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第17話 襲撃

遅れてすいません、投稿忘れてました。

と思ったら、逆に1日早かったですね。今更なので、投稿し直しはしないでおきます。

「アルテリア様の御身を確保したいが、あの家おかしくないか?」

「どうやらかなり強力な結界が張られているようで、我等は近づくこともできん。あと、向こうからの留学生が来ておる。家での実行はかなり難しいぞ。」


 アルテリア誘拐チームのリーダー、ダルクは仲間の魔術師に愚痴をこぼした。


「登下校時なんだろうが、こちらも大体複数人数だ。」

「だが、このままだと無為に日を費やすだけだ。登下校時、一番人数の少ないところでやるしかないだろうな。」

「近くだと、探査魔法で動きを察知される恐れがある。遠距離で仕掛けて、素早く寄っていくのが宜しいかと。」

「では、詳細を詰めるとしようか。」


 男たちは、作戦の成功率をコンマ単位でも上げるため、詳細を詰めていくのだった。




「今日からしばらく、先生は私と登下校を一緒にしてもらいます。」


 突然の浩子の言葉に、特訓中のメンバー全員が「?」という感じで止まる。


「いや、そろそろ襲撃されてもおかしくないんじゃないかしら。」


 続けて言う浩子の言葉に、全員がはっと気付く。そう言えば何かこっちに来てるやつらがいるんだった、すっかり忘れてたという感じに。因みに浩子がその事を知っているのは、ユーリーから聞いていた為である。


「二人だと、襲撃されるというのです?」

「今迄のように多人数よりは、確率あがるんじゃないかと思いますよ、先生。」


 向こうの冒険者ギルドで「二つ名」を持つ二人相手に普通は襲撃なんかかけてくるとは思えないが、向こうもそれだけ必死だろうし、ましてや浩子が向こうに居たのは三年前だ。顔はほとんど知られていないと思ってよい。


「それじゃ、河内先輩宜しくお願いします。」

「実君、私達の行動から、自分がやるべきことはわかるかしら?」

「勿論ですよ。魔力検知によるパッシブソナーですね。」


 魔力感知で敵の状況を把握できる事を返す実。


「やっぱりできるのね。他の子達は他人の魔力や術式を感知できるかしら?」

「うーん、どうだろう?」


 実以外は、留学生組も含めて全員首を横に振る。


「じゃあ、別働隊は実君が率いてね。」

「了解です。見つけ次第潰していけば良いんですよね?」

「そうね。でも、術式展開とかやっちゃダメよ。向こうにも魔力感知持ちが居るかもしれないし。」

「そうですね。」


 自動的に別働隊のリーダーは実に決定した。敵が間の神の能力を使わずにこちらの世界に来ている以上、魔術師としてはかなり上位の存在になると思われる。しかし、その分術式展開の際に放出される魔力も半端なくなるために、実が魔力感知で感知できて一丸となって迎撃すればかなり優位に戦いを進められるのだ。


「では、早速やってみるのです。」


 アルテリアの言葉で、作戦は開始されたのだった。



 下校を二人で行うようになった事に気付いたのは、「遠隔視」でアルテリアを監視をしていた誘拐チームのメンバーであった。彼はいつもとは違う下校風景に不安を覚えつつも、リーダーのダルクへ報告する。因みに「遠隔視」は、魔力消費こそ多くはないものの、「指定した対象を見るだけ」の魔法であり、しかも結界により防ぐことも簡単なために使い勝手が良いとは言えない。それでも、今回の作戦では欠かすことのできない魔法なのであった。


「これは罠か?」

「その可能性は高いが、魔女とは言え一般人一人と一緒、しかも街中だと全力は出せる訳がない。そこにかけるしかないな。」


 いつもは留学生や、生徒達と一緒に帰っていたため、そちらへも戦力を裂く必要があったのだが、一般人相手だと、こちらの予備一人を回すだけですむ。


「罠でも行くしかないか。よし、決行だ。」


 ダルクが決行を宣言すると、メンバーが所定の配置につく。メンバーは全部で十一人、本来は十二人いたのだが、一人は転移の際にはぐれてしまい、連絡がとれなくなってしまっている。


「おい、エリス、できれば同行の一般人は殺すなよ。」


 襲撃担当の一人、エリスへダルクが注意する。この世界では殺人は立派な重犯罪だ。しかもどうやら自分達のことが相手方に知られている可能性が高い。エリスは普段は淡々と仕事をするが、殺しに全く躊躇が無いうえ、たまに無用な殺しをしてしまうため、わざわざ注意しなければならないのだった。


「わかっているよ。」


 エリスの返事は、予想通り注意を守る気がないと言っているも同然のものだった。ダルクは溜息をついて、別の部下にエリスがやりすぎないよう監視する事を指示を出すのだった。




