No.106:すまん、の言葉
7月26日 敗北から6日 直政が部に顔を見せなくなってから4日
ズバァァーーンッ!!!
西口『ナイスボール!佑介!』
氷室『おうっ!次、ストレートね!』
西口『おし来い!』
ズバァァーーンッ!!!
西口『ナイボール!!』
大場『困っちゃうねぇ。エース佑介?このままだと。』
西口『哲都が投げられれば全然違うんですけどね。ってか翔真先輩、結局進路はどうしたんですか?』
大場『秘密。とりあえず引退したからってぐーたらしちゃいけねえってのは確かかな。』
西口『それって大学のセレクション受けるかプロ志望かってことですよね。』
大場『だから秘密。そのうち教えてやるよ。』
西口『勿体振る必要あるんですかそれ。』
大場『無い。』
西口『教えてくださいよ。』
大場『教えたくなーい。』
小宮『そこ喋んないでやることやってよ!』
西口『おう!ごめんごめん!』
大場『わりわり!俺がちょっかい掛けちまった!』
大場(哲都副キャプテンこわーい。)
西口(佑介も慣れないピッチャーとはいえコントロールは良いし無難にはこなせるんだけど、)
(生憎ピッチングにはバッティングほどの驚異的センスは無い。当然っちゃ当然だけどよ。)
(そのへんの弱小校なら誤魔化せるだろうけど、レベルが上がって来ても抑えきれるとは思えない。)
(哲都は怪我で投げれねーし、ピッチャー出来るのも原田と佑介くらいだし……。)
(なんやかんや、村田は新チームでもやっぱ重要なピースだったんだけどよ……。)
ズバァァーーンッ!!!
(でもアイツにその意志が無いなら仕方ねえよな。)
(才能はあるだけに、つくづく勿体無いと思うね。)
『ナイスボール佑介!!その感じだ!!』
***********
“野球以前に人として終わってるぞお前。”
“ちっせえ男だな。正直あんた、最低だよ。やってること。”
“どこ行くんだ?まだ俺の質問に答えてないんだけど。”
“…………そっか。ごめん。”
(考えるだけでもう疲れちまったよ。)
(……………………………………………………。)
(あぁくっそ!!!謝ればいいんだろ謝れば!!!)
村田がラインアプリを起動する。
グループ 1年A組全体LINE
(あいつはどこだ。)
kana saito
(いた。でもなんて打てば……。)
▽ kana saito
7月26日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
14:15 この前は言い過ぎた。すまん。
(謝ってみたのは良いものの、反応こえーなー。)
───3時間後───
(既読にすらならねぇな。もう5時だぞ。)
(あ~じれって~。そういや今日まだ体動かして無かったな。)
(いっちょ走ってくるか。)
村田が2階の自室のベッドから起きて階段を下りる。
『直政。あんたどこ行くの?』
『どこでもいいだろ。』
『いっつもそれじゃん。』
『別に。いつも少し体動かしてるだけだよ。』
『野球辞めるのに?』
『体動かさないとなんか気持ち悪いんだよ。野球とか関係無しに。』
『ふーん。晩御飯冷めないうちに帰ってきなよ。』
『いつもそんくらいには帰ってきてんだろ。』
…………
『キャハハハ!!行くよ~!裕太くん!』
『早く投げてよ~!』
『それ~!』
(楽しそうに野球やってんな。)
(…………、俺にはもう、関係無いか……。)
(だいぶ暗くなってきたし、そろそろ飯か。帰るかな。返事も気になるし。)
**********
ガチャッ!
『お帰り~。今日は早かったのね。』
『別に。』
(スマホスマホっと。)
▽ kana saito
7月26日
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
14:15 この前は言い過ぎた。すまん。
ごめん!部活で返信遅れちゃった!
あのさ、今から会えたりする? 18:55
(……は?会う?なんで?)
19:11 なんか用あんの?
ある。てか、もう直の家の前着く。 19:12
(…………はぁ?なんだよアイツいきなり。)
直政が階段を下りる。
『アンタまたどこ行くのよ。ご飯出来たんだから早く食べなさいよ。』
『ああすぐ帰るって。たぶん。』
『ったくもー。』
ガチャッ!
直政がドアを開け、外に出る。
『なんだよ。』
『あっ、今大丈夫だった?』
『割りと飯の時間だった。』
『直から個人LINE来るからびっくりしちゃったよ。あのね、ウチも直に、言わなきゃいけないことがあって…。』
『…………?』
『ウチの方こそゴメンね。直にとって迷惑な事言っちゃって…。』




