No.9:初日
慶野『ありがとうございました!!』
『『ありがとうございました!!』』
酒井(初日だったけど…すごい中身の濃い1日だったな…。)
慶野『こっから8時まで自主練の時間だ!それぞれ個人で課題をこなせ!!』
『『はいっ!!』』
酒井『人数がそんなに多くないから、1年も練習に積極的に参加できていいね。名門私学とかだとまずは雑用からとかってのも聞くしね。』
村田『確かにな。てか逸也、今日はお前打ってないじゃん?どうする?』
酒井『直政も打ってないでしょ?2人でトスバッティングでもしようか。』
村田『そうだな。よし、ボール持ってこようぜ。』
大場『拓磨。立ち投げ付き合ってくれ。』
西口『いいですよ。座らなくていいんですか?』
大場『座らなくていい。今日は立ち投げって決めてるから。』
村田(大場がブルペンに…。)
大場『肩はもう温まってるからな。』
西口『はい!』
大場がワインドアップモーションから、ゆっくりと腕を振りきる。
ズバーンッ!!!
西口『ナイボール!!』
酒井(軽く投げてこの球質…。さすが大場先輩…。)
村田(フン…。)
西口『日曜の長久手商業戦、先発ですからね。』
大場『知ってる。試したいボールもあるしちょうどいい。』
西口『試したいボール?』
大場『まあ、そんな大した球じゃねえよ。』
ズバァァーーーッン!!
西口『ほぉー。ツーシームですか?』
大場『さすが、球種名言わなくても回転と変化で分かるか。』
西口『まあ、キャッチャー歴は長いんで。』
大場『夏は長い戦いになる。これで少しでもスタミナ温存できればいいかなってさ。』
西口『去年の甲子園準決勝の北頼戦での青馬みたいなピッチングが理想ですか?』
大場『そうだね。三振を取るピッチングと打たせて取るピッチングのギアチェンジ、それはやっぱ高校野球で上を目指す中での1つの大きなテーマかな。』
西口『ホントに今日座らなくていいんですか?』
大場『だからいいって。』
西口『最近走り込み多くてあんまブルペンでも数投げれてないですけど。』
大場『明日はしっかり投げ込もうと思うよ。今日の遠投と立ち投げは明日以降の布石。』
西口『そうですか。』
大場『ま、ツーシームは出来る限り仕上げて夏は戦いたいね。』
西口『フォークとカーブ。これにツーシームみたいな直球系統のボールが加われば大分ピッチングにも幅は広がりますからね。』
ズバァァーーーッン!!
大場『どう?右肩開いてない?』
西口『大丈夫です。いい感じに開かず我慢できてると思います。でも右肩を意識しすぎてちょっと踏み込む足が内に入っちゃってる気がします。ほんの少しですけど。』
大場『おっけ。もう1球いくぜ。』
***
カキーン!
カキーン!
カキーン!
村田『明日の練習は打てると良いな!』
酒井『そうだね。シニア引退した後も毎日素振りは欠かさなかったし、打席に立てばアピールできる準備は出来てる。直政はブルペンでしっかりアピール出来たもんね。』
村田『余裕かな。逸也もあのクソ関西人に負けないくらいのスイングはしてるんだけどな!』
林『なんか言うたか?アホヅラ。』
村田『噂をすれば!このクソ関西人!』
酒井『まあまあ、会うたびに喧嘩するのやめなよ。』
村田『コイツが最初に喧嘩売ってきた!』
林『やかましいで。お前が最初やろがボケ。』
村田『何をー!?』
林『俺とやる気なんかー?』
酒井(はは…。この2人…波長合わなすぎ…。)
島谷『なんで喧嘩してんの?このふたり。』
酒井『喧嘩するほど仲が良いんですよ。』
林『コイツはホンマ嫌いや!』
村田『その言葉そっくりそのまま返してやるよ!』
島谷『…。』
こんな感じで、激動の1日は終わった。
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上級生紹介のコーナー
島谷 涼太
右投げ右打ち:二塁手:2年生
昨夏の遊撃手兼三塁手の倫暁の弟。兄譲りの守備力が自慢だが打力、走力に乏しい。1年夏甲子園は全試合ベンチで試合を終えた。練習熱心で優しい性格。身長は161cm。