第53話 リンの異世界見聞録~その4~
遅くなって申し訳ありません。
仕事が修羅場ってます。
週イチの投稿も厳しい状態ですが、エタるつもりはありませんので、頑張って投降していきますね。
「リンはもうすこしこっちにいたいなぁ…」
リンが少し寂しそうに言う。本来なら、まだ此方で見聞を広めるはずなのだ。だが、このあたりの事情も分かったうえで任せられる人物が殆ど居ない。実達も、リンの願いを叶えて上げたいのだが、良い人物がうかばなかった。
「あ、そうだ、浩子さん「却下で」ア、ソウデスカ」
早苗がある人物を挙げるが、ソッコーで却下される。弟ならまだしも、あんなのに任せた日には、街がなくなってしまうかもしれない。早苗もその辺は分かっていたようで、それ以上勧めなかった。
「あの、洋子ちゃんはどうかな?」
ミハルがおずおずと挙手をして、最近転校してきた子の名前を言った。確かに彼女なら事情も知っているし、破天荒でもなさそうだ。
「そうだねぇ。呼んでもらえるかな?」
「実がお仕事している間、私もリンをフォローするのです」
「え?母ちゃんはこっちじゃないの?」
「そっちは実達に任せておいて大丈夫なのです。不安なら、ヒロコを呼べばいいのです」
「リンと一緒に居たいからって。仕方ない、早苗さんも良いかな?」
「良いわ。でも、浩子さんは…」
「うん、止めとこう。ろくでもない結末しか想像できない」
浩子に対する評価が散々である。本人がいたら嘆くであろう。そう評価された事に対してではなく、そう評価する弟子(?)達に対してだが。
「とりあえず湯前さんに連絡をして、こちらに来て頂きましょう。彼女は面倒見が良いから、こういったのは得意ですよ」
そう言いつつ、ミハルが手早くスマホで洋子に連絡をとる。洋子と、一応保護者として母親に来てもらう事にした一行は、今後の予定をどうしようかと話し合うのだった。
「では、日中はこの子に色々と見て回らせて、勉強させてほしいという訳ですね」
「あいっ!おねーちゃん、よろしくおねがいします!」
「はい、宜しくお願いします」
「洋子ちゃん、ごめんね」
「…仕方ないわね。木葉さん、リンさんの面倒はお任せ下さい。その代り、ミハルの事を宜しくお願いしますね。」
「はい、お任せ下さい」
実とミハルが、洋子に事態の説明をする。時にはアルテリアや早苗も入って、ミハルの安全を約束した。
こうして、実達は、転移の罠があると言う迷宮へと向かうのだった。
「さて、リンちゃんは、どんなのを見たい?」
「んーとね、あっちとはちがうものをみてきなさいっていわれてるの」
事前に言われていたのであろう事を思い出しながら、リンは言った。こちらと向こうの違いと言えば、やはり魔法と科学だろう。小さな子向けのそのような施設がないか、ネットで検索をかけてみる。
「うーん、ちょうど良さそうなのが無いわね。そう言えば、お買い物に行く途中って聞いたけど、まだ行ってないのかな?」
「ううん、おようふくかいにいったよ」
「そっか、他にはどこか行くって聞いてた?」
「きいてないよ。あ、そうだ、おにーちゃんにこれわたしてっていわれてた」
リンが服の間から封筒のようなものを引っ張り出すと、洋子に渡した。
「これ?え?こんなに!?」
そこに入っていたのは、諭吉さんが描かれたお札が十枚と、短い手紙だった。手紙には「好きなように使ってくれ」と書かれている。
「これって…」
「みのるおにーちゃんね、さなえおねーちゃんとぼうけんしゃってやってたんだって!それでもらったっていってた!」
冒険者。まさしくファンタジーの世界である。ミハルの護衛ができる事から、実はそれなりに腕が立つのだろう。早苗という女性の方は、実家が剣術道場をやっているという話だったから、そちらも強いに違いない。
「向こうの世界って、すごいのね」
そうため息をつく洋子だった。
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