No.75:再開直後のピンチ
佳奈『あ…。』
『雨が………!止んだ………!』
《雨足も大分弱くなってきました。審判団が外に出てきました。》
慶野『おし。お前ら。ゲーム再開するぞ。』
大場『おっしゃ。』
西口『長かったですね。』
佐藤『試合再開だって。』
江本『俺の打順からだぜ。』
小野『とりあえず出て。塁に出ないと話にならない。』
江本『わかってるよ。』
『大変長らくお待たせ致しました。間も無く、第二試合、邦南高校 対 名関高校の試合を再開致します。』
《ゲームが再開します。両軍外に出ます。新しい砂を入れている間に、守備に就く邦南高校はキャッチボールを、打撃の名関高校はそれぞれバットを振っている、といった状況です。》
慶野『よし!!この回ゼロにしていこーぜ!!』
『『おっしゃぁぁぁぁぁっ!!』』
『改めまして、バッターは、1番、サード、江本くん。』
《6回の裏、ワンナウトランナー無しからの試合再開です!!打席には1番、今日何度も好守を見せている江本健太郎!!》
西口(再開後の先頭だからな。丁寧に抑えていきたい。)
《ゲーム再開後の初球!!村田がノーワインドアップモーションから、》
《投げる!!!》
ズバァァーーンッ!!!
『ボール!!』
【141km/h】
《初球はひとつ外に外れてボール。》
西口(次カーブで。ストライク欲しい。)
ビュッッ!!!
カクッッッ
ズバンッ!!!
西口(抜けたか。)
『ボール!!ツー!!』
《今度は高めに変化球が抜けて2ボール!!打席の江本、落ち着いてボールを見極めていきます。》
江本(フォアボールでもいい。とにかく塁に………)
《さあ3球目!!》
ビュッッ!!!
西口『逆球!!』
江本(内角高めやや真ん中より!!打てる!!)
カキィィーーーンッッ!!!
《ストレートを怯まず弾き返した!!》
江本『よっしゃ!!』
《レフト前ヒット!!ノーツーから甘めのストレートにしっかり反応しました江本!!村田はキャッチャーの構えとは少し逆に入ってしまったか!!》
西口(水谷にヒット打たれて以来、今日2球目の失投だな。んで、次はコイツか…。面倒だ…。)
『2番、センター、小野くん。』
村田(くっそ。テメーかよ。)
小野(ここでの俺の役目は、チャンスを広げてクリーンナップへ回すこと。最低でもツーアウト二塁に。)
江本(村田は牽制上手くない。ここは俺もしっかり揺さぶらせてもらう。)
《今日小野はフォアボールとデッドボール。2打席ともに粘った末に出塁しています。》
西口(1打席目は10球粘ってフォアボール、2打席目は9球粘ってデッドボール。塁上でも村田の気を逸らすように揺さぶってきた。)
(正直かなり鬱陶しい………。嫌なバッターだ…。)
村田(ランナーのリードデカイんだけど…。)
西口(こっち集中しろ。出来る限り俺がカバーする。小野を出さないことだけを考えろ。)
《さあ初球、セットポジション。》
江本(行ける!!)
西口(初球から!?)
《ランナースタートを切った!!!》
西口『くそっ!!』
《二塁は悠々セーフ!!江本、盗塁成功です。完全にモーションを盗みました。》
西口(あそこまで盗まれたら防ぎようがない。)
小宮(久々のランナーなのによく走ってきたね…。)
《カウントはワンボールです。》
西口(とりあえず小野相手にカウント不利はまずい。甘くなってもいいから早く追い込むぞ。コイツはバッティング自体はそんなに良くない。)
(まて、セーフティもある。)
西口『サードはセーフティ警戒な!!ピッチャーとの連係しっかりしろよ!』
小野(欲張らなくていい。この回はまず1点入ればいい。)
ビュッッ!!!!
小野(ランナーを進めて、あわよくば俺もセーフに!!)
《セーフティバントを仕掛けてきた!!》
西口(やっぱか!!)
コンッ!!
西口『ピッチャー!!』
小野(少しコースが甘い!?)
西口『ボールファースト!!』
村田(行けっだろコレ!!)
西口『バカ!3つは間に合わん!!』
《ピッチャー村田は三塁へスロー!!!》
ズザザザザザザ!!
『セーフ!!セーフ!!!』
江本『よしっ!』
小野『ん?何が起きた?』
《これは邦南高校にミスが出た!!ピッチャー村田のフィルダースチョイス!!捕ってすぐ三塁へ送球しましたが江本の足が速かった!!キャッチャーの西口は一塁ベースを指していただけに少し勿体無いミスか!!》
小野(本来ならサードに捕らせたかったけど、結果オーライってやつね。)
西口(俺の声が伝わりきらなかったのか?)
《小野のセーフティバントが村田の野手選択を誘いオールセーフでワンナウトランナー、一三塁!!!一打同点のチャンスは名関高校!!》
『3番、ショート、水谷くん。』
西口『タイムお願いします。』
『タイム!!』
《邦南高校、すかさず伝令を送ります。背番号11、2年生の島谷くんが監督の指示を伝えに行きます。》
村田『ちぇーっ。』
西口『俺の声が聞こえなかったか?』
村田『別に。俺が行けると思っただけ。』
西口『ったく…。指示には従え。グラウンド全体は俺の方が見えてる。』
島谷『内野はサードファーストは前進守備。セカンショートは中間守備で打球に応じてゲッツーとホーム送球は判断。』
慶野『おっけ。』
林『アホヅラ、ここ踏ん張りどころやぞ。』
村田『その呼び方やめろ。クソ関西人。』
林『なんやと?』
小宮『喧嘩してる暇あったら協力しな。』
林『冗談ですよ。』
西口『一塁ランナーの小野もプレッシャー相当かけてくる。1球1球に時間かけていいから集中しろ。執拗に牽制する必要無いが、首振りのリズムだけは毎回変えろ。』
村田『牽制しなくていいの?』
西口『お前がそこ器用ならランナーもバッターも相手して欲しいが、お前ピッチング以外器用とは言えないし。走られたら走られたで。ただ、盗まれるな。無償でランナー進めさせてやることはない。』
村田『はいはい。わかったよ。』
慶野『ここ勝負どころな。村田。』
村田『うぃ。』
佐藤『雄史。点取るよ。さっきのセンター返しみたいな感じでね。』
水谷『はい。打てなくても後ろに佐藤先輩いるんで安心です。』
佐藤『そうそう。雄史が打てなくても俺が打ってやるよ。気楽にな。』
水谷『はいっ!』




