みつらみをぶちまけちゃって。……あんなことを言うなんてって、幻滅したでしょ?」


「いや全然。むしろ俺は言ってくれて嬉しかったけどな。あの場面で、あれだけ言ってもお前が醜い本音を覆い隠して綺麗事をほざいていたら、お前っていう人間を見誤っていたんだなって結論を下すしかなかった。けどお前は理不尽に憤った。その方がよっぽど人間らしくて、そんなお前を――俺は好ましく思っているよ」


「そ、そう」



 だ、駄目よ、私。勘違いしては駄目。こいつは友達として、人間として好ましいって言っているだけ。決してそういう恋愛的な意味で言ったわけじゃないわ。


 言ったわけじゃ、ないけど……でも、まぁ、嬉しく思うくらいは良いわよね?


 女としてではなくとも、私のことを好ましいと言ってくれたことに胸が暖かくなる。その心地良い気持ちに浸っていた時だった。



「椚君」



 背後から誰かに声を掛けられた。振り返るとそこには、ボサボサの髪に眼鏡をかけた、白衣姿の陰気な男性が立っていた。理科教員で私のクラスの副担任の陰下(かげした)先生だ。



「陰下先生。どうかしましたか?」


「実は調理実習室から必要な食材を持って行かないといけないんだけど、クラスの方で人手が足りなくなってね。休憩中に悪いけど、手伝ってほしいんだ」


「そういうことですか。分かりました」


「俺も行こうか?」



 傍にいようとしてくれているのか、彼は一緒に行こうとしてくれたけど私は首を横に振った。この学校の制服を着ているとはいえ、彼はこの学校に籍を置いているわけじゃない。学校関係者との接触はできる限り控えさせないとバレてしまう。



「すぐに戻って来るから大丈夫よ」



 やんわりと断って彼にぬいぐるみを預かってもらった私は、陰下先生と共に調理実習室へと向かった。








 調理実習室は壁一面にある大きな黒板という一点を除けば、普通の教室とは随分と趣が違っている。固定されたステンレスシンクがいくつも立ち並んでいて、調理中の火事の危険性も考慮してか調理実習室の隅には消火器も設置されている。


 ステンレスシンクの上にはクラスごとに分けられた段ボール箱がいくつも置かれていて、その中には野菜類が入っている。肉のような常温に晒せない食材に関しては冷蔵庫に入っているはず。



「それじゃあ椚君。キミはそこの段ボール箱を持って行ってくれるかな。僕は冷蔵庫から肉類を持って行くから」


「分かりました」



 頷きを返してステンレスシンクの上にある段ボール箱を抱えようとした時だった。


 ガンッッッ!!!!!! という凄まじい衝撃が頭の後ろで炸裂した。


 床に倒れ込み、視界が横倒しになる。頭蓋骨が膨らんだみたいにズキズキとした痛みが私を襲う。



「はぁ……はぁ……」



 何が起こったのか、一緒分からなかった。


 脳震盪でも起こしたみたいで体は動かないので目の動きだけで確認すると、陰下先生が荒い呼吸を吐いていた。その手には両サイドに持ち手が付けられた木の棒が握られている。


 アレは、麺棒? もしかして、アレで私の頭を殴ったの?


 ようやく行き着いた事実を認識し、何の脈絡もなく行われた凶行に本能的な恐怖を抱いていると、呼吸を整えた陰下先生は麺棒を横合いに放り捨てる。



「よ、よし。まだ生きているね? 良かった」



 こんなことをしておいて今更どうして生きていることを気に掛けるの? 陰下先生のやりたいことが全く分からない。


 私に近寄った彼は身を屈め、白衣のポケットから注射器を取り出した。まさか、と思う暇もなかった。陰下先生は私の腕を取って、迷うことなく注射器を射して中に入っている薬品を注入した。



「か、げ……なに、を……」



 一体何を注入したのか分からず、得体の知れない怖気が背中を走る。けれどその瞬間、私は強烈な眠気に襲われた。



「大丈夫、これはただの睡眠薬だよ。ドラマや映画みたいにハンカチに染み込ませて、なんてことは現実には無理だからね。直接、静脈注射させてもらったんだ」


「なん、で……こんな……」


「キミがいけないんだ。僕の指示に従わず電車じゃなくて車なんかで来るから。それにあんなどこの馬の骨とも知れないヤツと仲良くするのも気に入らない。だから、お仕置きをすることにしたんだ」



 電車? 指示? ……まさか、陰下先生が……私を痴漢やストーキングしていた、犯人……?


 油断した。認識が甘かった。危機感が足りなかった。心のどこかで「まさかそんな」なんて思っていた。だから付け入れられた。せっかく、阿頼耶が忠告してくれたっていうのに。


 理解し、後悔したところでもう何もできない。私の意識は闇へと沈んだ。

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