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第21話 対決

すいません、遅くなりました。

今回はかなり難産で、後で書きなおしが入るかもしれません。


サブタイトル修正。話数を入れ忘れてましたので、追加しました。

「そこの女子学生殿、すまぬがアルテリア様へこれをお渡し頂けないであろうか。」


 高瀬川高校の正門前、高校生達が下校する中、明らかに異世界の者と思われる黒ローブ姿の男が、近くを通りかかった女子学生に声をかける。


「は、はぁ。」


 女子学生は一瞬驚いたものの、ローブ男の差し出す封書を受け取ると、どこか納得したような感じで校内へ戻って行く。一緒に連れてこられた男子学生は理由が解らないのが不快らしく、イラつきながらローブ男へ詰め寄った。


「おい、どういうつもりだ。」

「目的の人物が予想通りなら、今呼んだ方と一緒に現れよう。しばし待たれよ。」

「は!?」

「そうなのです。あと一人居るって話だったので探さなくてはいけなかったのですが、出てきてくれて良かったのです。」

「はい、此度は大変申し訳ありませんでした。」


 そこには、ラフなシャツにロングスカートのアルテリアと、何故か高校の制服を着た浩子が立っていた。そしてアルテリアの手には、先程ローブ男が女子学生に渡した封書が握られている。


「ここに至るまでの経緯は、この封書でわかったのです。それで、ヒロコと戦うのはどちらなのです?」

「一応私が。魔法の一つも使えない人間と戦っても弱いものいじめになってしまうでしょうし。」

「そーねぇ、何で恨まれてるのかわかんないけど、すっごい睨んでる割には強い人間ではなさそうだから、確かに弱いものいじめになっちゃうかな。」

「なんだと!」

「だったら自分でかかっておいでよ。学力でも、武力でも、魔力でも、どれでも勝負を受けるよ。」

「くっ!」


 人の心を容赦なく抉る浩子。実際男子学生と浩子では、先程あげたどれでも勝負にならない程差が開いてしまっている。そんな状態で勝負をしても浩子としてはなんらメリットがないのだった。


「それで、勝負の方法は?」

「普通に戦うと周囲に迷惑がかかりましょう。ここはひとつ、平和的に魔法を使った料理対決と言うのは、如何でございましょうか。」

「っ!」


 一見完璧超人な浩子にも、苦手なものは当然ある。それが料理だ。手順通りに作らせても、いつの間にやら黒焦げの塊ができていたり、物凄い味としか言いようのない飲み物が出来たりする(因みに、作らせたのはミルクコーヒーだった)。しかも今回浩子の方から何でも受けると言ってしまった以上、断る事ができない。


「依存は無いようですな。では、場所と時間を決めましょうか。」

「それよりも、勝負の方法なのです。」

「それは勿論、アルテリア様に審査員をして頂き、見た目も味も良かった方を勝者とするのが宜しいかと。」

「私だけはイヤなのです!そちらの男子学生も一緒に審査するのです!」

「う、え、はい…。」


 有無を言わさぬ迫力のアルテリアに、審査員を引き受けてしまう男子学生。それをちらっとみたローブ男はご愁傷様と言わんばかりの表情だったが、男子学生が気付くことはなかった。


「あら、なかなか面白そうね。」

「そうでありますな。」


 気が付くと、校長と間の神が現れていた。その顔は良い暇潰しができたとばかりに輝いている。絶対ロクな事は考えてないのです、とアルテリアは思ったし、まさしくその通りであった。


「後数時間で晩御飯に良い時間だから、その時間に合わせて会場を準備しちゃいましょう。食材の用意もしないとね。神様、力仕事はどうしましょう。」

「実殿が居ないのが痛いが、何人か体力強化持ちが居るので、彼らに頼んでは如何かな?」

「あ、あの…。」

「何ですか?もう大学生なのに、高校時の制服を引っ張り出してくるなんて。それにここは、本来あなたのストレスを発散するところじゃありませんよ。反省したなら、勝負の準備でもしてなさい。」

「…はい。」


 さすがに校長は格が違うようだ。浩子も反論できずにあうあうしている。


「それでは、時間はこれから二時間後、場所は第二体育館。あぁ、あなた達以外にも候補者が出れば勝負に参加させるわよ。」


 校長は、そう宣言すると、置いてけぼりな当事者達をそのままに、第二体育館へ準備をしに向かって行った。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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