No.7:林 大騎 ─天才の打撃─
カキィーーッン!!
カキィーーッン!!
カキィーーッン!!
原田(さすが先輩達……。バッティング良いな……。)
カキィーーッン!!
??『慶野さん。最近調子いい感じっすね。』
慶野『いや、まだまだだ。こんなんじゃ堂金は打てん。』
??『堂金もすっかり全国区になっちゃいましたよね。まぁ、もともとそんくらいの実力はあったけど。』
慶野『享神が全国制覇した今年の春。堂金も去年の夏より遥かにレベルアップしてたしな。俺達はそんな怪物を倒さなきゃ甲子園に行けねえんだよ。こんなところで自己満足なんてしてらんねえ。』
林『氷室サン。享神とは去年の愛知県大会決勝で試合したんっスよね?そんときは堂金出てはらなかったんスか?』
氷室『おっ、林君だっけ。俺の名前知ってたのか。』
林『当然ッスよ。氷室サンは去年の甲子園でも1年生から打ってはったやないですか。』
氷室『そんなそんな。全然打ってねえよ。甲子園では全然思うように打撃できんかったな。妙に緊張しちまった。』
林『んで、堂金とは対決しよったんスか?』
氷室『うん。先発は1年生ながら堂金で、序盤でまずノックアウトした。その後再登板してきて、一発蹂躙されたけど、トータルでは打ち崩せたかな。なんで?』
林『いや、堂金 竜星って去年から投げてはったんかなって思うただけですわ。』
氷室『アイツは享神で1年夏からエースだよ。中学では全国制覇してるしな。実力はバケモンだったね。まさか今年のセンバツで優勝までするとは思ってなかったけど。』
林『愛知の高校野球の近年のレベルはほんま高いんスね。』
氷室『倒し甲斐あるやつがたくさん居るってわけ。』
カキィーーッン!!
慶野『ありがとう!』
原田『はい!』
慶野『佑介。次だ。』
氷室『ウイッス!』
『おねがいしまーす!』
原田(これが…氷室先輩…。なんか去年テレビで観てた時より…ずっと体つきが良くなってる…。)
カキィィーーッッンッ!!
カキィィーーッッンッ!!
カキィィーーッッンッ!!
『ナイバッチー!!佑介!!』
『いい感じだなおい!!』
カキィィーーッッンッ!!
原田(すご…。この人…やっぱバッティングセンス半端無い…。確か高校で初めて野球始めたって聞いたけど…。)
大場『ハハッ。相変わらず氷室のバッティングは日々進化してやがんな!』
西口『アイツは天才ですからね。ほんとあの成長スピードには驚かされますよ。』
村田(なんか隣のゲージに半端無い打球飛ばす奴がいるな…。)
林『お手柔らかに頼んますわ。アホヅラはん。』
村田『このクソ関西人!それが投げてもらう人に頼む態度か!』
『来たね。注目1年の林。』
『お手並み拝見。』
村田(コイツほんとムカつくからちょっと球速出すか…。)
ビュッッ!!!
カキィィーーッッンッ!!!!!
村田『……は?』
藤武『え……。』
ガツーンッッ!!!
林『なめてもらっちゃ困るでぇ。アホヅラ。』
村田(コイツ……。ファーストスイングであそこまで………!?)
藤武『グラウンドのネット越えて…体育館の上の屋根まで飛ばした…?』
慶野『すげぇな。コイツほんとに1年かよ。』
原田(え~!やっば!)
氷室『原田くーん早く投げてよー。』
原田『あ、はい!すいません!』
ビュッッ!!!
カキィーーッン!!!!!
慶野『氷室も負けじとフルスイングか…。触発されたな。』
氷室(1年に負けてられっか…!)
カキィィーーッッンッ!!!!
氷室(!?)
林『あっ、これって飛ばしすぎか?打球もっとライナーで打ちはった方がええスかね。』
慶野『今度は流し打って…この打球かよ…。』
西口『アイツやばいっすね。』
大場『あれが浪速ファイターズの林大騎か。前評判通りの打撃力。』
林『アホヅラもええ球放るね!少し見直したで~!』
村田(コイツに打たれて気分悪~。)
カキィィーーッッン!!
カキィィーーッッン!!
カキィィーーッッン!!
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林(ふぅーっ。今日は調子乗ってホームラン性の打球飛ばしすぎたわ。反省しなあかんな。もっと鋭い打球の方が練習としては正しい。)
(ま、夏のスタメンは譲れへん所やからな。アピールするためにもしゃーないか。)
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上級生紹介のコーナー
慶野 文哉
右投げ左打ち:内野手:3年生(主将)
昨夏からスタメンの3年生。2年までは外野手で新チームからはショートの練習を続けている。2年夏県大会では主に2番、甲子園では9番or8番センター。 俊足巧打の打者で守備も安定感がある。チームで二人しか居ない3年生のうちのひとりで主将も務める。頭脳明晰で文武両道。