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第48話 ご挨拶に向かいます

投稿したつもりが…。

最後のボタンを押し忘れてました。

遅くなりましたが、本編再開です。

「それじゃ、行ってくるよ。」


 実は、アルテリアにそう伝えて家を出た。向かう先は早苗の家だ。付き合い始めの時点で親御さんに挨拶などという、最近ではあまりない事をしに行くのだが、当然理由はある。

 一つは、早苗が伊倉家の中でも飛び抜けた技量を持っている事。結婚となれば家を出るわけで、そうなると伊倉家としては将来の当主、若しくは師範を一人失う事になるのだ。

 もう一つは、自分の家の特殊性の説明だ。こちらについては既に早苗が向こうの両親へ説明しているので、その補足的な意味合いが強い。それに結婚後は、どうしても最初のうちはベアル王国での生活がメインになる。そうすると、やはりいざという時にすぐには駆けつけることができないというデメリットが生じる事もあるのだ。


「もう、ここまできたら、婚約までやった方が面倒くさくなくて、良くないか?」


 実はそんな事を考えながら、歩いていく。実の両親はそれを願っているが、何しろ相手がどう思っているか次第だ。早苗が言うには、そう悪い感触ではなかったという事だが、どうなるかはわからない。


「ま、頑張ってみるか。」


 そう呟くと、少し速足でバス停に向かうのだった。




「早苗、その木葉君というのは、何時頃到着かね?」

「約束は十一時半だよ。昨日も言っといたじゃない。」

「そうですよ、もう。」


 早苗の父親である大悟は不機嫌であった。娘の彼氏が、挨拶に来るというのだ。剣術の事以外では娘を溺愛している大悟は、付き合い始めたという男なぞ認めたくはない。だが、律儀にも付き合い始めの時点で挨拶に来るという点は認めても良い。

 そんな夫の気持ちを知っているのか、早苗の母親である静江はニコニコしながら娘と食事の準備をしている。形の上では、早苗が実を昼食に誘うという名目で本日のセッティングをしていたからだ。


「さて、そろそろ来るかな?」


 時計を見つつ、早苗が呟く。時刻は十一時になったところだ。バスで来ると言っていたから、もう近くのバス停には到着しているだろう。そこから伊倉家へは地図を渡してあるし、迷ったら連絡をするよう言ってあるので、問題は無いだろう。早苗は、玄関の呼び鈴が鳴るまでゆっくり休憩する事に決め、居間の方へと向かうのだった。




「初めまして、木葉実と申します。」

「うむ、早苗の父だ。」

「母の静江です。さぁ、こちらへどうぞ。」

「あ、はい。ありがとうございます。」


 居間に案内された実は、そこで待ち構えた早苗の両親へ一礼し、挨拶する。礼儀作法に関しては両親はあまりあてにならなかったので、叔母である高瀬川校長に急遽復習をお願いしたおかげで今のところは大丈夫のようだ。


「それで、きょ「実さん、こちらをどうぞ。」…母さん、私が話し始めたら黙ってくれないかね。」

「だって、わかりきったことを聞くんでしょ?なら、そこから先の話をしなきゃ。でも、今はお昼を頂きましょうね。」


 どうやら、家庭内では大悟よりも静江の方が上らしい。苦虫を噛み潰したような顔はしたものの、反論はしなかった。


「それで、実さんとしては、早苗とどうしたいのかしら?」

「すぐではありませんが、いずれは結婚させて頂きたいと思っております。」


 ご飯を食べながらの単刀直入な母親の問いに、即答で返す。早苗はというと、真っ赤な顔を綻ばせ、大悟は苦虫を更に十匹以上は噛み潰したような顔をしている。


「まぁまぁ、早苗も真っ赤になっちゃって。よっぽど嬉しいのかしら。うちはまだこの子の兄弟が居るからお嫁さんでも良いけど、これだけの使い手をただ手放すのもねぇ。」

「そうですね、うちの親とも話し合いはしてますが、もし結婚したとしても、たまにはこちらへ戻るようにするつもりです。高校の運営も関係しますしね。」

「そういえば、校長先生は叔母さんなんですってね。お父さんだけ何やら向こうに行きっぱなしと聞きましたけど、実際何をされているのかしら?」


 どうやら、早苗は嗣治の職業については話していないらしい。


「えー、ベアル王国という国で、王をしています。」

「はい?」

「母が王女でしたので、結婚して王になってます。」

「ではお母さんは?」

「逆に、こちらで高瀬川高校の教師やってます。先日の放課後の特訓を担当したアルテリア・木葉は私の母です。」

「逆単身赴任なのね。」


 逆単身赴任なんて初めて聞いた。だが、言われてみれば確かにそうだ。実家(?)には父だけが住み、母と息子は別の場所にいて、たまにしか戻ってこない。

 

「そうですね、そんな感じです。」


 実は、そう答えるしかなかった。


「ところで、実君は剣術もなかなかだと聞いてるけど。」

「いえ、我流ですので。」

「そんなことないわよ。かっこいいし、強かったんだから。」

「それでは、一手仕合ってみようか。」


 ここぞとばかりに大悟が実に仕合を強要する。これは逃げられそうにないなと思った実は、道場で仕合をする事になってしまったのだった。




ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

ご意見、ご感想、評価、ブクマお待ちしております。


ところで、書き溜めがなくなってしまいました。

頑張って書いては行きますが、更新が週イチ程度になってしまう可能性がかなり高いです。

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