No.108:チーム復帰
7月27日 敗退からちょうど1週間
練習開始の相当前の時間帯に村田は現れた。
原田『あ……。』
『直政じゃん!』
長澤『おっす。優太。今日も1番乗りかよ。流石だな。』
原田『いや、今日僕2番。あれみて。グラウンド。』
長澤『もしかして直政?アイツどうしたんだ?』
原田『逸也曰く辞めるって……。』
長澤『戻ってきたのか。』
原田『のかな?僕らも早く着替えて手伝いにいこ。』
長澤『ああ。そうだな。』
……
村田『か~。道具出しも一人だと大変だな~。』
『直政。』
村田『ん?おー優太に凌平。久し振り。』
長澤『辞めるんじゃなかったのかよ?』
村田『途中まではそのつもりだったんだけどよ。』
原田『……どうしたの?』
村田『あの……その……、悪かったよ。突然抜けたりして。』
長澤『なんだ。意味がわからんぞ。』
酒井『あれ?直政……?』
小宮『おはよ。酒井くん。』
酒井『あっ!小宮さん!おはようございますっ!』
小宮『あれ……?グラウンドにいる3人のうちひとり、村田くんじゃない?』
酒井『自分も今思ったところです。』
小宮『何があったか分からないけど、戻ってきたんだ。』
酒井『きっちり説明してもらいましょ。』
小宮『そうじゃなきゃみんな納得しないしね。』
西口『オーッス。』
小宮『おはよ。』
酒井『おはようございます!』
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邦南野球部が練習開始前にキャプテン氷室を中心に円になる。
氷室『直政が突然チーム抜けてみんな迷惑したんだよ。説明しな。』
村田『…………、とりあえず、まず、』
『自分の都合で勝手に休んで悪かった。』
西口『…………。』
村田『夏大の負けは俺のせいだって当然自覚してるし、俺にとっては忘れたい出来事だった。でも、色んな人からその話されるし、もう嫌になってきて、そこから逃げるために野球から離れようと思ってた。』
『でも、負けてこの1週間、こんな俺でも気に掛けてくれてる人が居るって、もっと頑張ってる人が居るって、なんか恥ずかしいけど素直にそう感じた。』
『あの夏はもう取り返せない。最初は確かに忘れたい出来事だったけど、今は違う。』
『今年の夏は絶対に忘れない。俺は強くなりたいんだ。』
西口『………………。』
『チーム抜けて本当にすまん。こんな俺でも良ければまた一緒に練習させてほしい。』
小宮『…………。』
『手加減しないよ。甘えたらぶっ飛ばすからね。』
氷室『みんな、いい?』
藤武『あぁ。元々仲間だしな。』
島谷『ちょっとは丸くなったっぽいしね。』
氷室『他の人もいい?』
酒井『勿論ですよ。』
長澤『はい。』
小野崎『なんか変わったね。』
西口『さっさと練習始めよーぜ。時間には限りがあるんだ。』
氷室『だな。よし、グラウンド挨拶するぞ。』
『『ハイッッ!!!』』
西口『サボってたとか関係無く猛練習させてやるよ。覚悟しとけ。』
村田『勝手にしろ。』
西口『ったくお前は相変わらずタメ口だな。ぶっ殺すぞ。』
村田『ちょっ、いてーって!やめろ!』
西口『この前みたいに弛んでたら出てって貰うけどな。あ、当然お前は今日ずっとランニングな。』
村田『は!?ざけてんのか!』
西口『当たり前だろ。秋の予選前の大事な時期にサボってんだから。』
村田『はぁー!?』
氷室『拓磨なんか嬉しそうじゃん。』
小宮『なんやかんや彼のこと大好きだからね。』
慶野『立ち直ったんだな。アイツ。』
大場『俺達の悔しさは、きっちりアイツに晴らしてもらわないとな。』
慶野『ホントだよ。困っちゃうね。ハハハ。』
大場『文哉。柔軟手伝って。』
慶野『いいよ。』




