第59話 迷宮へ行こう! ~準備編2~
お待たせしました。
ようやく地震も自身も落ち着いてきたので、投稿を再開します。
「次はここだな」
防具の次は武器屋だ。と言ってもミハル様以外は各自武器を持っているので、特にメインの武器を買う必要はない。
「ミハル様も、何か武器を持った方が良いのでは?」
サフィアスの言葉はもっともだ。だが、元地球の一般人であるミハル様は、特に武術の心得があるわけでもない。高校では剣道を授業でやったくらいと聞いているが、その程度では嗜むというレベルですらないだろう。
「とりあえずショートソードかなぁ。あと弓が居ないから、弓を買って練習してもらおうか」
ディバインの意見を採用しよう。ミハル様には、前衛よりは後衛から弓が似合っている。
とりあえず、女性にも使いやすい半弓と、標準的な矢を購入し、持ち切れない矢を空間魔法でしまっていく。そう言えば、ミハル様は空間魔法は使えないのだろうか。
「ミハル様は、空間魔法は使えます?」
「一応時空担当神だから、使えるよ」
「でしたら、矢はミハル様の方に入れておいた方が良いのでは?」
「あっ、そうだね。うっかりしてた!」
結構おっちょこちょいのようです、ミハル様。
「あ、あと安いショートソードを十本程頂けるかな」
「はい、ただ、安いので耐久性とかは高くないですが」
「それでいいです。どうせ実験に使うので」
ちょっと試してみたい事があったので、ショートソードを十本購入し、空間魔法に入れておく。うまくできるようになれば、かなり便利だ。
「これで、準備は終わりかな。食糧もよし、野営の準備もよし、防具、武器もよし。あとは移動の足だけだ」
移動は王城の馬車を使う事になっているので、特に準備する事はない。王城の馬車と言っても派手な装飾とかはなく、お忍びに使うやつだ。
「馬車が用意してあったはず。俺が受け取ってくるから、明日の朝に城の裏手集合でいいかな」
「そうだね、お願いしとくよ。それじゃ、今日は解散しよう」
サフィアスの提案に全員が賛成し、この日は解散となった。
「国からは指名依頼という形で依頼を出してある。ギルドは低ランク冒険者に指名依頼はさせられないとごねていたが、事情を説明して納得してもらった」
「迷宮は?」
「こちらもギルドに連絡して一時封鎖をしてもらってる。実害が出てるから、其方は問題なかったよ」
今回、異世界転移の罠の封印が目的なのだが、それを公にするとわざと罠にかかりに行く馬鹿が出てくるので、今回は別の理由をつけて依頼という形にしてくれたようだ。迷宮を一時封鎖しているので、中を確認し問題なければ封鎖の解除を行うという内容になる。
「よし、それじゃ、念のためギルドで受注確認をしてから出発しよう」
「「「「了解!」」」」
こうして、俺たちは馬車に乗り込んで冒険者ギルドへと向かった。
「はい、確かにミノルさん達はこの指名依頼を受けられています。このまま出発されても問題ないですよ」
「ありがとう、それじゃいってきます」
ギルドの受付嬢に受注の確認をする。特に問題は無いようだ。
因みに今の時間は依頼の貼り出しが行われてあまり時間が経過していないため、冒険者達が多い。だが、俺達が今いるのは通常のカウンターではなく二階の会議室なので、依頼内容が他の冒険者に聞かれる心配もない。
「あ、そうそう、このまま二階から降りていくと他の冒険者に絡まれますよ」
「なんで?」
「二階で話をするという事は、特別な依頼か、ギルド幹部と関係がある方の二つなのですが、ギルマスや魔女との関係を知らない冒険者からすれば、単なる駆けだしの冒険者が身の丈に合わない特別な依頼を受けたととるでしょう」
そしてそれを横取りしようとするはずです。と、サフィアスの質問に答えた受付嬢は最後に付け加えた。
「なので、そちらから直接馬車を置いている厩舎へ出られますので、そちらへ行かれる事をお勧めします」
「ああ、ありがとう」
こうして俺たちは、ようやく街の外へ出る事ができるようになるのだった。
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