第24話 魔法料理対決~その3~
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料理対決、まだまだ続きます。
「さて、他の選手を見てみましょう。伊倉選手の方は…剣で風の刃を飛ばして食材を切り刻んでますねぇ。皮むきは大丈夫だったのでしょうか。
あ、因みに、各選手のキッチン周りには結界が張られており、魔法を結界外へ及ぼさないようになっております。流石に魔法が暴走したりした時とか、大変危険ですからね。
次にウォート選手ですが、手堅く食材の準備は終わらせたようです。一応食材におかしなのはないようです。今のところは大丈夫でしょう。
そして意外や意外、謎のローブ男!手堅くカレーを作っております。火炎魔法を使わず、板に熱をコントロールする魔法を顕現させて細かい火力調節を行っております。これは優勝もありえるか!?
最後に、河内先輩。ここではコメントを控えさせて頂きます。」
司会が各選手の進行状況を告げる。早苗が遅れているが、すごい勢いで切り刻んだ食材を、ボウルに入れ、鍋で豚バラ肉を炒め始める。火力はもちろんアルテリアに借りた魔道具だ。あまり調節のきかない魔道具をなんとか使いこなし、ブロックからぶつ切りにした豚バラ肉を炒める。そして、ある程度火が通ったところで、野菜を投入した。
イェルミーナの方も、順調だ。こちらも火炎魔法で鍋を熱しつつ肉を炒める。だが、選んだ肉が熱の通りやすい豚小間肉で、それを大火力で炒めたものだから、鍋に肉がくっついてしまった。
「あぁっ!もう!」
そしてこびりついた肉の分とばかりに、更に肉を足すイェルミーナ。鍋の中はいつの間にか肉だらけだ。
「それ、野菜は入るのでしょうか?」
「はっ!しまった!」
気がつくと、野菜の入る余地がなくなってしまっていた。しかも、鍋の内側はこびりついた肉が焦げており、なんとも言えない香りを漂わせ始めている。
「このまま肉だけで行きます!」
ちょっとばかり涙目のイェルミーナだった。それに対して、別のキッチンでは。
「うむ、大丈夫そうだな。」
鍋にたっぷりと作られたカレーを前に、ローブ男が満足げにうなずいた。確かにおいしそうなカレーである。だが、司会の一言で、ローブ男を含むカレー組は動きを停止した。
「あのー、ライスは…?」
全員カレーにばかり意識がいっており、ご飯を炊くのを忘れていたのだ。だが、もう30分以上経過しており、今からご飯を炊いても間に合わない。ここでいきなりな方針転換を可能にしたのは遅れ気味だった早苗であった。
「おおっと!伊倉選手、醤油を手に取ったぞ!カレーをあきらめて肉じゃがにするつもりか!?」
そう、基本的に同じ材料である肉じゃがなら、ご飯は必須でないのだ。シチューもそうだが。まだ味付けを開始していない早苗にしかできない事であった。
「くっ!ライスがなくても何かあるはずだ!」
イェルミーナが食材をあさり始める。その間も鍋の肉のみカレーは煮詰まっていく。気がつくと、水分が半分以下になった、カレー味の肉の塊が鍋に転がっていた。
「私の方はこれで!」
浩子が取り出したのは、フランスパンだ。カレーをスープとみなせば、切ったフランスパンをカレーに浸して食べるという方法がとれるだろう。ほとんどの観客はそう思った。だが、浩子はここで斜め上の行動にでる。
「風よ!」
浩子が風魔法を顕現させると、フランスパンを細かく削り始めた。そしてそれを皿に盛っていく。
「パンをご飯みたいに小さくすればって、ああっ!」
風魔法の勢いが良すぎて、盛ったパンが吹き飛ばされてしまう。浩子の顔が(´・ω・`)となってしまうが、アルテリアと男子学生は少しほっとしていた。
「むぅ、これは失策であったな。」
ローブ男も、食材の山から何か使えそうなものを探していた。勿論、熱魔法で火力は保温程度にまで下げている。そして、そこからあるものを見つけると、準備を始めるのだった。
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