第39話 聖王国へ
今日のアクセス数が0だったので、書き溜め殆どないのに投下。
「では、担当神が交代したというのは本当なのだな?」
「それは確かかと。カナディ王国でもお披露目されたという話も聞いております。」
へスター聖王国南方、ベアル王国に程近いアルファンケル侯爵領の領主、ナーベステアル・アルファンケルは執務室で部下からの報告を聞いた。一昨年、病没した父の後を継いでアルファンケル侯爵となったナーベステアルであったが、二十六歳という年齢にも関わらず数々の領内改革を断行して成果をあげてきている。
「どうやら、また王都でいらん事した奴らがいるんだろうなぁ。」
「多分そうではないかと。先月もあちらでは何事かあったようですが、そちらも工作された結果のようです。あと、先日、カナディ王国でもやらかしているようですな。冒険者の暴走事件として処理されておりますが。」
「と言う事は、失敗だったのだな?」
「はい、先月は魔物どもを集めたは良いが、『魔女』とその息子に全滅させられ、カナディ王国では担当神様を奪いとろうとしたところでその息子に反撃され、捕縛されたようです。」
「息子!いたのか!」
「ええ、正式に王太子として立てられてはいませんが。ただ、『魔女』と共に向こうの世界に居る事が多いらしく、こちらでは殆ど見かける事がございませんでした。」
「それがここ最近は魔女と一緒にこちらに居ると。カナディ王国訪問でもいたのなら、後継者としての実績作りに入ったと見るべきだという訳だね?」
「そのように見るのが自然かと。」
「いらん手出しが、向こうの動きを活発にしてしまったかもしれない。我が領は確かに聖王国の一部だが、馬鹿共と同列に見られたくはないな。」
「では、どのように?」
「対話の窓口くらいにはなろう。あちらへの使い、人選は任せる。これから用意する書状をベアル国王に渡してもらえるか?」
「かしこまりました。しばしお待ち願います。」
ナーベステアルは浦の仕事を束ねる執事を下がらせ、書状の用意を始めるのだった。
「と言う訳で、聖王国も一枚岩ではないらしい。何かあった時の交渉窓口くらいにはなるそうだ。」
「アルファンケル侯爵ですか。なかなかのやり手とは聞いてます。」
「なかなかのやり手どころではない。聖王国の中でも、ここだけは敵にしたくないな。」
カナディ王国から無事に帰国してすぐに受け取った書状を、右手でひらひらさせながら嗣治が実達に言う。これまでの実績を考えると、アルファンケル侯爵領だけで、そこ以外の聖王国の国力を凌駕しかねない。完全に聖王国と敵対するなら、二カ国を相手にするようなものだからだ。
「こちらから戦争吹っ掛ける事はないが、それを馬鹿正直に言う必要もない。アルファンケル侯爵には、上手い事こちらと聖王国の緩衝材になってもらいたいものだな。」
「そうですねぇ。んじゃ、使いだします?」
「おう、書状は俺が書くから、お前と早苗さんで行ってこいや。街道もあるし、そんなに時間はかからないだろう。」
「えー、向こうの勉強が遅れそうなんだけど。」
「安心するのです。既に補習は頼んであるのです。後期中間試験も、いくつかは免除してくれるそうなのです。」
「うーん、なら仕方ないかぁ。早苗さん、ごめんね。」
「いいのよ。こっちの生活も楽しいしね。」
高瀬川高校は前後期の二期制だ。前期末試験は夏休み明けの九月に行われるが、こちらは二人とも受けることができている。だが、問題の後期中間試験は十一月から十二月だ。その間の授業の分は今のままでは殆ど受けることができないため、試験の順位が落ちるのは確定していた。だが、アルテリアの言うとおり補習や免除でカバーしてくれるのなら、落ちるにしても問題ない範囲になるだろう。
「はよう戻って来んと、子が孵っておるかもな。」
「そりゃ、早く終わらせなくちゃ。」
「そうね、実君の弟か妹、早く見たいものね。」
ナーダは、少なくともたまごが孵るまではこちらに居るそうだ。もうすぐとは言ってもあと十日以上はかかるそうだから、よほどの事がない限りは間に合うだろう。
「ミノルさん達、また旅に出れていいなぁ…。」
「いや、ミハルさんは国の窓口なんかになっちゃダメでしょう。」
「そうそう。」
ミハルがついて行きたそうにしているが、さすがに神様をパシリには使えない。そこははっきりと断り、実と早苗はカナディ王国行きに続いての旅支度にとりかかるのだった。
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ところで、バス通勤中に車内でノートPC立ち上げて艦○れやったり、書き溜めやったりしてるのって私だけですかね?




