第60話 迷宮へ行こう ~出発編~
ほぼ1カ月ぶりとなってしまい申し訳ありません。
2週間くらい前にはだいぶ落ち着いてきたのですが、PCの調子が悪くなったり、艦これのイベントが始まったり、本業で不具合てんこ盛り状態で泣きそうになったりしてたらこんなに時間が経ってしまいました。
次はもっと早く書きあがれるといいなぁ。
街の外に出たところで、特に何事もなく街道を進む。
馬車は親父がサスペンションを導入しているから、揺れもなく快適だ。
「そろそろ交代だな。次は御者がミノルで見張りがサナエさんだな」
御者席からディバインが中へ声をかける。
ローテーションとしては、ディバインとサフィアスのコンビと、俺と早苗さんのコンビだ。
ミハル様は御者も索敵もまだできないので、馬車の中でおとなしくしてもらっている。
「思ったより進めるな。明日の午後には迷宮にたどり着けそうだ」
「まぁ、明日は早く着いても迷宮には入らないけどな」
「そんなぁ。ちょっとだけ入ってみようよ」
「ダメ。準備はきちんと整えてから入ろうな」
ディバインとサフィアスは、迷宮に入りたくて仕方ないようだ。
二人とも冒険者として依頼を受けまくっているとはいえ、迷宮探索はやっていない。
それは俺たちもそうなのだが、前以て情報を仕入れているだけに、イマイチ盛り上がりに欠ける。
「仕入れた情報だと、三人並ぶと剣を振るのも苦労する狭さらしいぞ」
「えぇ、そうなのかぁ」
「おまけに罠も多いらしい」
「そう言えば、うちのパーティは斥候できるやついないな」
「そこは俺が何とかするけど、その為に戦いでは全力出せないから」
「うへぇ、そうなのかよ。なら準備も仕方ないな」
サフィアス達も納得してくれたようだ。
こうして、馬車の中で情報を共有しつつ、俺達は迷宮へと進んで行くのだった。
「うん、そうなってるとは思ってたよ」
迷宮の近くに着いた俺たちの前に現れたのは、封鎖を行っている冒険者ではなく、どう見ても胡散臭い男達だ。
「俺達は迷宮で長くやってきてるんだ。中の道案内くらいはしてやるぜ」
「いえ、お断りします」
どうせ低階層しか案内しないのに報酬をふっかけてくるか、仲間のところへ連れて行って身ぐるみ剝ぐつもりだろう。
勿論お断りだ。それに転移罠にかかった冒険者が良い人で、迷宮内の地図までコピーさせてくれたから案内人がいなくても特に問題はない。
「ちっ、迷宮では何があっても知らねーからな」
「そうですか。ところで、ここの迷宮はギルドが封鎖したはずなんですけどね」
「ふん、そんな事知った事かよ」
男達は走って逃げていった。多分、仲間に連絡して待ち伏せするつもりだろう。
迷宮内で仕掛けてくる可能性が高いが、裏をかいて迷宮に入る前に奇襲を仕掛けてくるかもしれない。
念の為にも、ここからアレを作っておこう。
「ちょっと待ってて。アレ作るから」
仲間達が了解したのを確認すると、空間魔法を顕現させて中から魔力を込めた魔石を五個取り出す。
魔石を草むらに転がすと、俺は新たに身につけた魔法を顕現させた。
魔石の周囲の土が、魔石を包み込むように盛り上がり、だんだんと形を整えていく。
「あら、なかなか良い出来ですね」
「こいつらに斥候は任せるわけか。俊敏そうで良いんじゃないかな」
「でも細かい制御はまだ難しいから、何かあったらお願いするよ」
そう、俺が作ったのは、所謂ゴーレムというやつだ。
ただ、デカくてトロいイメージとはかけ離れたフォルムをしている。全員引き締まった良い身体で、スタイリッシュな立ち方が似合いそうだ。勿論服を着た状態なので、女性の目の毒にもならない。…目の保養にはなるかな?
ちなみに、通常はゴーレムを作るのに魔石は必要ないが、術者が常に魔力を供給し、操る必要がある。
魔石を使うと、魔力供給は魔石から行うし、それなりの命令も聞いて自立して動けるようになるのでお得なのだ。
その代わり、魔石の魔力がなくなると動作停止するので、定期的に補充が必要なのと、直接供給するより多少燃費が悪く、ゴブリンあたりの魔石だと一日も持たない。
実が使った魔石は、先日森の中で倒した魔物から剥ぎ取ったもので、更に実の魔力を込めたので一週間くらいは魔力の補充なしで動き続けることができるのだ。
「よし、それじゃあ行くか。ゴーレム達は俺達の周囲に散開して警戒。」
このまま居ても仕方ないので、俺達は今日はここで野営する事にし、明日の朝から迷宮に行く事にした。
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