第55話 リンの異世界見聞録~その5~
大変お待たせしました。
一応生きてます。
今回も短いですが、どうぞお楽しみください。
「よーこおねーちゃん、今日はどこにつれてってくれるの?」
リンちゃんが私に訪ねてきます。昨日は私立図書館に連れて行き、閉館時間まで絵本を読んであげていました。今日は運動公園にしようかしら。
「今日はお出かけはストップなのです。向こうから、この子の母親が来るそうなのです」
アルテリア先生が突然現れて、私達に校長室で待機する様伝えてきました。確か、リンちゃんのお母さんって上位竜だという話よね。一体どんな方なのかしら。
「分かりました。リンちゃん、一緒にお母さんお迎えに行こうね」
「あいっ」
リンちゃんも、久しぶりに母親に会えるのが嬉しいようです。すごく良い笑顔です。私は、そんなリンちゃんの手を引いて、校長室へ向かいました。
「リン、寂しい思いをさせてすまんの。少しの間じゃが、今日は一緒に出掛けようかの」
「あいっ!」
リンちゃんが抱きついているのは、とても綺麗な女性の方です。とても竜とは思えません。
「ヨーコ・ユノマエと言ったかの、我は上位竜のナーダと申す。リンが大層世話になったとの事、礼を言おう」
「いえ、リンちゃんと一緒に居れたのは楽しかったので」
「そう言うて貰うとありがたい。それとな、これはお願いじゃが、今日は我も一緒に連れて行ってはもらえぬか」
「は、はい?」
私はアルテリア先生の方を見ると、両手を合わせて拝んできます。どこであんな知識を知ったのでしょうか。
「ア、アルテリア先生は?」
「残念だけど、この後職員会議があるのです。流石に校長の前でサボるとは言えないのです」
「良いわよ。今日の職員会議は、秋の修学旅行についてだけど、あなたは実家に帰るだけだから聞かなくても大丈夫でしょ」
「ありがとーなのですっ!」
アルテリア先生、今度は校長に両手を合わせて拝んでいます。本来、拝む対象はその隣に居る神様だと思うんですが、どうやらアルテリア先生にとっては違うようです。
「では、どこに行きましょうか」
「ふむ、我はこちらの世界の事を知らぬ。街中が見れれば良いのう」
「それでは、街中に出かけるのです。今なら、ちょっとだけでも買い物とかできるのです」
そうですね。今は放課後でした。早く移動しないと、ただでさえ本数が少ない電車に乗り遅れてしまいます。
「私が送ってあげよう。アルテリアよ、あの店で良かったか?」
「間の神様、ありがとうなのです。場所はそこで問題ないのです」
「では、お主らそこの円に入れ。…よし、繋がった。では行ってこい」
目の前が眩しい光に包まれたかと思うと、いつの間にか知らない部屋に立っていました。ナーダさんとリンちゃんもキョロキョロしています。
「さて、ここから出られるのです。皆さん、ついてくるのです」
アルテリア先生は慣れた手つきでドアを開けて出て行きました。私達も置いて行かれないよう、慌ててついて行きます。
「ふむ、ここはあちらの世界の物が沢山あるの」
「小さいながらも、貿易拠点なのです。両替もしているから、あちらのお金しかなくて困るという事はないのです」
「へぇ、そうなんですかぁ」
考えてみればそうですよね。両替しとかないと、いきなり無一文ですもんね。
「では、買い物に行くのです!」
何故か気合いを入れたアルテリアは、鼻息も荒く行き当りのドアを開け放つ。ドアの先はアンティークショップの店内だった。
「おぉ、確かにこれは良い貿易拠点であるの」
「勿論なのです。ちゃんとリサーチも済みなのです」
アルテリア先生が胸を張る。こうしてみると、私と同じ年の子供がいるとは思えない。
「とりあえず、何を買いに行きましょうか?」
私は、アルテリア先生にそう尋ねるのだった。
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