第47話 報告と新たな家族
遅くなってすいません。
年末はなんでこんなにも仕事が忙しくなるのか…。
「それで、行ってみたら魔物に蹂躙された死体しか無かったと。」
「…はい。」
ベアル王国王城の一室、実は嗣治への報告を行っていた。勿論、森の一件も含めてだ。それに対する嗣治の反応が、先程の言葉であった。
「ま、森の一件はイレギュラーだったから、ある程度は仕方ない。だが、次からは情報源の確保も考えておいてくれよ。」
「はい。」
「まぁ、そんな凹むなよ。今回のを次回に活かせばいいだけだ。」
「…そうだね。ダルマンの件とかあったから、ちょっと余裕がなかったみたいだ。」
「そのダルマンだが、どうやら会長職を辞めさせられたようだ。今は息子が実権を握っているらしい。」
「ふーん、って何で知ってんの?」
「その息子からの情報だ。どうやら、新たな会長は親父に似ず頭がかなり切れるようだぞ。親のやらかした一部始終から、こちらの関係者という事を特定して水面下で連絡を取ってきたよ。主に謝罪と今後の取引についての話だったが。」
「分からないようにしたつもりだったんだけどなぁ。」
「息子とは言っても、三十歳は超えているんだ。それなりにできるやつじゃなきゃ、実権なんて握れんさ。」
「俺も、もっと頑張れっていうことか?」
「そう言う事だ。」
嗣治はニヤリと笑うと、報告も終わったからと二人でナーダの元へ向かった。どうやら卵が今日にも孵るらしいのだ。
「間に合って良かったよ。」
「なんて言ってると、今にも孵るかもな。」
そこへ、先に行っていた早苗が走ってきた。
「王様、実くん、もう孵るって!」
「げっ、マジか!」
三人は、ナーダの待つ部屋へと走って行った。
「上位竜の子って言っても、本当に人間の子供と同じなんだな。」
「そうね、でも、生まれた時点で三歳くらいにはなってるみたいだから、育てるのは少し楽かも。」
「あいっ!」
上位竜の子は、生まれてすぐは魔力を分けてくれた相手の種族と同じような姿になる。ナーダの子も、嗣治から魔力を貰ったので、人と同じ姿形をしていた。黒髪、黒眼、幼児特有のぷくぷくした手足がとても可愛らしい。とても元気のよさそうな、ナーダ似の女の子であった。
「ところで、この子の名前は?」
「まだ決まってないんだよな。あそこで揉めてて。」
早苗の質問に、実が返す。実が視線で指す先には、嗣治、アルテリア、ナーダ、そしてミハルの四人が、この名前は画数がとか、語呂が悪いとか言っている。この世界でも画数による姓名判断なんてあったのかと、妙なところで関心していた。
「実くんなら、どんな名前にするの?」
いきなり早苗が聞いてきた。子供の名前なんて今迄考えたこともなかったから、すぐには思いつかない。
「うーん、竜だから、竜美?」
「…実くんは、もう少しネーミングセンスを身につけた方が良いわね。」
結局、語感が良いからと言う訳で子供の名前はリンドリウムからリンと名付けられ、ナーダ共々リンが成人して巣離れするまでは王城に滞在することが決定した。
「そういえば、お前あちらの親御さんに挨拶に行かなくても良いのか?」
「そうなんだけどね、早苗さんがリンのところに入り浸りで。」
「まぁ、早苗さんも一緒じゃないと、お話にならないからなぁ。」
「そういう事。でも、明日明後日には向こうに戻るから、来週には行くつもり。」
「ま、早めにやっといた方が良いからな。親が出なくちゃいけない時は遠慮せずに呼べよ。」
「わかったよ。」
実と早苗は、嗣治とアルテリアには交際の報告を行ったが、早苗の親に対しては、まだ報告に行けていない。勿論行くつもりではあるので、早苗と話し合って、早めに終わらせておきたいところだ。
「何事もなく終われば良いなぁ。」
そうつぶやいた実自身、何事もなく終わるわけがない事を確信していた。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
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さて、とりあえず本編はここまででちょっと休憩し、次から閑話が少し入ります。
ミハルさんメインのお話になる予定です。




