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第18話 戦闘

なんかどんだけ悩んでも戦闘シーンが上手く書けません。これ以上悩むと次回以降の書き溜めに支障をきたしますので、投稿します。

結果は変わりませんが、もしかすると書き直しするかもです。

あと、今回はいつもより少し短いです。

「くそっ、こうなったら…。」


 襲撃者の一人がそう言うと、他の二人も武器を構え直す。あくまでも抵抗し、目撃者すら残さないつもりのようだ。


 実も氷の双剣を構える。この双剣は、わざと刃を入れず、耐久性だけを上げてある。まるで棒のような双剣を見た先程声をあげた襲撃者が、顔を歪める。完全に舐められていると思ったのだ。

 実は、ユーリーに他の二人のフォローを頼むと、自らは早苗、ディバインと共に襲撃者達と対峙する。その目は厳しく、一人も逃さないという決意にあふれていた。


「混ざり者なんかに、負けるものか!」


 混ざり者。魔族では、他の種族との混血をそう言って侮蔑する傾向にある。特に魔族至上主義者が使う事が多く、一部では問題となっていた。勿論、普人である嗣治が王位を継いでからは、そのような偏見も減ってきている。それを正式に立てられていないとはいえ、自国の王子に使うというその神経に、留学生組が怒る。実はというと、一見平然としているように見えるが、気分を害しているのは間違いなかった。


「二重結界。物理、魔法どちらでもダメージを与えられないし、解除しない限り出る事もできない。」


 一瞬で結界術式を展開し、顕現させる。本当は空間魔法の応用で、指定する空間を別次元化することで結界を張ったのと同じ効果を持たせているのだが、そこまで説明するつもりは実にはない。


「どうせ皆殺しだ。問題ではないさ。」


 先程の襲撃者であるエリスが言う。彼女の手には、投げナイフが十本握られているが、この本数はあまり意味がなかった。何故なら、先程からどれだけ投げナイフを投げても、手に握られているナイフの数は十本のままだったからだ。


「俺があのナイフ使いを倒すから、他の二人は任せる。」

「了解。あの女、ナイフだけじゃないと思うから気を付けてね。」


 実の言葉に早苗が返す。実も雰囲気と魔力の流れから、ナイフだけではない事は分かっていたが、早苗は剣士としての感覚から判断したようだ。

 実は軽く頷いて双剣に更に魔力を込める。また、それとは別に術式を複数展開しておく。


「最後通牒だ、降参しろ。」

「はん!勝つのに降参なんてするわけないだろ!」


 エリスはそう返すと、ナイフを実だけでなく、早苗、ディバインにも投げつける。


「それは無駄だよ。」


 三人がそれぞれ軽く剣を振り、ナイフを叩き落とす。その隙に突っ込むつもりだったエリス以外の二人は、思ったほど隙が無く動けなかった事に歯噛みした。


「あたしのナイフは、そんなに簡単に攻略できるもんじゃないよ!」


 エリスが落ちたナイフに向かって小さくキーワードを唱える。そう言えばキーワードで特殊効果を発揮する道具があったな、と実が気づいた時にはナイフがひとりでに宙を舞っていた。


「踊れ!」


 エリスが再度声を発すると、宙に浮いたナイフが意思を持ったかのように実達へ襲い掛かる。更にエリスは五本のナイフを取り出すと、同じようにキーワードを唱え、実達へ投げつけた。それを実は風の魔法で受け流す。早苗もナイフを受け流すと、そのまま木刀の腹でナイフを打ち飛ばした。ディバインも木刀を振っているが、何故かナイフを木刀に突き刺さらせている。


「ミノル、木刀の予備はないか?」

「あるけど、ちょっと待ってて。」


 実は、ナイフの突き刺さった木刀に魔力を注入し、新たな術式を展開する。木刀から揺らりと魔力が立ち上ったところで顕現させると、木刀の刀身部分が黒い闇で覆われたようになり、刺さっていたナイフが吸い込まれていった。


「よし、これで吸い込んでみるといいよ。魔力は十分つぎ込んであるから、暫くは気にしなくても使えると思うよ。」


 そう言って闇の木刀をディバインに渡す。早苗にも同じように作った闇の木刀を渡して飛んでくるナイフを吸い込ませた。


「さて、これでナイフは役立たずになったんだけど。」

「吸い込むだけの木刀じゃ人は斬れないんじゃないのかい。」


 実と同じように術式を顕現させて作った剣を手に、ディバインと早苗に襲い掛かるエリス以外の二人。しかし、実は慌てずに指示を出す。


「見た目は変わらないけど、念じれば刀身は硬くなるから。普通に剣としても使えるよ。」

「「了解!」」


 早苗とディバインが闇の木刀で敵の剣を受ける。「キィン」と金属同士のような音を立てて闇の木刀は敵の剣を切り飛ばした。


「ありゃ、込めた魔力が多すぎたか?」

「よそ見してんじゃないよっ」


 のん気に眺めていた実へ、エリスが術式を顕現させる。どうやら火、風、水、土のどれでもなさそうだ。


「わからないときは、こうかな。」


 実は既に展開だけはさせていた術式を顕現させると、頭上十メートルくらいの空中に、まるでエアコンのようなスリットがたくさん入った箱が現れた。


「空気清浄開始!」


 実の言葉で、唸りだす箱。かなり強力に周囲の空気を吸い込みだしたと思ったら、同じくらいの勢いで上空へ吸い込んだ空気を吐き出し始めた。吸い込む力は強力で、早苗達女子学生のスカートがあられもない事になってしまう程だ。勿論彼女達はスパッツ等見えても良いものを穿いていたので、男子学生にとっては残念な事ではあったが。


「なんだ、それは!」

「風魔法を応用した空気清浄魔法だね。ま、これで空気中に毒とか撒かれても、空気清浄してくれるって事だ。」


 エリスの魔法は毒ではなかったから空気清浄そのものには問題なかったのだが、吸引力が高すぎるため、風が強い。そのため、顕現させた目に見えない程細い鋼線を実に放とうにも、清浄器に吸い込まれてしまいそうで放てないのだ。


「結局は剣なのか…。」


 エリスは腰の短剣を抜くと、実へじりじりと間合いを詰めていく。その間にも仲間二人は闇の木刀により捕縛されてしまったようだ。あの木刀は人間を首まで吸い込み、そこで止めるという器用なマネができるようで、まるで木刀に生首が乗ったかのような気持ち悪い状態になっている。早苗とディバインはそれにより得物が使えなくなったので、実のサポートにも回れず、ユーリーと共に後衛のところへ木刀を持って戻っていった。

 それを確認した実は、氷の双剣をだらんとぶら下げたままエリスへ歩み寄る。エリスの短剣より氷の双剣の方が長いので間合いも実の方が長く見えるが、エリスの短剣は魔力を込めることで刀身を伸ばすことができる。そのため、あと数歩でエリスの間合いに入ってくるはずだった。


「!」


 もう少しで間合いに入るというところで、実の姿が揺らめきだした。既に実の術中にはまっているとエリスが気づいたときには、スタンガン代わりの雷属性剣を背中に受けて視界が暗転していくのだった。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

ご意見、ご感想、評価もお待ちしております。


次回からはちょっと不定期になります。ただ、長くても週1ペースは守るつもりです。

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