No.15:逸也の初打席
(1点先制して、尚ワンナウトフルベース。ここで打てば試合を有利に進められるのは勿論、夏大のアピールにも…。)
村田『逸也打てよー。お前なら楽勝だろ。』
酒井(コントロールは悪くないが、コーナーを突くコントロールは無い。満塁っつー場面を考えても、初球からストライクほしいはず。)
ビュッッ!
(120キロ程度のストレート、外角真ん中。狙い通り。)
(これが狙って打てなきゃ甲子園なんて、)
(夢のまた夢だ。)
カキィーーンッ!!
村田『おっ。』
島谷(三塁ランコー)
(センター前!センターは浅い!)
『ストップ!!』
西口『よっしゃぁ!追加点!』
慶野『ナイバッチ!酒井!』
酒井(ぶっちゃけ今のは打てて当然のボール。でも初打席の緊張感の中、初球から仕掛けていってミスショットせず結果を出せたのは大きいかも。やっぱ一本でるのと出ないのとじゃ全然ちがうからな。)
長澤『藤武さん。繋ぐ意識でオーケーですよ。』
藤武『おう。』
長澤(逸也のタイムリーで2対0。再度ワンナウト満塁で7番の藤武さん。その次が俺だ。)
────────回ってこい。
長澤(結果を出すための準備は出来ている。今日だって1年はみんなどんぐり状態の中、運良くスタメンをゲットできた。これを逃す気はさらさら無い。)
ズバン!
『ボール!カウント3ボール2ストライク!』
長澤(ピッチャーの間合いは大体掴んだ。早く回ってこい。)
カキィーーンッ!!
藤武(やべ…!)
パシッッ!
長澤(……。)
藤武の流し打った打球はサードライナー。飛び出してしまった三塁ランナーもアウトになってスリーアウト。この回の邦南の攻撃は2点で終わった。
長澤(終わったものは仕方ない。守備だ。慣れないレフトだが言い訳は出来ない。試合に出てる以上、そんな気持ちでプレーしたら出てないみんなに失礼だしな。)
そう思いながら内野用のグラブを着け、レフトの守備につく。
??『長澤くん。こうして喋るのは初めてだね。よろしく。』
長澤『よろしく。小野崎?だっけか?』
小野崎『イエッス!小野崎 恭也。恭也でいいよ。』
長澤『わかった。俺のことも凌平って呼んでくれ。』
小野崎『オーケー。ところで凌平は外野はあんま経験無いよね?』
イニング間の外野でキャッチボールをしながら会話をする。
長澤『有るか無いかで言ったら無いが、だからといってミスして良いってわけじゃない。出るからにはチームに貢献しなきゃな。』
小野崎『凌平、見た目はゴツいけど、しっかりしてんだね。ポジショニングは基本僕から出すから心配しないで。』
長澤『おう。任せる。』




