ex004 ミハルさんの里帰り ~その3~
遅くなりました。m(._,)m
「それじゃ、また向こうで。」
「はい、ではまた。」
実達とも別れ、ミハルと洋子は家に戻る事にした。洋子はミハルの母親の強い勧めにより、坂本家で頂く事になっている。
「ねぇ、ミハルちゃんから見た木葉君って、どんな人なの?」
突然洋子が美晴に聞いてきた。美晴としては、洋子の真意が分からない。
「良い人だと思うよ。父親の命令とはいえ、僕の為に家と連絡とってくれたり、色々と環境を整える手続きをやってくれたりしたしね。」
「ふーん、それって下心は無かったの?」
「あるけど、洋子ちゃんが思っているようなのじゃないからね。」
洋子は、実が美晴をモノにするために世話をやいていたと思っていたのだ。それを察した美晴がフォローを入れる。
「さっきの伊倉さんとラブラブだから、変な目で見られた事はないよ。王も召喚事故を起こしたのが自国民という事での償いだと言っていたし、仮にも僕は神様だからね。」
神様のところで、なぜかえっへんと胸を張る美晴。可愛らしいが、少しうざい。
「それじゃ、心配性な洋子ちゃんの為に、王様に連絡とってみようか。」
「えっ?」
美晴はバッグからスマホのようなものを取り出すと、アドレス帳から嗣治を呼び出す。これは先日間の神が使っていたものと同じもので、嗣治にも渡してある。
「ミハル様ですか、どうなされました?」
「様はやめて下さい。いえ、そちらは今はよくて、今幼馴染と一緒に居るんですが、初めてお会いした時に実君を私の世話役にしたのはどういう意味なのか、知りたいそうなので。」
「そうですか。そう大した理由はないんですがね。ちょっと代わってもらえます?」
美晴はスマホを洋子に渡す。洋子はそれを受け取ると、嗣治と話し始めた。
「はい、代わりました。はい、はい、そうです。
あっ、そうですね。…それは今日お会いしましたから分かりますが。
そうなんですか。分かりました。はい、ありがとうございます。」
洋子は嗣治とのやり取りで誤解も解けたようだ。スマホを美晴に返すと、美晴も嗣治と話し始める。
「どうやら、誤解は解けたようで良かったです。そしてもう一点、彼女にそちらの世界への行き来を許可させたいんですけど、やはり此方の神様に連絡とらないといけないですよね?」
「いえいえ、うちの息子がご迷惑をおかけしました。それと、許可の件ですが、こちらはミハル様の管轄になりますので問題ありませんが、そちらの方はやはり間の神様に連絡をとった方が良いでしょうね。」
「ありがとうございます。では、今週中には戻りますので。」
「はい、楽しんできて下さい。では、また。」
通話を終わらせた美晴に、洋子が尋ねる。
「美晴ちゃん、行き来の許可って…。」
「そのまんまの意味だけど。実君にもお願いしてたけど、洋子ちゃんなら多少無理してでも来たがると思ったからね。」
「あ、ありがとう。」
「んじゃ、間の神様は…と。」
自分も神様のせいか、友達へ連絡するかのように軽い感じで神様へ連絡をとる美晴に、少し距離感を感じてしまう洋子。だが、そんな洋子の為に世話をやいてくれるのは、まぎれもなく以前からの美晴であった。
「あ、間の神様ですか?ミハルです。ええ、それでお願いがあって…。はい、そうですか!ありがとうございます!はい、加護はこちらでつけますので、大丈夫です!」
洋子が気がつくと、美晴は間の神様と連絡をとって許可のお願いをしていた。どうやら問題なく許可が下りたようだ。通話を終わらせた美晴が、洋子の方へ向くと、ちょっとまじめな顔をして尋ねた。
「洋子ちゃん、行き来の許可をとるためにはある条件が必要だそうなんだけど、受け入れて貰えるかな?」
「え?どんな条件なの?」
「それは家に帰ってから話すよ。うちの親では確かに無理だなぁ。これ。」
美晴の加護を受けた湯前洋子が、間の神様の管理下に置かれるために高瀬川高校へ転校するのは、それから数日後の事であった。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
ご意見、ご感想、評価、ブクマお待ちしております。
年末で仕事が大忙し状態になってきたので、更新頻度が更に下がります。
遅くても週イチでは投稿するよう努力します。




