第51話 リンの異世界見聞録~その2~
遅くなってすいません。
眠くて見直しもちゃんとできてないかも…
「みのるにーちゃん、だっこ!」
「よし、ほぅらどうだぁ」
リンを抱えあげた実を、早苗が微笑ましそうに見つめる。休日の繁華街、実と早苗はリンに日本を慣れ親しんでもらうという名目で、買い物へとやってきたのだ。周りも親子連れが多いので、三人は然程目立たずに買い物を楽しむことができそうだ。
「そういえば、リンちゃん日本語上手ね」
「うん、リンおとーさんに教えてもらったの!」
どうやら嗣治が教え込んだらしい。教材はアルテリアが勉強した時のものがあったから、それを使ったそうだ。暇人ではないはずなのだが、嗣治は何かというとリンに構いたがるらしく、臣下達もちょっと困っているようだ。だが、一応政務もちゃんとこなしているあたり、それなりに有能ではあるらしいとはアルテリアの弁である。
他愛ない会話を続けながら三人が向かったのは、個人経営の喫茶店だった。この喫茶店は落ち着いた雰囲気で、実のお気に入りの場所である。
「いらっしゃい」
年配の女性が、人数分のお冷とおしぼりを持ってくる。ご夫婦でやっているらしく、店の人は厨房の旦那さんとこの女性だけだ。ここでは定番のブレンドコーヒーと、リンにはホットミルクを注文する。
「可愛いお子さんね。何方の子?」
「僕の義理の妹になります。ほら、ご挨拶」
「あい、リンっていいます。よろしくおねがいします」
「お利口さんねぇ」
女性はリンに微笑んで、またカウンターへ戻って行った。
「それで、今日はこれからどうするのかしら?」
「まぁ、街をぶらぶらするのも良いんだけど、こっちのお城とかも見せてあげたいしなぁ」
「いや、それ貴方の趣味なんじゃない?」
「そうか?」
実が城好きであることを察した早苗がぴしゃりと反論する。お互い趣味に口出しするつもりはないが、本日の主役はリンだ。リンが楽しめるところが良いだろう。
「と言う訳で、子供服売っているところにしましょう。近くに子供服専門店みたいなところもあったわよ」
「…そうだね、リンもすぐ大きくなっちゃうから、少しサイズを代えて何種類か買っておこうか」
「そうね、そうしましょう。リンちゃんもそれでいいかな?」
「うん、いいよ!」
「あらあら、リンちゃん良かったわね」
リンはいつでも元気いっぱいだ。お店の人も含め、全員が微笑ましい気持ちのままコーヒーとホットミルクを飲み干すと、三人は子供服専門店へ向かった。
「みのるおにーちゃん、あれあれ!」
「ん?あれはお洋服じゃないよ?」
実がそう返すのも無理は無い。リンが指さしたのは、でかいぬいぐるみだ。確かに中の綿を抜けば、着ぐるみとして使えない事もないだろうが、現実的ではない。
「んーん、あれほしいの!」
だが、リンは着るものとしてではなく、純粋にぬいぐるみが欲しかったようだ。だが、どうやら売り物ではなかったらしく、早苗が入手先を聞いて、そこで買う事になった。キットや一からの手造りではなく、一応既製品らしい。なぜか早苗はホッとしていた。
「それじゃ、これでいいかな?」
「うん、こんだけあれば十分じゃないかな?」
そう言う二人がリンに買った服は十着程。向こうの世界でかなり稼いでいるとは言え、こちらのお金を稼いでいるわけではない。だが、向こうのお金とこちらのお金を交換する両替所のようなところが一軒だけ存在しているのだ。
その店はアンティークショップのようなところだが、向こうの世界の商品をこちらで売って経済調査を行ったり、こちらで活動する向こうの世界の人間への両替等を行っている。先程の喫茶店も、椅子やテーブルはそこで購入したそうだ。
実と早苗はそこでまず両替を行ってから街中へ出てきたわけで、学生にしてはかなりの金額を持っていた。
そんななか
「あ、あそこ何だろう?」
早苗がそれに気付いたのは、店を出てすぐのところだった。
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