No.2:並木道の第一歩
in 邦南高校グラウンド 硬式野球部 部室
『ふんふん♪ふふふん♪ふふふんふふふん♪』
『ご機嫌だな、翔真。』
『この前のLステでmikaが歌っててよ。ハマっちゃった。』
『相変わらずmika大好きなんだな。』
『まあね〜。あと新入生が楽しみってのもあるかな。ほら、今年の1年ってアイツいるんだろ、アイツ。』
『ああ、川越監督が引き抜いてきた奴?』
『そうそう、めっちゃ上手いらしいじゃん?』
『話聞く限りはな。今日はそいつも来るはずだ。』
『お手並み拝見ってとこね。』
『ったくよ……。お、そろそろ時間か、グラウンド出るぞ。』
『おっけ。』
村田『なあ逸也?グラウンド行けば良いんだよな?』
酒井『そうだよ。1時にグラウンドにある監督室前。』
村田『普通の公立高校なのに、監督室とかあるんだな。俺らが夏にここ見学来たときには無かったよな?設備も結構良くなってるし。』
酒井『夏の甲子園準優勝校だからな。OBの人たちとか、地域の人たちからたくさんのお祝いのお金をいただいたらしいよ。そのお陰で設備も充実してきたっぽい。』
村田『あ!!』
酒井『?』
村田『大場だ!!』
酒井『バカ!!』
村田『なんだよ!口塞ぐな!』
酒井『いきなり先輩にタメ口はヤバイから!!お前まじでやめろ。』
村田『なんで?』
酒井『いいからとりあえず俺の指示に従え!』
??『あんたらも入部希望者なん?』
村田『ん?誰だおまえ。』
??『俺は林 大騎っちゅーもんなんやけど。大阪出身やで。』
酒井『ん?大阪出身の林大騎?』
村田『なんだ?しってんのか?』
酒井『もしかして浪速ファイターズの?』
林『おー!!せやで!!アンタよー知っとんのやね!』
村田『……?……何者?』
酒井『浪速ファイターズってあれだよ。全日本で全国ベスト4だったじゃん!そこの3番ショートだったやつだよこいつ!』
林『アンタ、ほんまに物知りやな。ストーカーちゃうん?』
酒井『いやいや、林くんはU-15日本代表にも選ばれるほどの実力者でしょ。普通に有名だよ。』
林『せやろか?少なくともそこのアホヅラは知らへんみたいやけど……。』
村田『誰がアホヅラだ!!』
酒井(まあ、あながち間違ってないけどな……。)
林『ところで、アンタらは?』
酒井『俺は酒井 逸也。名古屋中央シニアで1番キャッチャーでキャプテンやってたぜ。んでコイツも名古屋中央シニアで一緒に野球やってた……』
村田『村田 直政だ!ピッチャーやってた!!もちろんエースだった!』
酒井『おいおい嘘つくなよ。』
林『名古屋中央シニア?あんたらも全国出てるんやん。』
酒井『まあ、一応ベスト8だけど。アンタらには及ばねえよ。』
林『名古屋中央シニアの酒井はどっかで聞いたことある気がすんねんけど……村田……?名古屋中央シニアってエースちゃうくなかったか?』
酒井『ははは。エースはコイツじゃなくて伴野。コイツ見栄っ張りだからよ。』
林『そうよな、名古屋中央シニアの伴野はんとは知り合いやし、ちゃうと思ったわ。てか普通初対面でいきなり嘘つくかいな……。とんだアホヅラやで……。』
村田『むっ!アホヅラだとぉ!?』
林『……アホヅラは置いといて、俺以外にも全国経験者がいるんやな。少し安心したわ。』
村田『言いたいことを言いやがって……。』
***
『新入生は集まれ!!』
『『『ハイッッ!!!!』』』
『おお……。結構いるな……。』
『これが甲子園パワー……。』
『でもこれ結構川越監督がスカウトしたって言ってたぞ。』
『へー。やっぱそれなりの実力者はいるんかな?』
『とにかく、根本的な人数が必要だ。うちはいま7人しか部員がいないから、少なくてもここから2人は夏の大会にでてもらうことになる。』
『ピッチャーが翔真1人だけでは夏は戦えない。いいピッチャーがいるといいけどな……。』