第23話 魔法料理対決~その2~
前書き、後書きで漢字入力モードに切り替わらなくなったのは私の環境だけなんでしょうかねぇ?
とりあえずテキストエディタで入力のコピペです。
今回は、作者も忘れてた設定が出てきたり、新たなXXXXが発見されたりする回です。
「制限時間は一時間、それでは料理開始っ!」
各自が割り当てられた場所へ散っていく。そんな中、早苗がピタリと止まった。その顔は何か大事なものを思い出してしまったかのようだ。
「おや?伊倉選手、動きませんがどうしたのでしょう?」
「あ、あのー…。」
「はい、どうされました?」
「いや、私魔法使えないのすっかり忘れてたんですけど。」
「あっ!」
アルテリアが「しまった」と言わんばかりの顔をする。そういえば、向こうで冒険者として特訓してたときも魔法は使ってなかったではないか。早苗の方は、ものすごく申し訳なさそうな顔で恐縮している。
「これは困りましたねぇ…。」
「この場合、やっぱり失格なのでしょうか?」
「こんな勝負そのものが初めてなので何とも…。一応審査委員にも聞いてみましょう。強制参加させたアルテリア先生、どうしましょう?」
「うぇ!?そ、そう、魔道具を使えばよいのです!早苗は刀で魔力の刃を飛ばせますから、風魔法と同じように切ることができますし、私の持ってる魔道具に火を出せるものがあったので、それを使えば魔法を使ったのと同等と言えるのです!なので、それで参加OKとするのです!」
魔道具。それは、魔法を顕現させる事ができる道具の総称である。普通は魔力の少ない人でも、魔法を顕現させることを目的とするが、ものによっては多量の魔力を注ぎ込むことで地形が変わる程の魔法を顕現させる場合がある。
「審査委員より、魔道具使用許可が出ました!これだと、ちょっと魔力のある人なら普通の料理と変わらない気もしますが、審査委員が良しと言えば良いのでしょう。では、伊倉選手、魔道具を受け取って料理を開始して下さい!」
アルテリアから魔道具を受け取り、割り当て場所へ向かう早苗。既にほかの選手は料理を開始しているが、ハンデだとは思っていなかった。
「うーん、材料はある。調味料もある。さて、何を作りましょうか…。」
自分のキッチンへ向かったは良いが、肝心の料理を何にするか決めていなかったのはイェルミーナである。彼女は早苗の家に寄宿していたが、早苗の家は剣術道場を経営している関係で大人数の食事を作る為に人を雇い入れていた。そのために、自分たちで料理をすることが殆どなかったのだ。異世界でも料理はあまりやってこなかった上に、こちらの食材は似ているとは言ってもやはり違うものがたくさんある。
「兎に角、先日食べた『カレーライス』とやらに挑戦してみましょう。」
一応、食べた事のある料理を記憶から掘り出すと、その再現のために材料を選別し始めるのだった。
「コーイチローはあっさり系を好んでいた。ならばここの材料ではこれが一番。」
何故かターゲットが審査委員ではなく別の人になっているのは、ユーリーである。彼女は自分の持っている知識から、あっさりめの料理を探し出し、それを再現しようとしていた。そして選んだ食材には、なぜか豚肉と牛肉がかなりの量存在していた。
「うーん、ここは無難にカレー、いやいや、勝負なんだからもうちょっと捻らないと。」
という、危険な発言は浩子である。アルテリアが聞いたら正座説教コースものの発言だが、小声だった為に届かなかった。そして食材の山から、
「ふむ、やはりヒロコ殿は料理が壊滅的と言う噂は本当であったか。なら、私は無難な料理にするとしよう。」
ローブ男も手堅くジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、豚コマ肉を選び、水魔法で水流を作って野菜の洗浄と皮むきを開始し始めた。その手際はとても最近こちらに来たとは思えないほどで、男子学生の部屋に転移してからの苦労が伺えた。
「どうやら、何人かは定番のカレーのようです。明らかに違うのは、サウラス選手だけのようですが、彼女は何を作ろうとしているのでしょうか。」
司会がユーリーの作る料理に疑問符を浮かべる。彼女はキャベツをざく切りに、肉を薄く切ってから、さっと火炎魔法で炙っただけで皿に盛り付け始めたのだ。
「えーっと、サウラス選手?」
「これは冷しゃぶ。あとは冷やすだけ。」
それは絶対違う。と、司会も観客も全員が心の中で突っ込みを入れた。だが、ユーリーはそんな雰囲気に気付かないのか、淡々と盛り付けを行っていく。そして、冷却魔法で冷やしたら、彼女の言う冷しゃぶが完成した。
「ドレッシングは?」
「必要?」
「多分、そうだと思いますが。」
「なら、これをかける。」
最後に、サラダ用の青紫蘇ドレッシングをどばっとかけるユーリー。それを不安そうに見つめる、アルテリアと男子学生。対照的に、満足げなのはユーリーである。
「他の選手が出来上がるまで、サウラス選手には自分の席でお待ちいただきましょう。では、こちらにどうぞ。」
司会に促されるまま最初にいた席にユーリーは戻っていき、料理は完成となったのである。
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