第40話 宿場町にて~その1~
このところ脳内プロットが仕事をしてくれないので、展開にお悩み中。
街道を、ゆっくりと馬を進ませる二人の旅人。片方は革鎧をつけ、腰に大小二刀を差した女性冒険者。もう片方も革鎧にショートソード二本を背にした男性冒険者。勿論早苗と実である。
二人は今回の旅に、かなり余裕を持たせていた。それは相手の罠を警戒してのことだったが、今のところは妨害はない。
「この分だと、明後日には聖王国に着きそうだね。向こうの上の方って、やっぱり気付いてないのかなぁ。」
「向こうに着いてから、言い訳できない状態で証拠を押さえようってのも考えられるわよ。」
「向こうから手を出してくるくらい堪え性がないのだから、それは無いと思うけど、確かに注意はしないとね。今日はもうちょっと行くと宿場町があるから、そこの宿に泊まろうか。」
「そうね、昨日は野宿だったし、今日はゆっくり睡眠とりたいわ。」
「よし、じゃあ少しスピード上げますか?」
実は馬に合図を送り、速度を上げる。早苗の馬も、実の馬に合わせてスピードを上げていく。その後は特になんの問題もなく、宿場町へと到着した。
「先ず宿をとって馬を預けよう。それからちょっと散策しようか。」
「そうね、それでいいわ。あ、勿論宿はお風呂付きよ。」
「当然だな。」
こうして宿を探し始めた二人だったが、ここで驚愕の事実に遭遇する。
「まさか、部屋が二つ空いてないなんて。」
「私は同室でも構わないわよ。」
「俺も…いやいや、やっぱりダメでしょう。しかもツインじゃなくてダブルだよ!?」
「実君は、雑魚寝は出来ないタイプ?」
「いや、問題無いけど…。」
「なら大丈夫だよ!」
ちょっと引き気味な実に対して、全力でこの宿を推してくる早苗である。
「じゃ、じゃあこの宿に決めるよ。」
「うん。」
こうして、ようやく宿を確保した二人は、街中へと散策に出かけるのだった。
「一応国家が違うと言う事もあるのか、聖王国産の物資はここでも少ないな。」
「もうかなり聖王国寄りなのよね。態々輸入してまで聖王国の物を使う必要が無いのかしら。」
「そうだとすると、この街に居る商人たちは、聖王国に輸出するために買い付けに来てる事になるね。」
「!そうだね。ありがとう、気付かなかったよ。ちょっと調べてみようか。」
実は早苗に礼を言うと、商業ギルドへと向かった。
商業ギルドは、商人達が円滑に活動するための相互組織だ。国から依頼されて商人から税を徴収したり、不動産や動産の仲介を行ったりしている。また、各相場情報を公開しており、各商人はそれを見て今後の商いの参考にしている。
「ちょっとすいません。食糧相場について勉強しているものなんですけど、相場情報はどこにあります?」
商業ギルドに到着した二人は、相場の勉強をしている学生という風体を装って受付に問い合わせた。
「はい、食糧相場ですね。あそこの三番テーブルのところにあるボードにこの町とその近辺、ここから近い聖王国の町のいくつかと、カナディ王国の町の相場が貼り出されていますので、そちらをご覧下さい。」
「ありがとう。」
二人は三番テーブルへ向かう。そこは数人の商人がメモを取っていた。
「僕らもメモを取ろう。覚えてられないし。」
「そうね、メモ帳は地球のだと目立たないかしら。」
「まぁ、ちょっとは目立つだろうけど、大丈夫なんじゃない?」
全くもって根拠のない楽観的な実に、本当に大丈夫か?と思いつつもメモ帳とボールペンを取り出し、メモを取っていく。聖王国の情報は実がメモを取り、カナディ王国の情報は早苗が取った。この町近辺の情報は二人で手分けしたが、いくつかを抜粋するに留めた。
「よし、それじゃ行こう…か?」
実が早苗の方を向くと、そこには三人の商人に囲まれた早苗がいた。
「すまないが、そのペンをもっと見せてくれないか。」
「それはベアル王国の技術の一つなのか?」
「こっちの紙もかなり上質だ。この技術を是非とも売ってほしい。」
ほぼ同じものを使っていても、男性に群がる趣味は無かったようだ。だが、この状況をほっとくわけにもいかない。実は商人達の間に割り込むと、彼らに言った。
「これらは、ベアル王国でも滅多に手に入らないものだ。我々は王から許可を得て、自分たちが使う分だけを持っているに過ぎない。どうしてもこれらについて知りたければ、ベアル王国王都に行ってみるんだな。」
実際、地球のボールペンやメモ帳の類は、向こうに留学した者以外は持っていない。王都に行っても無駄足だろうが、とりあえず今何とかなればそれで良かった。そして、王都へ行くかどうか話し合いを始めた商人達をよそに、メモした情報を整理するため、二人は商業ギルドから、街中の喫茶店へと足を向けるのだった。
投稿した日はアクセス数はそれなりにあるのに、2日後に0だったりするとやっぱり凹みますね。
ホント、参考にさせて頂きたいので、ご意見、ご感想、評価もお待ちしております。




