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第6話 野ウサギ狩り

今回はかなり短いです。

どうしても丁度良い文字数で書けないのが不満です。

「先ずは装備を整えるのです。防具は今の服装でも大丈夫だと思うので、武器屋だけにするのです。」


 アルテリアが二人を連れて来た場所は、武器屋だった。様々な武器が並ぶ中、真っ直ぐ剣が置いてある場所へ向かう。


「伊倉さんは、刀の方が良いのです?」

「いいえ、確かに斬り方が刀と剣では違うので、本当は刀の方が良いですけど、剣でも問題ありません。」

「伊倉さんって、実家が道場やってるんだっけ?」

「うん、古流の剣術道場。だけど、お父さんが西洋剣術にも興味持っちゃって、そっちもある程度は稽古してるよ。それに、こちらの剣術にも興味あるしね。」

「伊倉さん、剣の筋がとても良いのです。流石なのです。」


 そんな事言いながら、各々武器を選んでいく。アルテリアと早苗は鋼のロングソードを購入し、早苗は更に、投げナイフを二セット購入した。


「動き速そうだから、こういうのも買っておかないとね。」

「伊倉さんは、良く考えているのです。それに比べてうちのバカ息子ときたら、何にも考えていないのです。」

「いや、一応考えてるよ!?ただ思いつかないだけで。」

「それは、考えていないのと同じなのです。」


 そう言う実は、鋼のショートソードを二本購入し、双剣として使うよう両腰にセットしていた。実はとあるモンスターを狩りまくるゲームの影響で、双剣が大好きになってしまったのだ。勿論、だからと言って練習もせずに使える訳もなく、ちゃんと練習も積んではきていた。先日の斑大熊との一戦でそれなりの手ごたえ掴んでいるのも、このスタイルを続ける大きな理由となっている。

 そうして一応準備が終わった三人は、一つ目の依頼を遂行すべく、郊外の狩場に向かって行った。




「野ウサギなんていないじゃないか!」

「そんな事はないのです。探知魔法では、ちゃんといるのは分かっているのです。伊倉さんも、ちゃんと狩れているのです。」

「そうだよ、木葉君。気配を探れば、ちゃーんと居るんだから。」


 先ずは野ウサギ狩りだが、これが以外と難しい事に実が気付いたのは、到着して三十分程経った頃だった。野ウサギは警戒心が強く、人が不用意に近づくと隠れてしまったり、逃げたりするのである。

 早苗は実家で剣術を習っており、その中に気配を消す修練もあるらしい。そのおかげか、野ウサギに気づかれる事なく忍び寄ると、投げナイフで野ウサギを仕留めていく。気が付くと、何時の間にかノルマの五匹を狩り終わっていた。


「では、お手本を見せるのです。」


 アルテリアが言うと、術式を展開する。既に探知魔法で居場所は突き止めているようだが、見えない野ウサギをどう狩ろうというのか、実にはわからなかった。


「ここで選択すべきは、土魔法なのです。隠れているところが探知魔法でわかれば、その場所を包み込むと野ウサギはもう逃げられないのです。その状態で放っておくも」


 魔法を顕現させる。草原のあちこちで土の塊がボコッと飛び出した。その数は五個程度であったが、これはあくまでも手本であり、残りは実にさせようというものである。


「では、探知魔法からやってみるのです。」

「はーい。」


 実も術式を展開する。以前戦闘実習で魔力の網を作ったように、自分を中心に蜘蛛の巣のように網を広げていくイメージを込め、魔法を顕現させる。目には見えないが、そこそこのマス目の網が、実を中心に張られた事をアルテリアは確認した。


「まぁまぁなのです。野ウサギの反応があったら、捕まえてみるのです。」

「了解。」


 その網にいくつかの反応を感じた実は、土魔法でその反応を包み込むと、そのまま団子状態にして地上へ浮き上がらせる。そして、その数が十を超えるまで続けた。


「それでは土団子の御開帳なのです。まだ生きている可能性もあるので、周りに障壁を張って、逃げられなくしておくのです。」


 アルテリアの土団子の中は殆どの野ウサギが圧死していたが、実の方の土団子は包み込むようにしたせいか、殆どの野ウサギはまだ生きており、土団子を崩すと逃げようとしていた。その野ウサギをあっという間にアルテリアが仕留めると、獲物を入れておく袋に入れ始めた。


「一応、今回は外れはなかったのです。でも、実は多分反応が野ウサギかどうか、わかっていなかったと思うのです。」


 その通りであった。野ウサギかどうかの判定までつけられるほどの精度がなかったので、反応のあったもの全てを対象としたのだった。


「まぁ、要練習なのです。では、一旦帰って野ウサギを納品してくるのです。」

「野ウサギ討伐って、納品もするの?」

「そうなのです。野ウサギは食用としても手頃で人気があるので、納品すると喜ばれるのです。」

「ゴブリンの方は?」

「あちらは討伐証明が必要なので、討伐部位を持って帰る必要があるのです。」


 そうなんだ、と思いつつ、実は野ウサギの入った袋を肩に担ぎ上げるのだった。




「野ウサギ納品完了、なのです。」


 満足そうにアルテリアが言う。冒険者ギルドに戻って、二十羽の野ウサギの依頼完遂報告と納品を終えたところだ。通常、二十羽もの野ウサギを狩るには三日から五日くらい必要となるため、往復時間も含めて二時間弱は最短記録らしい。


「まぁ、狩るのはほとんど一気だったから、確かにあまり時間かかってないな。」

「探知魔法の重要性が解ったと思うのです。」

「うーん、探知魔法は確かに便利だけど…。」

「じゃあ実は、探知魔法なしで野ウサギ狩りの依頼を遂行するのです。」

「わかったわかった探知魔法は重要ですっ!」

「あの、それで報酬の方ですが…。」


 野ウサギ狩りの依頼報酬は銀貨二枚であった。

 ベアル王国では、金貨、銀貨、銅貨、石貨の三種類の貨幣が流通している。その関係は、次のようになっている。


 石貨十枚で銅貨一枚と同じ

 銅貨十枚で銀貨一枚と同じ

 銀貨十枚で金貨一枚と同じ


 地球の物価と単純に比べられないが、石貨一枚でリンゴ一個が買えるかどうかという値段なので、大体石貨一枚が百円程度と考えられる。ということは、銀貨二枚という事は二万円程度という事だ。これは、狩った野ウサギの買取り価格も含まれており、そちらの方がかなりの割合を占めている。そう考えると、この依頼はあまり割に合わない依頼なのかもしれない。

 そんな事を考えつつも、実達は報酬を分け合うと、次の依頼をこなすために林へと向かうのだった。


見て下さってありがとうございます。

ご意見、ご感想お待ちしております。

それと、次から投下を日曜夜(月曜0時)から、金曜夜(土曜0時)に変更させて頂きます。なので、次は16日0時を予定してます。

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