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第75話 文化祭 ~ その2~

久しぶりにブックマークが増えました!

してくれた方ありがとうございます。

「さぁ!騎士喫茶の開始だ!」


 半ば無理矢理リーダーにさせられた実行委員のやけくそ気味な掛け声で、クラスの半数が持ち場につく。なぜ半数かと言うと、全員だと教室が手狭な上に交代ができないためだ。残りの半数の更に半数はクラブとの兼ね合いもあり、二時間後のシフトとなっている。残りの半数が更にその次の二時間後だ。

 実と早苗は最初とその次の計四時間、ディバインは最初の二時間と三番目の二時間、サフィアスは二番目と四番目の各二時間の担当になっている。ユーリーは三番目と四番目の各二時間で、浩一郎も同じだ。ユーリーの料理の腕が先日の料理対決より格段に上がっていたため、浩一郎と一緒に料理係に回されていた。


 これを表にすると、次のようになる。


  +--+-+-+-+-+

  |一班|シ|シ|空|空|

  +--+-+-+-+-+

  |二班|シ|空|シ|空|

  +--+-+-+-+-+

  |三班|空|シ|空|シ|

  +--+-+-+-+-+

  |四班|空|空|シ|シ|

  +--+-+-+-+-+


  シ:シフト、空:空き時間


 実と早苗が一班、ディバインは二班、サフィアスは三班、浩一郎とユーリーは四班だ。洋子はディバインと同じ二班で料理係についている。


「一郎と次郎はそのまま入口で待機。…動くなよ?」


 兜や手甲も含めたフル装備の二体のゴーレムが軽く頷いて教室入口へ向かう。今回、プレートメイルを入口に飾るのにそのまま置いただけでは格好が良くないし、マネキンでは強度が足りなかったため、ゴーレム達を使うことにしたのだ。

 だが、このゴーレム、少し知恵がついたのか気が付くとスタイリッシュなポーズをとったりしている時があるため、実は念を押したのである。これをゴーレム達がきちんと守るかはわからないが。


「食器類も実君が家から持ってきたんでしょ。すごいわね」

「使ってないのもあるからね。気に入ったのがあれば、皆で相談して持って帰ってもいいよ」


 この「家」は勿論王城のことである。他国や国内貴族からの贈り物等で食器類が余り過ぎて困っていたので、ここぞとばかりに放出する事にしたのであった。一応専門家やウォースの鑑定で問題ないものばかりを揃えたが、それでも大量にあるのだ。いっそのこと来場者に配っても良いのかもと実は半分本気で考えていた。


「お帰りなさいませ、お姫さ…ま」


 最初に来た女性客に挨拶しようとした実は語尾を何とか言い終えると、呆れたような顔をした。客はいつもの格好のアルテリアと、こちらでの私服姿のミハルだったのだ。文化祭がこの日にあることを間の神経由で知ったミハルが帰省を態々ずらしてきたので、アルテリアと一緒にまわることにしたらしい。


「騎士ならちゃんとエスコートするのです」

「そうそう、騎士ミノルよろしくね」

「はいはい、分かりましたよ。王妃様、神様」

「むぅ、ちゃんと『お姫様』と言うのです」

「そうですよ、接客の基本ですよ」


 ノリノリな二人に溜息をつき、実は席へ案内を始めた。洋子が裏方なので近い方が良いだろうとの判断から、案内したのは一番奥の席だ。


「ミハル、戻ってきてたの?」

「うん、洋子ちゃん。文化祭楽しそうだから、この日に合わせて来たの」


 注文を聞いた後に始まった洋子とミハルの女子トークを聞きながら、実は次の客へと目を向けた。次の客は早苗が出迎える予定だったので、ちょっと気になっていたのだ。


「お帰りなさいませ、お姫様」


 次のお客様も女性のようだ。騎士というとやはり男性のイメージがあるから、女性客の方が多いのかもしれない。実はそう分析したが、女性客が多いのはディバインとサフィアスという異世界人がいるためであり、滅多に見ない外国人風イケメン目当てのミーハーな客が大半であったのだ。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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