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詰んだプロローグ
口の悪い執事とお嬢様の一攫千金ストーリーになる予定です。
誤字脱字・感想等いただけましたら幸いです。
どこまでも続く大海原。
天気は快晴、風も良好。潮風が頬を撫でる。
日はまだ高く、昼前といったところだ。チャポンッと傍で魚が跳ねた音がした。
船出するには相応しい日だ。
隣ではドレスを着こんで日傘を差したお嬢様が、遠い地平線を眺めている。空と海の境界には何も無く、果てしない海の航路が続いていることが分かる。そして俺は、お嬢様の執事だ。何があってもお傍に仕えることこそ勤め。
そう、何があっても。
お嬢様の可憐な唇が、笑みさえ浮かべて自信に満ちた声を発する。
「さぁ、一攫千金狙うわよ!」
「……こんなボロ舟で? 一攫千金の意味分かってますか?」
俺たちは今、二人で乗るのがやっとの小さな小船に乗っている。オールは何故か一本しかない。
これで一攫千金を狙おうなんて、どんな神経してれば言えるのだろうか。
寝言は寝て言え。