「ふむ、遠隔視の魔法はこっから二キロ先だな。」

「ちょっと距離あるわね。」

「どうせアルテリア様のところに来るんだから、その中間に移動して再度探ったら?」

「そうだな、よし、移動しよう。場所はこの辺で。魔法は使わないで軽く駆け足で行こうか。」


 魔法が使えないことにちょっとだけ皆が不服そうな顔をするが、魔力感知持ちが敵に居る可能性を指摘されていたのを思い出す。


「そゆこと。じゃ、行こうか。」


 実達はいつも登下校に使っている南向きの正門ではなく、西門から出ると、少し迂回しながら、先程指定したポイントへ移動する。その間も、魔力感知で敵の状態を確認するのを忘れない。


「うん?五人程こちらへ向かってくる。」


 何度目かのチェックで、敵のグループのうち、五人がこちらの方へ向かっているのを感知する。勿論こちらへ向かってくると言っても、実達がターゲットではなく、敵のルート上に実達が入ってきただけなのだが。

 因みに現在は、実が「魔力感知遮断」及び「気配感知遮断」の術式を展開しているために、相手に知られる可能性はかなり低い。この術式は学校を出る前に展開したのだが、本来はどちらかを展開するだけでも上位魔術師の能力が必要となる。それを二つとも展開し、維持できるようになったのは、ここ最近の特訓の成果だ。


「よし、ここで叩こう。あと三分程で接敵するから、浩一郎は全員にバフを、ディバインは接敵したところで外と遮断するための結界を張る準備をしておいてくれ。」

「おう!」

「了解!」

「あ、そうそう、イェルミーナさんは、これから指示するところへ攻撃魔法を打ち込む準備をお願いします。監視者も逃したくないからね。」

「は、はい。」

「トマス君はこちら三人の護衛を。あとは俺も含めて四人で迎撃する。」


 全員がそれぞれ準備を行う。魔法を使う事になるが、この状態で敵が感知しても作戦を撤回する事はないだろう。そして、準備が整った頃に「敵」が現れた。

 敵のうち二人が無言で術式を展開し始める。そこへ、早苗、サフィアス、ユーリーが木刀を手に駆け出す。得物が木刀なのは敵を殺さず捕える為であるが、敵にはふざけていると思われたようで怒気が膨れ上がるのがわかる。実はイェルミーナに指示をして監視者へ攻撃を行わせた後、ディバインへ合図を出す。


「大人しく、捕まってくれませんかねぇ。」


 サフィアスが敢えて呑気に話しかけながらも鋭い突きを放つ。早苗は、もう一人の足元から掬い上げるように木刀を振り上げる。ユーリーは素早く術式を展開中の二人へ駆け寄ると、鳩尾へ一撃を加えて無力化する。


「くっ!」


 あっと言う間に二人が無力化され、尚且つ彼らを救えに行けなかった敵も、武器を構え直す。サフィアスに対峙する方は小剣、早苗の相手である女性は投げナイフをメインとしているようだ。ユーリーに対する男はその二人よりは腕が落ちるらしく、既にユーリーの前に及び腰になっている。サフィアスと早苗は木刀をぶらりと下げたまま、ふわりと再度敵との間合いを詰める。


「ちっ!意外と腕利きが居るみたいだねぇ。」

「そりゃどうも。」


 敵の小剣での攻撃を木刀で受け流し、左脇腹へ流れるように振る。ぎりぎりのところで一撃を避けた相手が今度は突きを放ってくるが、それも避けて今度は上から振り下ろす。サフィアスの剣の腕も、以前に比べるとだいぶ上達している。

 早苗の方は、投げナイフを最小の動きで弾き飛ばしながら、それ以外の攻撃にも備えて木刀を正眼に構える。


「あと六人なのかな?一人は遠隔視使いで、さっきの遠距離攻撃で無力化したから、実質五人かな?」

「何故分かる!?」

「魔力感知で分かるさ。それにしても、この人数で『魔女』と『災害』を相手取ろうなんて、そんなに自信あるのかな?」

「さ、『災害』だと!?」

「山賊退治で山一つふっ飛ばしたヒロコさんと言った方が良いかな?母ちゃんと今一緒にいるのは そんな人だよ。」


 アルテリア達がいる辺りで、爆発音がする。実は、呆然と立ち尽くす襲撃犯に向けて、敢えて笑顔で通告した。


「これでも一応魔女の息子だからね。君達には、正直に喋ってもらうよ。」


 襲撃者達は、実の言葉に衝撃を受けたようだった。



ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

ご意見、ご感想お待ちしております。

次回はちゃんと予約投稿しとこう…。

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