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第62話 迷宮へ行こう ~ 迷宮での闘い ~

やっぱり戦闘シーンは苦手です…。

 ヒョウ、と風切り音と共に矢が前衛の俺に襲いかかってくる。その数は三本。


「背後、気を付けろ!来るぞ」


 俺は後衛に注意しながら、小さい竜巻を十個程作って矢を迎撃する。

 小さい竜巻は当然ながら風魔法で、普通の魔法使いならば初級に位置するものだ。

 だが、俺の竜巻は大きさこそ小さいものの、威力はかなりのものであった。なんといっても飛んできた矢がその竜巻に捕らわれた途端、細切れになってしまったのだから。


 かまいたち


 そう、竜巻の風に真空の刃を忍ばせて、ただの竜巻と侮った敵を切り刻む極悪の罠がこの魔法には込められている。


「あいつら魔法を使うぞ!もっと矢を射掛けろ!」


 誰かの声が聞こえる。多分盗賊達のリーダーだろう。探知魔法の魔力を少し多めにして相手の位置を詳細に把握しよう。

 前に十六人、後ろに八人か。ただ、前の十六人のうち、弓を使っているのは四人しかいない。他は剣や槍を持っているみたいだが、迷宮内は狭いし、俺が魔法を使うというのがわかったので前に出てくるのが怖いようだ。


「ふむ、少し後退しようか」

「そうね。このまま前進しても良いけど、楽に捕まえたいものね」


 早苗さんも賛成してくれたので、俺達は後退を開始する。勿論その間も矢が飛んでくるが、竜巻に遮られてこちらまでは届かない。


「やつら逃げ出したぞ!追え!」


 またリーダーだ。あいつを最初に黙らせよう。ただ、あいつはなかなか前に来ない。ちょっと焦れるな。

 あ、後方から槍を持った六人が物陰に隠れたぞ。どうやら俺達が通り過ぎる時に攻撃を仕掛けてくるつもりなのだろう。


「後方、物陰に槍を持ったやつらが六人いる。あと二人は動いていないが、魔法使いかもしれない。注意して後退だ」

「「応!」」


 ディバイン達も状況はわかっているようで、落ち着いて後退している。既にいくつかの術式を展開し、顕現させるだけの状態にしているようだ。魔力制御がしっかりできている証拠でもある。

 そうして、ゆっくりと後方の敵が隠れているところまでもうすぐというところまで後退する。後方のやつらは直前までは出てこないようだ。あとの二人はやはり魔法使いらしく、術式の展開を行っている最中だが、魔力制御が甘く、一般的な魔法使いより多く魔力を消費しているように思われる。


「よし、反撃開始だ!」


 リーダーがゴーレム達が潜む箇所を通過したのを探知魔法で確認し、全員に反撃の合図を出す。ディバイン、サフィアスの二人は水魔法を顕現させ、隠れたやつや二人の魔法使いに水球をぶつけて無力化させていく。


 いきなり至近距離で立ち上がったゴーレム達の姿に驚いた盗賊達は、我先に逃げ出そうとするが、一郎、次郎、三郎が退路を塞ぎ、四郎と五郎が軽いパンチで意識を刈り取っていく。流石に気絶させるだけで殺してしまうようなマネはしていない。


「くっ!罠か!だがこちらの方がまだ人数が多い。全員でかかれ!」


 リーダーはまだ健在のようだ。早く倒しておきたかったが仕方ないな。

 俺は早苗さんに合図すると双剣を抜きはらい、突撃してくる盗賊に二人で襲い掛かった。ミハル様が取り残されるが、俺の結界魔法でガードしているから全く問題ない。


「くそっ!低ランク冒険者じゃなかったのかよ!」

「ふん、ランクと実力は必ずしも一致しないってことさ!」


 俺達が低ランクなのは依頼数が少ないだけで、実力は中堅クラス以上はあると自負している。

 母ちゃんやギルマスのトーラスさんにもそう言われているので、多分間違いはないだろう。

 だが、目の前の盗賊達の実力は、はっきり言って低ランクに毛が生えた程度でしかない。今までは数にものを言わせて勝ってきたのだろうが、今回はそうはいかなかったというわけだ。


「では、大人しくしてもらおうか」


 ここに居る盗賊団の一団が全員倒れ伏すのに、五分とかからなかった。十人以上がゴーレムのパンチに沈み、残りは俺と早苗さんの剣によるものだ。

 リーダーらしきやつは、ゴーレムパンチで一発だった。

 さて、こいつらどうしようかね?


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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